2009/12/24
大久保信寛の”What is イラン?”(第80号)-厳しい経済状況下でも生き抜くイラン人のたくましさー
発行人の大久保信寛です。 いよいよクリスマスですね。 日本では、いつからこうなったのかよくわかり ませんが、この時期、世間は、クリスマス一色! 某アメリカ系のコーヒーショップでは、クリスマスの 1ヶ月以上も前から、店内に流れるBGMは、クリスマス ソングのみといった状態です。 イランは、イスラム教シーア派を国教にしている国 ですので、当然、クリスマス休暇もなければ、日本の 某アメリカ系コーヒーショップのように、コーランや アザーン(お祈り開始の時間を知らせる歌)の代わり にクリスマスソングが流れることはありません。 しかし、実は、イランでも、ロビーにクリスマスツリーを 飾っているホテルなどを見かけることがあります。しかも、 公営のホテルなのにです。規制が緩和されたのか?それとも、 単なる飾りとして、まるで気にしていないのか?・・・、 きっと、後者の可能性が高いと思いますが。 本当に、見事なぐらい、小さいことを気にしないのです。 クリスマスの話題は、これぐらいにしまして、日本では 年末に向けて、今年も仕事を失ってしまった方々などを 対象にした年越村の話題など、昨今の厳しい経済状況を 反映した仕事や収入に関した厳しいニュースが出てきて、 暗い気分になっている方もいるかと思います。 そこで、今回は、厳しい経済状況下でもたくましく、また 要領良く生きるイラン人を紹介したいと思います。 イランは、欧米諸国からの経済制裁などの影響で、近年、 20%程度の率で毎年、物価が上がるハイパーインフレの 状態が続いています。 例えば、300円だったチキンケバブ(骨抜きチキンの 串焼き)定食が、次の日、いきなり400円に値上げされて しまったりします。 ある日、私がときどき行っていたテヘランにあるレストランに 行って、メニューをもらうと、各定食の値段のところに紙が 貼ってありました。その紙に値段が書いてあったのです。 そこで、紙をめくって(簡単にめくれるぐらいに雑に貼って ありました)元々の値段を見ると、前回(その前の週に来たとき) に比べて、30%以上も値上げされていました。 値上げするのは、まあ仕方ないにしても、メニューの値段の 上に紙を貼るとは、恐れ入りました。しかも、簡単にめくれて 前の値段がわかってしまいます。 しかし、給与は、このハイパーインフレのペースに合わせて 上がるわけはありませんので、当然、人々の生活が厳しく なって、自殺者が増え・・・ というような状況にはならないのです。 細かいことを気にしないなどの彼らの性格によるところも ありますが、その他の理由の一つに、「副業文化」があると 思われます。 日本では、従来から民間企業の被雇用者や公務員が副業を行なう ことは、原則、禁止されてきました。ところが、近年の厳しい 経済状況を反映して、最近は、副業の禁止が緩和されてきました。 しかし、今でも、日本では、副業は、それほど一般的 ではなく、インターネットビジネス、株取引などの投資などが 行なわれている程度のようです。 しかし、イランでは、副業は、一般的です。 イランの一般的な公務員の給与は、月に、5万~6万円です。 ところが、イランの都会で、この給与では、普通に生活して いくことができません。そこで、副業による収入で生活する ことになります。人によっては、夫婦共働きの人もいます。 私と仕事で関わっていたある州政府の建設部門で働いていた エンジニアは、副業として、大学で講師をやり、建設コンサルタント 会社を経営していました。彼の公務員としての給与と、これらの副業 を合わせると、彼の収入は、月に30万円程度だったと思います。 また、学校の先生は、一般的な公務員よりも給与が低く、 月に、3万~4万円しかもらっていません。しかし、彼らの ほとんどは、家庭教師をしたり、他の学校でも教えたりする などの副業を持っています。人によっては、夕方から自宅の 車を使ってタクシードライバーとして稼いでいる人もいます。 それらによって、十分に生活する分だけの収入を稼いでいます。 さらに、親戚同士の中が良いため、お互いに助け合って、 共同事業を開始したり、とにかく、ありとあらゆる可能性を 考えて、そしてコネを使いまくって、お金を稼ぐ手段を考え だします。 もちろん、本業、副業ともにうまく行かずに、生活に困っている イラン人もいますが、イラン人の多くは、「何でもあり!」の 精神で、この厳しいハイパーインフレの状態の中をたくましく 生きています。 日本には、先ほども述べましたように、仕事によっては、 副業が禁止されている場合もあるかと思いますが、厳しい 経済状況下でも、このようなイラン人の「何でもあり」という たくましい生き方から、日本人がこの経済状況下でたくましく 生き抜くための何かを学べるところがあるのかもしれません。 今週もお付き合いいただき、ありがとうございました。(大久保 信寛) 「メールマガジン: 大久保信寛の"What is イラン?"」 発行責任者:大久保信寛 公式サイト:http://www.sns-japan.org 問い合わせ:info@sns-japan.org 登録・解除:http://www.mag2.com/m/0000266760.html


