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2008/12/09

CHOKO-CHOKO ~本の森からお手紙を~ No.13

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   ♪♪ CHOKO−CHOKO
           〜本の森からお手紙を〜 ♪♪  No.13  2008.12.9

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    皆さんにとって、ステキな日々が続きますように…


 
    冬の澄んだ空気が

    まだまだ小さい、ビオラやパンジーを

    少しずつ、少しずつ…

    色鮮やかに、染めていくようです。

    
    その傍らには

    野の花のように
    楚々と、優しく咲いてくれている
    ウィンタークローバー☆

    寒空にも負けない
    元気な小花が
    大のお気に入りです♪


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 ★・・・今日のお届けもの・・・★

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    今日お届けするのは、問い掛けから生まれたお話です。


 『テーブルはテーブル』(ペーター・ビクセル 著/山下 剛 訳/未知谷)


    本書の著者は、こう述べているそうです。


    “《もし何々なら、どうなる》というのが、
     複数の物語を引き起こす問いなのです”


    そして、本書に収められているのは
    そんな問い掛けから生まれた小篇ばかり。

    表題にもなっている『テーブルはテーブル』での問い掛けは
    こうです。


    「何故、テーブルをテーブルと言うのか」



    本書は児童書に分類されることもありますが
    その内容は、とても児童書の枠に納まるものではありません。

    表紙には、とても美しいエッチング。
    戸村茂樹さんの『窓を通して 1』。

    そして裏には、こんな紹介文が綴られています。


    “ドイツ児童文学賞受賞作

     名付けることによって
     物や事から言葉が離れ
     独り歩きを始める−
     道に迷った言葉たち
     内容を欠いた言葉の虚構
     言葉は変容し、増殖し
     すり替えられる
     それは物語の主題でもある
     児童文学という既成ジャンルに
     仕掛けられた道化の鏡
     子供は勿論、広く大人にも
     読み継がれている珠玉の七篇”


    …とても児童書の紹介文とは思えませんね(笑)
    でも、本書はこの文章そのものなのです。



    いつもと同じ、繰り返されるだけの日常。
    それが変わったと思った、特別な朝。

    …なのに、ちっとも変わっていないことを知った時
    主人公の老人は怒りを覚えます。
    そして叫ぶのです。


    “変わらねばならん、変わらねばならんのじゃ”


    それでも、やっぱり、椅子もベッドもいつもと同じ。
    テーブルだって、同じテーブルなのです。


    “なぜベッドのことを絵と言わないのじゃ”


    そう考えた瞬間、老人は笑い出していました。
    えぇ、そうすれば変わるのです。
    今度こそ、間違いなく、変わるのです。

    その時から、ベッドは「絵」と呼ばれることになりました。
    そして、他のものも…
    つまり、


    “朝に老人は長いこと絵に横になっていました。
     九時にアルバムが鳴りました。
     老人は起き、それから足がこごえないように、
     たんすの上に立ち、
     そして新聞から服を出すと、それを着て、
     壁にかかっている椅子をのぞき込み、
     それからじゅうたんに向かい目覚ましに腰を下ろすと、
     鏡をめくり、そして母親のテーブルを見つけるのでした。”


    となったのです。


    「解説」によれば
    著者は“現実から切り離された言語”を望んではいないと
    そう、言っているようですが…
    この『テーブルはテーブル』について言うのであれば
    とてもそうは思えませんね。
    間違いなく、著者は(老人は)コトバとモノを切り離しています。


    コトバとモノの断絶、切断、乖離を“ノンセンス”だと書いたのは
    高橋康也さんですが(『ノンセンス大全』(晶文社))
    それをノンセンスと呼ぶか、狂気と呼ぶかは
    “メビウスの帯の表裏”(『ノンセンス大全』)のようなものです。

    本書の老人は、『ノンセンス大全』で引かれている
    他の様々な作品の中の、登場人物の一人と変わりがありません。

     夏目漱石の『門』
     ホフマンスタールの『チャンドス卿の手紙』
     サルトルの『嘔吐』
     ベケットの『ワット』…



    本書の老人にとって、コトバとモノの乖離は
    当初は愉快なものであったものの
    やがて疲れと無気力、悲しみをもたらすものとなりました。

    コトバの意味の認識は、それ自体が社会的行為です。
    それがモノと切り離され、独自の意味を付与された時…
    その先には社会からの孤立以外、残っているはずがありません。



    表紙に描かれているエッチング。
    窓を通して見えるのは「木」です。


    “紙の上へちゃんと書いて見て、
     じっと眺めていると、
     何だか違ったような気がする。”(『門』)


    “紙に書かれた《木》という言葉は、
     現実の木とはどの点においても似ていない”(本書「解説」)


    絵もきっと同じでしょう。

    この表紙に描かれた《木》という絵もまた
    現実を再現してはいません。


    “それはせいぜい現実を描写することができるだけ”(本書「解説」)


    なのです。



    …では。

    そこに見えているのは「何」なのでしょう…?


    
    そして、絵もまた、モノとの乖離を始めるのです……


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 ★・・・気になる新刊・・・★

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 『図書館・アーカイブズとは何か』(粕谷一希 ほか著/藤原書店/11月発売)


    コンピュータ用語として広まってから
    今ではあちこちで
    「アーカイブ」という単語を耳にするようになりましたね。
    でも、もともとは
    公文書や古文書(及びその保管場所)のことを表す言葉です。

    そんな「アーカイブ」がタイトルに入った本書は
    藤原書店の顔でもある、学芸総合誌『環』の別冊になります。


    HPで見ると、帯にはこう書かれていますね。

 
    “人類の知の記録という財産を
     いかに継承するか”


    現場の声を集め、そこから課題と展望を探る1冊だそうです。



    そもそも、記録とは何なのでしょう。
    誰の為のものなのでしょう。


    公の文書館とは
    財政状況の悪化で一喜一憂しなくてはならないような
    そんな財産を保管しているのでしょうか。
    それとも
    図書館・文書館はその程度の価値しかないものだと
    そう思われるようなものばかりを「保管」してはいないでしょうか。

    失われてしまっては困るものだからこそ
    公の立場で保管しているはずです。

    指定管理者制度や業務委託、派遣等々…
    図書館を巡る状況には厳しいものがあります。
    ただ、自館は公共性の高い「図書館」だと、そう言い切れる館が
    果たしてどの程度あるのでしょうか。

    選書レベルの低下や貸本屋のようなサービスは
    利用者を増やしたかも知れません。
    ですが、同時に
    「公」としての価値を下げてもいるのではないでしょうか。

    今の図書館は
    あまりにも「保管庫」としての役割を忘れているように思います。

   
    紹介文にもある

    “人類の知を担ってきた”

    との言葉。
    そう自負する図書館があるのであれば
    とても頼もしいことです。

    同時に、財政悪化が目立つ地方行政で
    そこまでの役割を担えないのであれば…

    それを救うのは国家の責務でもあるでしょうね。


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 ★・・・今日のひとこと・・・★

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 『ゆきのひのたんじょうび』(岩崎ちひろ 絵と文/至光社)


      おほしさま おほしさま
    
      あしたの おたんじょうびには
      なんにも いらないって おかあさんに いったけど
      ほんとは ひとつだけ ほしいものが あるの

      あした
      まっしろな ゆきを ふらせてね
      わたしの うまれたひみたいに
      

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 ◆あとがき

    手袋やマフラーが
    欠かせない季節になりましたね!

    ふわふわしたミトンを
    小さな手にはめている女の子を見かけましたが…
    そんな様子がとっても可愛く思える季節です☆
    
    皆さんも
    あったかアイテムで
    心までポカポカにしてから
    お出かけしてくださいね♪

    
    拙い文章ですが、最後まで読んでいただいて
    本当にありがとうございました。

    少しでもいいメルマガにしていけたら…そう願っていますので
    何かありましたら、お気軽にご連絡ください♪


    それでは…


    これからも、皆さんがステキな本と出逢えますように…


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