2008/11/11
CHOKO-CHOKO ~本の森からお手紙を~ No.11
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ♪♪ CHOKO−CHOKO 〜本の森からお手紙を〜 ♪♪ No.11 2008.11.11 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 皆さんにとって、ステキな日々が続きますように… ヤマホロシの色が銅葉に変わり ケヤキの並木は柔らかく紅葉し… …そちこちで 陰が深まってきています。 それでも 早朝の小鳥の囀りは微笑ましく 啄むコガネモチの実は見事に赤く… …あちこちで 陽気なさざめきも聞えてきます。 二つの季節を繋ぐもの… …それが秋、ですね☆ +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ★・・・今日のお届けもの・・・★ +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 今日お届けするのは、本当に美しい北風のお話です。 『北風のうしろの国』 (ジョージ・マクドナルド 著/中村 妙子 訳/早川書房) 長い間手に入らなかった 中村妙子さん翻訳のハヤカワ文庫版でしたが 2005年に漸く復刊されました! 幸い、現在もまだ手に入れることが出来ます。 ずっとずっと このまま多くの方に読んでいただける状況が続くことを願います… この素晴らしい物語のことを あまりにも美しい北風のことを どのようにして書けばいいのでしょう。 本当に心揺すぶられる作品について著すのに どんな言葉が存在しているのでしょうか… 主人公である ダイアモンド少年の言葉は この作品に魅了された全ての人の言葉です。 “ぼく、ただ、あなたのために夢であってほしくないんだよ、北風。 何もかも夢だなんてたまらないよ。 なぜって、もしも夢だったら、 あなたにもう会えないってことだもの。 あなたが誰でもなくなってしまうなんて、とても我慢できないよ。” でも、本当は北風が“誰”なのか、読み手は分かっていません。 違うのです。 “誰でもなくなる”ことなど、本当は関係が無いのです。 “ぼくが見たいのは夢よりもっと、 すばらしいものじゃないんだもの― あなたなんだもの、北風” そう、“北風”そのものであることが大切なのです。 だって… “だって本当のあなたが美しいってことが よく分かっているんだもの。” 北風は夜になると ダイアモンドを連れ出します。 夢に 現に。 貧しいロンドンへ 美しい星の世界へ。 時に夢と現は混じり合い 互いの隙間を埋めてしまいます。 でも、マクドナルドの筆は そこに違和感を覚えることを許しません。 彼の世界において 夢と現の間の境界はないのです。 これは他の作品でもそうです。 だからこそ、彼が描く女性は その身に薄く、不可視のベールを纏うのです。 美しい北風は天使ではありません。 死神でもありません。 北風は北風なのです。 その“うしろの国”へと人を誘う その準備をする あまりにも美しすぎる存在… 読み手はマクドナルドが端々に綴る言葉を捉え その意味を飲み干し 北風やダイアモンド マクドナルド自身を通じて それら全てを含む『何か』を垣間見た気になります。 でも それらはすぐに立ち消え “うしろの国”へと帰ってしまうのです。 何度読んでも 何度この指先に触れても それらは遠ざかっていってしまいます。 …恐らくは 生きている限りは、ずっと。 形がありながら掴めない… …いいえ。 ダイアモンドには掴めました。 そして、読者もまた… 憧れることは出来るのです。 愛することは出来るのです。 ……そして、何度も繰り返し読むのです。 聞こえてくる歌に、耳を澄ませるのです… “何も心配することはない” 揺り籠の中にいるかのように安らいながら… 何度も何度も そう告げる言葉を聞くのです…… ……取りとめのない言葉ばかりが続いている気がします。 やはり、イーゴフの言葉に倣いましょうか。 彼女はその著書『物語る力』(偕成社)で 本書についてこう書いています。 “読者はその中に飛び込むべきであって、 言い表せないことを言い表そうとしないことだ。” …その彼女は 本書ハヤカワ文庫版が日本で復刊された2005年に 亡くなられました。 (彼女の名を冠した児童文学賞もあります) イーゴフは 今頃本当の“北風のうしろの国”を見ていることでしょうね…… +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ★・・・気になる新刊・・・★ +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『ギスリのサガ』(渡辺 洋美 訳/北欧文化通信社) この本については 分からないことばかりです。 その意味で気になっています(笑) 『ギスリのサガ』はかつて三省堂から出ていた 『スールの子ギースリの物語』(大塚光子 訳)と同じ内容でしょう。 出版社の北欧文化通信社は かつて1972年から1978年まで『北欧』という雑誌を出していましたが その後休刊になっています。 代表者はHP( → http://www.pressport-nordicpress.com/ ) を見る限り、以前と変わっておらず 床枝高造さんの名前になっています。 また本書は「1000点世界文学大系」の企画の一角でしょうが その企画編集をしているプレスポートの代表者は かつて東海大学文学部の教授でもあった横山民司さんです。 HPには「70冬の誕生記念日に創設」と書かれていますから 昨年の冬に生まれたばかりの会社ですね。 9月には、この北欧文化通信社から 谷口幸男さんによる『ヘイムスクリングラ』の邦訳が 刊行開始となっていましたが(全4巻予定) 地方・小出版流通センターのブログ版書誌案内 「あなたはこの本を知っていますか!」 → http://chihosho.seesaa.net/article/108636282.html の10月26日の記事に触れられているだけで 詳細は不明です。 …といった感じでしょうか(笑) 翻訳者の名前も含めて、挙げられている方々は分かりますが あまりにも情報量が少ないですね。 購入に踏み切るには勇気が要ります。 「1000点世界文学大系」の内の1冊は国立国会図書館にもありますが 殆どの図書館には所蔵が無いようですし… もう少し情報が出てくるのを待ちましょうか。 『ギスリのサガ』も『ヘイムスクリングラ』も 読んでみたいのは山々ですが どの程度まで訳されているのか分からないのでは あと一歩が踏み出せません。 たとえ、大好きな谷口幸男さんの名前があっても、です。 気になりつつも… …本書を忘れないようにしなくてはいけませんね(笑) +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ★・・・今日のひとこと・・・★ +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『パリのおばあさんの物語』 (スージー・モルゲンステルヌ 著/セルジュ・ブロック 絵/ 岸 惠子 訳/千倉書房) おばあさんは鏡をのぞきます。 「なんて美しいの」とつぶやきます。 顔はたくさんの歴史を物語っているのですもの。 眼のまわりには楽しく笑い興じたしわ。 口のまわりには歯をくいしばって悲しみに耐えた 無数のしわ。 しわ、しわ、しわ、いとおしいしわ。 四分の三世紀ものあいだに味わった わたしの人生の苦楽が刻まれた顔。 …………… でも今はしわに飾られたこの顔が好きです。 まるで千夜一夜物語。 千の歴史にその百倍のポエジー +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ◆あとがき 輝くような明るい黄のスプレーマムが たくさんたくさん 咲いてくれています♪ 華やかなその姿に “おはよう”と呟きながら… 毎朝 元気をもらっています☆ 拙い文章ですが、最後まで読んでいただいて 本当にありがとうございました。 少しでもいいメルマガにしていけたら…そう願っていますので 何かありましたら、お気軽にご連絡ください♪ それでは… これからも、皆さんがステキな本と出逢えますように… ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 『CHOKO−CHOKO 〜本の森からお手紙を〜』 ○編集 ・ 発行 チョコちょこ ○メインブログ 『チョコちょこ読書雑記』 http://mys-bird.blog.eonet.jp/ ○写真を掲載した、HTML版のメルマガはこちらです♪ http://www.mag2.com/m/0000268461.html ○ご意見・ご感想をお待ちしています♪ choko2_mag@yahoo.co.jp ○このメールマガジンは『まぐまぐ!』を利用して発行しています♪ 『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 登録・解除はこちら → http://www.mag2.com/m/0000266759.html


