エコノミストニュース  RSSを登録する

OECDエコノミスト、大学講師、シンクタンク研究員としての経験を活かし、私、金子洋一が景気や金融、国際問題など時事的な経済ニュースをテーマとして、その向こうにある経済の将来の姿について解説します。質問も歓迎です。一緒に考えましょう!

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/07/09

出口戦略について:ECB総裁とCEA委員長【金子洋一「エコノミスト・ブログ」】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ----------------------------------------------------------------------
 --- ◇ 『金子洋一「エコノミスト・ブログ」』  -------------------------
 ----------------------------------------------------------------------
 ---------------------------  平成21(2009)年7月9日号   --------------
 ----------------------------------------------------------------------
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ◇出口戦略について:ECB総裁とCEA委員長
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 『景気対策で公的債務を増やす局面でない=トリシェECB総裁』
 
 《欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は21日、経済危機への対応で巨額の
 財政赤字を抱えた政府がさらに赤字を拡大させる余地はなく、赤字を縮小し始め
 なければならなくなるとの見解を示した。トリシェ総裁は、仏ラジオ局ヨーロッ
 パ1に対し「これ以上支出できない、これ以上債務を増やせない、という局面が
 ある。われわれはいま、そういう状況だと思う」と述べた。》(景気対策で公的
 債務を増やす局面でない=トリシェECB総裁)
 
  正直いってECBの総裁からこんな発言が出るとは、大変にびっくりしました。
 
  トリシェ総裁にいわせると、昨年9月のリーマンショックで大混乱に陥った、
 銀行などの金融機関同士の資金の融通をする短期金融市場が、各国中央銀行から
 の潤沢な資金供給で安定化したから、今後は各国政府の財政状況、将来起こるか
 もしれないインフレの進行や通貨としてのユーロへの信任を気にしなければなら
 ないというロジックだろうと思うのですが、確かに今現在は短期金融市場の混乱
 は治まりましたが、EU圏の経済状況を考えるとそんな楽観的なことをいっていて
 いいのでしょうか?欧州の小国を中心とした経済情勢の悪化が、英独仏の銀行の
 破綻や経済的混乱につながる可能性はまだまだあると思います。大変直感的でお
 おざっぱな議論で申し訳ないですが、いくらなんでも気が早すぎる・・・・
 
  日銀にしてもECBにしても出口戦略についてうんぬんすることが最近とみに増え
 ましたが、1930年代の米国の経済政策にしても1936年に不況を克服したと誤認し
 た政府当局が急ブレーキを踏んでしまったためにまた景況が悪化したという実例
 があります。前車の轍を踏まないよう十分な注意が必要だと考えます。
 
 
 
  
 『「1990年代の日本の失敗繰り返さず」 ローマーCEA委員長』
 
 《米ホワイトハウスのローマー経済諮問委員会(CEA)委員長は29日付の英
 紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)に対し、金融危機に対応した政策の転
 換を図る「出口戦略」について「1990年代の日本の失敗を繰り返したくない」
 と述べた。委員長は「当時の日本は事態が改善し始めた際に政策を引き締めた」
 と指摘し、米国は景気回復を十分見極めてから金融・財政政策の正常化を図るべ
 きだと強調した。》(「日本の失敗繰り返さず」 景気対策で米CEA委員長)
 
 
  欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁がはやばやと、出口戦略を論じたこと
 に少々ショックを受けたことは以前書きましたが、米国の大恐慌の研究で有名な
 クリスティナ・ローマーCEA議長の発言には安心しました。(注意していただきた
 いのですが「1990年代の」と書いてあるのですね、これが。「2000年代」につい
 ては言うに及ばないということなのでしょう。)
 
  余談ですが、CEA議長には以前のイエレン(アカロフと夫婦)もそうでしたし女
 性が多い気がします。また余談ついでに、今見てみたらご主人のデビッド・ロー
 マーによる定番教科書「上級マクロ経済学」(日本評論社)の扉には「クリステ
 ィーへ」と書いてありました。女性の多さもとりもなおさず層の厚さの一つの証
 左だろうと思います。
 
  米国のオバマ政権に一流経済学者が多く登用されていることは、政治側の認識
 もさることながら現実の経済情勢に関心を持つ経済学者の層の厚さに関して我が
 国と大きな差があることから来るものでしょう。うらやましさを感じます。高名
 な経済学者が必ずしも政策面でも有能かどうかはまったく別であることは誰しも
 が感じていることだろうと思いますが、それにしても伊藤隆敏氏が日銀副総裁に
 すらなれなかった日本とは大きな違いです。
   
  また、トリシェ、ローマーの両氏も表現の違いこそあれ出口戦略を慎重に考え
 るべきだという点では大きな差はないものと思われます。ローマーに批判をされ
 た政府・日銀はこの点についてどのように考えているのでしょうか。最近の政局
 の動きの陰に隠れている観がありますが、構造改革の功罪の検討以上に重要なの
 が金融政策のあり方の反省です。この点についても政策論議の対象にしていただ
 きたいのですが・・・
 
 
  
 
 
 
       画像、リンク入りブログのURLは
    http://blog.guts-kaneko.com/
       です。
    これまでに約450件ほどのエントリーがあります。
       コメント、トラックバックもできますので、ぜひご覧下さい。
       
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ・発行者      金子洋一
 ・画像入りブログ   http://blog.guts-kaneko.com/
 ・携帯用      http://guts-kaneko.com/x/mt/mt4i.cgi
 ・ホームページ    http://www.guts-kaneko.com/
 
  ご意見、ご希望などのご連絡は、こちら↓の電子メールフォーム
  からお送り下さい。
  http://blog.guts-kaneko.com/2003/10/post.php
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る