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OECDエコノミスト、大学講師、シンクタンク研究員としての経験を活かし、私、金子洋一が景気や金融、国際問題など時事的な経済ニュースをテーマとして、その向こうにある経済の将来の姿について解説します。質問も歓迎です。一緒に考えましょう!

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2008/12/10

中小企業への30兆円特別信用保証制度【金子洋一「エコノミスト・ブログ」】

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 --- ◇ 『金子洋一「エコノミスト・ブログ」』  -------------------------
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 ---------------------------  平成20(2008)年12月10日号  -------------
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  ◇中小企業への30兆円特別信用保証制度復活を断行すべき
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  以前のエントリーで、
 《我が国の場合、金融セクターがそれほど損なわれているわけではない一方で、
 景気悪化の影響が特に地方や中小企業という国民経済を構成する最も弱い部分に
 集中的に現われているために、普通のやり方の景気対策では効き目が期待できな
 いことが予想されるからです。輸出主導の景気回復ではたしてこれらのもっとも
 痛めつけられているセクターに効果が及ぶかどうか、疑問です。》(日本は財政
 出動はしない方がいい )
  と書きました。その時にまず最も大切な政策として念頭に置いていたのは、金
 融機関による貸し渋り対策として平成10(1998)年からおこなわれた総額30兆円
 の中小企業への特別信用保証制度の復活だったのですが、世間ではばらまきであ
 るとか批判を受けていたために望み薄ではないかと漠然と考えていました。
   
  しかし、民主党の「経済対策関連法案について」にしっかりと明記されている
 ではないですか!
 《「特別信用保証」制度を復活させ、信用枠30兆円を確保する。セーフティネ
 ット融資(原油高騰関係)の既往貸付の繰延返済を認めると共にセーフティネッ
 ト信用保証の対象業種を900業種(創業後3年以上)に拡大する。》(民主党
 :経済対策関連法案について)
  政府与党からではなく野党である民主党がこういう政策を出すことに大変大き
 な意義を感じます。逆に政府与党の第1次補正予算には最大6兆円の緊急信用保
 証制度しか入っておらず、悪い制度ではありませんが、市町村の認定が必要であ
 るなど、規模でも条件面でも足りません。
   
  この特別保証枠は、従来の信用保証が担保や連帯保証人の面でやや厳しかった
 ものであったのに対して、かなり条件を緩め、ひらたくいえばとにかく倒産の危
 機を脱してもらうことが目的の制度でした。審査も緩いことからモラルハザード
 を招きかねないという批判もありましたが、1997年から1999年の日本経済の最悪
 の期間には大きな役割を果たしました。結果的に、大幅な債務超過に陥ってしま
 っていた企業以外は特別信用保証枠の恩恵にあずかり、つなぎ資金の融資を受け
 ることができたのです。(信用保証協会に対しては最終的には政府が資金を支援
 することになります。)
   
  通常の公共投資などの財政支出と比較しても効率が必ずしも悪いものではあり
 ません。特別信用保証枠を利用して中小企業に対して貸し出しが行われた28.9兆
 円のうち、信用保証協会によって代位弁済が行われた金額(つまり、お金を借り
 た企業の代わりに信用保証協会によって返済が行われた金額)は2.3兆円、8.1%
 でした。その代位弁済された債権は、信用保証協会が最終的には借金をした企業
 から回収するのですが、その比率は現時点では12%となっており、事前に想定し
 ていた5割を大幅に下回るものの、逆にいえば、すくなくとも企業から91.9%の
 返済は行われたということですから、緊急避難的な政策としては大変に有意義な
 政策だったといえるでしょう。
   
  もちろん、担保を持っている企業からは担保の提出を求めるなど運用面での改
 善は必要だと思いますが、現在最も必要とされている政策がこの特別信用保証制
 度の復活だと考えます。地銀などの金融機関の所管は財務省、一方で信用保証協
 会の所管は経済産業省です。中小企業金融という大切な機能が、縦割り行政のす
 きまに落ちてしまわないことがとにかく大切です。
   
  この政策は、資金繰りの窮地に陥っている中小企業につなぎ資金を融資するも
 のであり、将来に禍根を残すような無責任なばらまきとは異なります。中小企業
 をめぐる資金繰り環境は平成17(2005)年夏をピークに悪化を続けています。地
 方の中小企業の経営を助けるために速やかな実施を望みます。(その前に民主党
 が政権を取らなければはじまりませんけれども。)
   (データについては、渡辺努、植杉威一郎著「検証中小企業金融」日本経済
    新聞出版社を参考にしました。)
   
   
    
 
 
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 ・発行者      金子洋一
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