2009/01/01
第32号『今日よりぞ!』~吉田松陰の詩から~
自分の原点を見つめなおそうと、先日松下村塾に足を運びました。 寒風吹きすさぶ粗末な小屋を見るたびに、ここで学問をした幕末の志士達、そして吉田松陰先生の志が伝わってきます。 松下村塾そばのお土産屋の端に置かれていた明倫小学校編『松蔭先生のことば』を読み、非常な感動を覚えたので、ご紹介させてください。 松下村塾に近い明倫小学校では、毎学期ごとに吉田松陰先生の言葉を朗唱していて、計18個の暗唱文を卒業式で披露するそうです。 卒業式といえば、合唱や劇などを卒業前に突貫工事で準備するもの・・・そう思っていた私には驚きでした。 1年生からの学校生活で、毎日暗唱した漢文を、最後の卒業式で披瀝するという「つながり」。 これは卒業生にとっては最高の財産となるはずです。 明倫小学校の1年生が、1学期に毎日暗唱する詩がこれです。 「今日よりぞ 幼心(おさなごころ)を打ち捨てて 人と成りにし 道を踏めかし」 -『松蔭詩稿』- (訳)今までは、親にすがり甘えていたが、 元服した今日からは、自分のことは自分でし人生を進んでいこう。 吉田松陰26歳の時の言葉。 松蔭の従兄弟に当たる玉木彦介が元服した際、「彦介の元服を祝す」と題して贈られました。 幼心という言葉は、私の好きな橋本佐内の『啓発録』でも、志を成し遂げるためにまず「稚心を捨て去る」という記述が見えます。 また松蔭は次のような言葉を彦介に宛てています。 「武士は壮健に育ち申さず候ては物前の用に立たざるは勿論なり。 尚ほ亦十余歳に成り候ては根気強く物に堪え候様の修行肝要に存じ奉り候」 根気良く物事に取り組み、堪えて目的を達成することを、修行と捉える。 仕事も、勉強も、つまるところは「根気強く物に堪える修行」であるはずです。 09年も粘り強く物ごとに当たっていこう、松下村塾と松蔭先生の言葉は、私にそう思わせてくれました。 明倫小学校編『松蔭先生のことば』680円、値段以上の価値ある、気高い書物です。


