2009/10/24
中国の高成長を心配する
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2009年10月23日 第73号
「中国株投資レッスン」
TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
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目次
1.中国の高成長を心配する
2.お知らせ
1.中国の高成長を心配する
22日、第3四半期の実質GDP成長率が8.9%であったと公表された。
直前にマスコミは9%超になるだろうとする意見を大きく取り上げていた
ので、コンセンサスと比較すれば、少し低かったかもしれない。しかし、
第1四半期6.1%、第2四半期7.9%と比べると、第3四半期も、
第2四半期に続き大きく回復したといえよう。ちなみに、昨年の
第3四半期は9.0%であり、ほぼ同じ成長率まで回復している。
しかし、どうしても数字通りにこの結果を評価することができない。
なぜかといえば、支出項目の動向と少しギャップがあるからだ。中国では
四半期ベースでは支出項目、デフレーターの発表は行われない。
カバレッジの異なる名目値である月次データの動向をみるしかないのだが、
それらが示す傾向はそれほど強くない。
まず、月次の設備投資をみると、伸び率のピークは5、6月である。
7~9月の伸び率が低いわけではないが、明らかに鈍化している。また、
7~9月の小売売上高は少し回復しているかなといった程度である。
貿易収支については前年後半が史上空前の巨額黒字であったことから、
7~9月の貿易収支減少率は第2四半期よりも拡大している。
一方、物価をみると、CPI、PPIともに7月をボトムに減少率が
縮小している。デフレーターが大きく変化した可能性は低いであろう。
少なくともこれらの支出側のデータをみる限り、第3四半期の成長率が
第2四半期と比べて大きく回復しているようにはみられないという
ことである。
もっとも、月次の動向でもGDPと同じ動きをしている統計がある。
それは工業生産(付加価値ベース)である。7~9月は4~6月と比べ、
大きく拡大している。昨年の7~9月と比べると若干低いが、物価は
大きく下落している。いずれもGDPの動きと整合的であるといえよう。
この矛盾の原因は在庫にあるような気がする。月次の工業生産、
四半期GDPともに、在庫も“生産の内”である。支出側での在庫の扱いは
意図せざる“投資”となるわけだが、設備投資の月次統計でそれがきちんと
把握されていないのではないか。
国家発展改革委員会は20日、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、
多結晶シリコン、風力発電設備などは生産過剰であると指摘している。
これらの産業を中心に、在庫を積み上げていることが生産好調の重要な
要因なのではなかろうか。
政府は過剰生産、重複投資、無駄な投資を如何に抑えるかに腐心している。
今回の景気回復は、政府による内需拡大策、金融緩和政策によるもの
である。市場経済が不完全なうえ、政府の人為的な関与によって、総需要と
総供給の間にミスマッチが起こっている。一生懸命、“余っているもの”を
作り、“必要のない”設備投資を行い、それで景気回復を達成している
部分がありそうだ。
こうした問題は何も今に始まったことではない。それほど心配することは
ないとは思うが、GDP成長率が高すぎること、回復が急激であることは
決して手放しで喜べることではない。
これから年末にかけて、来年に向けた国務院の計画が練られるわけだが、
追加の景気対策、金融緩和の継続といったポジティブな政策ではなく、
過剰生産、重複投資の禁止、不動産価格高騰の抑制、産業構造の調整と
いった政策がむしろ目立って出てくるかもしれない。第4四半期から
企業業績は大きく回復に向かうはずである。株価が下落トレンド入りする
とは思わないが、調整局面を迎える可能性はあるだろう。いずれにしても、
国務院の政策が株価の方向性を大きく左右しそうである。
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2.お知らせ
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