2009/07/11
新疆暴動は経済にも株価にも影響なし
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2009年7月10日 第58号
「中国株投資レッスン」
TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
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目次
1.新疆暴動は経済にも株価にも影響なし
2.お知らせ
1. 新疆暴動は経済にも株価にも影響なし
5日北京時間午後8時、新疆ウイグル自治区ウルムチで暴動が発生した。
暴徒化したウイグル族が商店を破壊し、車を焼き払うなどの破壊行為を
行ったため、武装警察は武力でこれを鎮圧した。新華社によれば、死者は
156人、負傷者は1080人。その後も、ウイグル族によるデモ、漢民族
市民による報復デモなどが起きている。また、8日、胡錦涛国家主席は、
この問題に対処するために、サミット会義に参加せず帰国している。
確かに、凄惨な事件である。しかし、マーケットは全くと言っていいほど
反応していない。発生直後、新疆で天然ガス事業を行っている
ペトロチャイナが影響を受けるのではないかと話題になった。株価は
1週間で3.5%下落したが、パニック売りが出たわけではない。
新疆地区を本拠地とする企業は32社。それぞれの株価をチェックしたが、
全くといっていいほど影響はない。冠農股フン(600251)の
株価などは1週間で19.2%上昇している。
投資家が株を買ったり売ったりすることを共産党がコントロール
できようはずもない。マーケットが反応を示さないということは、
「中国本土の投資家は、“経済の成長に対しても、社会の安定に対しても、
この暴動の影響は小さい”とみている」といえよう。投資家はリスクに
敏感である。その投資家がこのように考える以上、中国社会全体が同様の
評価をしていると拡大解釈してもよさそうだ。
一方、日本の報道では、混乱が長期化して、経済に悪影響があるのでは
ないかといった論調が多くみられる。中国社会の評価とはまるで違う。
どこで食い違ってくるのだろうか。
共産党が報道規制を敷いていて、国民は事実を知らされていないといった
意見がある。しかし、少なくとも、テレビでも、インターネットでも、
事件は報道されていた。事件発生の事実は、中国人なら誰でも知っていた
といえよう。
原因について、“海外の反政府組織が国内のウイグル族を扇動し、
引き起こした”と中国側は説明している。一方、日本では、“漢民族に
抑圧されているウイグル族が不満を鬱積させていたところに、先月広東省
おもちゃ工場で漢民族がウイグル族を殺害するという事件が発生、
その事件をきっかけに暴動が起きた”といった説明が多い。
どちらが真実に近いのかはわからない。しかし、はっきりしていること
がある。中国は人口の9割以上を占める漢民族が支配する国家である。
ほとんどの漢民族は共産党の説明を正しいと認識している。これは国内の
多くの中国人(漢民族)と接していればはっきりとわかることだ。つまり、
武力による弾圧を中国社会は圧倒的に支持しているといえよう。
こうした状態で、社会が不安定化するはずはない。海外が人権問題で中国を
批判しようとも、それによって中国社会は却って団結し、むしろ安定化する
のではないか。
新疆ウイグル自治区の名目GDPは中国全体の1.4%(2007年)に
過ぎない。自治区のGDPには多少の影響はあるだろう。しかし、
他の地域との関連性は低い。今、中国政府は沿岸地域の立て直しに必死
である。発展条件の悪い内陸への注目度は低下している。
エネルギー開発では多少の影響はあるかもしれないが、その他の
内需拡大策に関しては、影響は皆無と言っていいだろう。
こうして考えてみると、株価が影響を受けないのも納得できよう。
唯一心配なことは、暴動がチベットに飛び火し、さらに、リスクがあまり
意識されていない青海省や内モンゴルなどでも民族問題が発生すること
である。今年10月10日には建国60周年を迎えるが、各地でいろいろな
行事が予定されている。海外の反政府勢力からみれば、それらは格好の
標的となりそうだ。
もっとも、中央政府は、昨年、チベット騒乱、聖火リレー妨害事件などを
経験しており、その上で最大の危機であった北京オリンピックをうまく
やり過ごしている。世界の注目度から判断する限り、オリンピック時の
リスクと比べれば、今回の60周年のリスクは小さいはず。共産党の高い
管理能力を信じるならば、他地域に広がる可能性は非常に低いであろう。
今回の暴動について、それほど心配する必要はないようだ。
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2.お知らせ
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