2009/06/18
「上海協力機構」、中国経済圏拡大のトロイの馬、ロシアの焦り
★☆★ 「現代ロシア政治・経済の展望」 ★☆★
2009年6月18日 (木)
★ 「上海協力機構」、中国経済圏拡大のトロイの馬、ロシアの焦り
6月15日〜16日、ロシア・ウラル地方のエカテリンブルグ市で開催
された国際会議で、中国国家主席の控えめな行動に比べ、開催国の
ロシア側は、メドベージェフ大統領の力みが目立った。
勿論、主催国であるから、どの場でも主役。ところが経済大国中国の
胡錦濤主席は物静かで、感情を抑え、ジェスチャーも小さく、あくまでも
控えめ。
カザフスタンのナザルバーエフ大統領は年功から結構目立っていた。
さて、ロシア、中央アジア、中国による同地域の政治経済協力と地域の
安全を柱にしたこの組織の目的は価値観において、反米、反欧州なのか、
グローバリズムの地域限定連合なのか。
イランのアハマドネジャフ大統領の出席が特筆されたように、ロシアの
狙いは反米地域連合が見え隠れする。ところがインド、アフガニスタンも
オブザーバーとして招待されており、その内実は意外と矛盾に満ちている。
ここで一人勝ちは中国である。
経済危機が一山超えた中国の余裕が随所に見られた。まず、上海協力機構
に100億ドルの供出を宣言。慌てたロシアは、ドゥヴォルコーヴィチ
大統領経済補佐官が、「この資金を経済危機対策に回してはならない」と
苦しい胸の内を吐露してしまった。
カザフスタンは既に200億ドルの融資を受け、トルクメニスタンも30億
ドルの融資により天然ガス田開発を促進。タジキスタンは電力不足解消の
切り札「水力発電所」建設の支援を約束されたようである。これは、ロシア
の権益とぶつかる問題だが、経済事情の苦しいタジキスタンは一向に腰を
上げないロシアへの牽制球を投げたものと見られる。
このように、経済危機がもろに国内製造業を襲ったロシアの窮状を見透か
したような中国を前に、プーチン首相も心穏やかならず、と言った風で
あった。
胡錦濤主席との会談で、皮靴が落ち付かなく絨毯を叩く。
そのプーチン首相は10月、訪中の予定。
★ 韓国と中国を天秤にかけるカザフスタン、ウズベキスタン
カザフの油田の20%が中国資本。中国脅威論が未だに消えないこの国
では、日本、韓国などの経済進出を大歓迎。
中国との激しい競争入札で、バルハシュ火力発電所建設を受注。
2454億円相当。
ウズベキスタンは韓国車が主流。
★ 中ロ国交樹立60周年でモスクワ入り、胡錦濤主席、史上最大の
100億ドルエネルギー関連契約
エカテリンブルグ市で開催された上海協力機構、BRICs会議を終えた
胡主席は6月17日、モスクワ入り。今年60周年を迎える両国の国交
樹立記念式典に参加予定。
メドベージェフ大統領は両国の経済関係の拡大と国際貢献について意見
交換。そこで、アメリカ・ドルに替わる国際決済通貨問題で具体的提案。
両国間の貿易決済はルーブルと元で行なうと言うもの。すでに、財務省と
中央銀行に検討を指示したとのこと。
果たして、中国がルーブルを決済通貨として認めるか、関心のあるところ。
ところが、胡主席は「中国へのパイプライン敷設は計画期間内に完工しな
ければならない」と述べている。エネルギー戦略が最優先とみえる。
売る側のロシアは資金不足。どうしても中国が有利な条件で交渉を進めて
いるように思える。
それとも、石油、天然ガスの供給が開始されれば、その後からは、
「止めるぞ」の脅しでイニシャティブを取れると言う「深謀遠慮」の
ロシア戦略?
★ ベロルーシの乳製品輸入再開、ロシアの駆け引き?ルカシェンンコの
勝ち?
ベロルーシが1996年から中断していたロシアとの国境検問の再開と
税関検査の強化の動きを見せて2日後、何があったか、急遽、ロシアは
ベロルーシの乳製品の輸入を許可した。ドライミルクは9月一杯禁止は
変わらずとか。
プーシン首相は閣議でクードリン財務相の方をみながら、「言葉は慎まな
けりゃならない。例え相手が何を言おうと、感情的になっては
ならない・・・」。
ニヤリとした表情。それはベロルーシのデフォルト可能性を口走ったこと
への忠告なのか、それとも、「ベロルーシには、もう大統領の席に
飽きた人がいる」(ルカシェンコ大統領への恫喝)と言った
メドベージェフ大統領への忠告なのか、それとも最近の自らの感情爆発を
自省してのものなのか、意味不明。
それにしても、最近のプーチン首相、やたらと感情を爆発させ、TV映像で
それを放映させているが、国民受けを狙ったものとすれば、現代政治体制
からはどんどん後退した「先祖返り」(共産党書記長型)になると危惧する
向きが多くなっている。
★ ダーリキン沿海州知事、夫人の資産で「ロシア・タングステン工場」
再開
美談?いや、プーチン首相が来る前に解決せざるを得なかっただけ。
それにしても、自分名義の不動産も自家用車もなく、清潔知事と思いきや
ウラジオの劇場で女優業の傍ら、ビジネスで財を成した奥さんが結構な
「古いマフィア」系とか。
★ 極東管区、賃金未払い状況、イシャーエフ極東大統領全権
ヤクート共和国が最大で5億ルーブル(約15億円)。ハバロフスク州
(注:「地方」と訳すのには抵抗があるので、失礼。因みに、
ウクライナ大使を解任された元首相のチェルノムイルジン氏は、
「Na」ウクライーネ 、とは言わず、「 V 」ウクライーネ、と
訂正している。時代の流れ。「地方」と訳すなら、正直に「辺境」と
訳したほうが正しい?)の賃金未払い金4億ルーブル(約12億円)の
ほとんどが「ダリアビア」(極東航空)と「コムソモールスク・ナ・
アムーレ造船工場」の倒産によるものとのこと。
★ ロシアの工業生産、5月 17%下落(対前年同期比)、自動車工業は
64%の下落
確かに、悲観論が出てくるのが理解出来る。製造業の崩壊に近い
このような数字、ロシアが抱える産業構造の転換の遅れがここまで事態を
深刻化させているとは。
トラック製造は72%下落(対前年同期比)。
フリステンコ工業大臣の悲観論はもっともなこと。プーチン首相の国内
産業保護の掛け声にも一定の理解が出来る。
国外に流失したオルガルヒー(寡占資本家、成金資本家)の資産を
「税の控除」政策で還流させるか、タックスヘーブンの規制をアメリカと
一体となって実現するのも一つの手ではないだろうか。
本当は、経済の自由化と経済マフィアの跋扈、汚職官吏の蔓延が同時に
発生したことが悲劇の始まり。しかし、解決できないことはなし。
国民の声を反映する議会。それには政治の自由化が「急がば回れ」の
解決策ではないだろうか。
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前号での「日経平均もこのまま上昇は無理。ロシアもそろそろミニ
バブルの調整を予見しておいた方が無難。」は当たったようです。
RTS指数、MICEX指数は1000台を割ってもしばらく反発は
弱いと思います。
いつものとおり、自己責任でお願い致します。
文責 ヨーゼフ・サハロフスキー
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