2009/05/06
メドベージェフ大統領の「口さき」公約、それでも民主改革派、リベラル派には「錦の御旗」
★★ 「現代ロシア政治・経済の展望」 ★★
(2009年5月6日)(水)
★ メドベージェフ大統領の「口さき」公約、それでも民主改革派
リベラル派には「錦の御旗」
1年前の5月7日、大統領就任式。明日で1周年。この間、プーチン
首相の「操り人形」説から「2頭政治」説まで諸説紛々。1年経った
今でも、目に見えて政治や経済、社会の「民主改革」化が進んでいる
とは言えないかも知れない。
しかし、国のトップが日頃から、「憲法重視」、「法治国家の確立」
「国家の干渉の抑制」などを唱え続けていることは、その権力者の下で
働く司法、治安を含めた行政官僚を一定の枠に押し込め、また裁量権
の発動においても方向性が決まってくる。
この1年間で、プーチン前大統領の強権政治下で「萎縮していた」
人びとが、徐々に「社会的雰囲気」の変化を感じとり始めている。
特に、世界同時経済危機(未だに、アメリカ批判だけに救いを求める
人々が多いのだが)によるロシア経済の打撃の大きさを過小評価し
その対策が遅れたプーチン首相の「自信喪失」に乗じて、経済界や
民主改革派、野党勢力(共産党もふくめ)が勢いづいている。
レバダ・センターによる世論調査で、若干の支持率低下が観測される
プーチン首相。それでも76%は立派な支持率。勿論、世論調査の
手法によって、この数字は変化するだろうが、同じ統計手法を継続して
使用したものの結果であるから、一定の信頼度は保証される数字。
そのプーチン首相の内政と外交政策で大きな齟齬が生じていない
メドベージェフ大統領の日頃の発言は、プーチン首相の暗黙の「了解」
を示唆しているのかも知れない。
かつてのプーチン氏なら、「一部ジャーナリストの発言は国益を
損なっている」位のことは日常茶飯事だったが、現在は、それほど
露骨な表現は聞かれなくなっている。心底、「民主改革は、長い目で
見れば国益に適う」と確信しているかは知らないが、メドベージェフ
大統領の「過激」発言と行動に目くじら立てていると言う噂は流れて
こない。
1、先月、モスクワで、「民主改革派の学者で、ロシア科学アカデミー
経済研究所社会政策センター理事、現代発展研究所幹部のゴントマーヘル
氏が大統領と定期的に会っていると言うのは嘘である」との噂が出ると
メドベージェフ大統領は敢えて、マスコミ取材班を引き連れて彼の
研究所を訪問。1時間半にわたり、「ロシアにおける失業者問題と
その対策」に関して、ゴントマーヘル氏やその研究所スタッフから
意見を聴いたと言うから、その行動がリベラル派を勇気づけている
のは当然である。
この注目すべき経済学者ゴントマーヘル氏の略歴は面白い。
エリツィン大統領時代に大統領府に引き上げられる前から政府系機関で
働いている。
1975年、モスクワ大学地理学部卒業、経済博士、現在55歳。
卒業後、ロシア連邦ゴスプラン付属経済研究所を経由して、
1998年〜2003年、プーチン首相、カシャーノフ首相時代、
首相府社会発展局局長を歴任。
現在は、歯に衣着せぬ舌鋒で、ロシア経済の危機の深刻さとその脱出の
ための過激な提案でマスコミの注目を浴びている。リバラル派マスコミ
への出演も頻繁である。
2、メドベージェフ大統領は4月22日、モスクワ郊外で開催された
「全ロシア・インターネットフォーラム」で、インターネットは情報
交換手段として最高のものであり、双方向性が保証されたブログの
重要性などに関して、率直な発言をしている。
本人が毎朝、インターネットを覗くだけでなく、大統領府サイトに
ブログを開設している。それだけでは止まらず、そのブログを
一般サバーの「ジボイ・ジュルナール」(「live journal」)に
リンクさせたことから、国民による書き込みが急増している。
すでに報道されている通り、リャザン市内の子供病院の施設の老朽化
などを「写メール」投稿した主婦の要請に答え、即行政責任者に改善
を指示している。
これは、当然のことといってしまえばその通りなのだが、ロシアでは
画期的なことと言って良い。何故なら、書簡による「直訴」は取り巻き
による「検閲」でボツになり、直訴の意味をなさない可能性がソ連時代
からあった訳であるから、書き込みの「許可」の意味は大きい。
YNDEX(ロシア最大のポータルサイト)調査によれば、ロシアに
おけるブログ開設数は800万とか。内、個人は50万。
3、勿論、国家によるインターネットの監視がなくなった訳ではない。
「URA.ru」(「万歳.ロシア」サイト)に「事実に基づかない
書き込み」があり、ロシア通信管理委員会がプロバイダーに対し
削除警告を出したが無視し続けており、プーチン首相が「閉鎖」を示唆
する事件が起きた。
また、昨年12月、エリツィン大統領(故人)の出身地スベドロフスク州
のインターネット・サイトに「サンタクロース」名で、地元警察幹部
(内務省スベドロフスク地方総局副局長ベルドニコフ大佐)の汚職を
暴露した書き込みがあり、その詳細が余りにも内部情報に合致していた
ため、現在まで捜査が続き、匿名投稿者探しが行なわれている。
しかも、「名誉毀損」罪で検察庁捜査委員会が動き始めたということで
特に注目を浴びているが、プロバイダーは利用者に個人情報を求める
ことがない為、「3分間」だけで書き込みを終わったこの「犯人」
特定は無理と言われている。
内務省内部の人間による「告発」と見られている今回の事件、正義犯か
個人的恨みか、いずれにせよ、ロシア全土を被う収賄の筆頭が
教師、医者、警官と言うから、困ったものである。
その摘発内容は「小口」であり、「大悪党」の大物が検挙されない限り
風土の急改善は望めないと言う意見が今回の事件の背景にあると
思われる。
投稿者はまさか、メドべーべージェフ大統領の「意を」汲んだ愛国者?
4、既報のとおり、過激リベラル派新聞「ノーバヤ・ガゼータ」紙との
インタビュー
5、「ユーコス」社バフミナ法律顧問の仮釈放(出産と著名人による
人道主義署名活動の広がりなどがあったとは言え)は大統領の判断
が大きい?
6、ソチ市長選の混乱回避(民主改革派ネムツォフ候補の登録許可と
生命保護)
不正選挙の臭いがしたソチ市長選挙は4月26日、与党「統一ロシア」
の候補パホーモフ市長代行が76.86%の得票率で快勝。
ネムツツォフ氏は13.6%、共産党候補ザガーニヤ氏が6.75%。
選挙妨害や不在者投票の実態が不明なこと、北オセチア、アプハジア
共和国から「不法移民」が大量発生していたなどの情報もあり、褒め
られたことではないが、アルコール振り掛け事件を除き、ネムツォフ氏
に対する「白色テロ」が回避されたのは幸いである。
相当、モスクワからの「身辺保護」命令が徹底していたはず。
★ グルジア国境はさみ、NATOとロシアの対峙、ロシア人外交官
2名の国外退去
NATO参加国の13ヶ国軍が5月20日からグルジアで演習予定。
アルメニアは不参加。グルジアでは5月5日、野党勢力による辞任要求
が続くサアカシビリ大統領が突然、軍幹部によるクーデター計画を摘発
ロシアの関与を示唆し、またまた緊張関係に。
そのロシアはロシア国境警備軍を北オセチア・グルジア国境に展開。
ブリュッセルからロシア人外交官2名がスパイ容疑で国外退去命令。
ところが、「手駒?」がないのか、それとも関係悪化を望まないのか
ラゴージン・NATO駐在代表の「こけおどし」があったにも拘わらず
モスクワからの西側外交官の報復退去命令のニュースは流れてこない。
イラン問題、アフガニスタン問題でロシアの妨害だけは避けたい
オバマ大統領、ロシアとの「関係」改善に腐心?
ロシアはロシアで、プーチン首相も半年前の考えを変え、経済危機を
救うには「海外資本」の再流入が不可欠とばかり、知事連中を引き
連れて日本にやってくる。
★ ロスネフチ社長セルゲイ・バグダンチコフ氏、会費未納で
「ロシア産業・企業家同盟」除名の怪?
年会費30万ルーブル(100万円強)が払えない訳がない。
ダーリキン沿海州知事解任後の後任説?
★ ロシア城下町の惨状、ウリヤーノフ州「UAZ」
(ウリヤーノフ自動車工場)の生産、半減
★ 「中国、老朽化工場の廃棄で経済危機乗り切り」に学ぶ
ロシア鉄鋼大手「セーベルスターリ」
需要が半減した製鉄業、旧ソ連時代でさえ、もはや廃棄すべきで
あった老朽設備、世界経済バブルのおかげで、非効率的設備で生産して
きた。
しかし、お隣の中国では、今回の経済危機を奇禍として、「環境汚染が
深刻でエネルギー消耗の大きな遅れた」老朽生産設備(鉄鋼、石油化学
繊維、軽工業など)を3年間かけて、更新するとのこと。
「セーベルスターリ」をはじめとするロシアの製造業発展のため、
先行投資を。
★ 注目されるメドベージェフ大統領の「予算教書」(8月25日)
歳入不足と重点歳出のバランス
社会保障費、年金予算の削減は国民不満の高まりと政権の不安定化を
もたらす。地方の忍耐の限界。
★ 1972年モスクワ郊外「泥炭層火災」の再来警告、
ショイグ緊急事態相
猛暑の1972年、泥炭層まで延焼し、消火が大困難となり、
モスクワ市内まで煙害が及んだあの悪夢を警告。当時とは格段に
違う車社会。キャンプ、野火、タバコのポイ捨てには厳罰を !
シベリアでは相変わらず140箇所以上で山火事中。
文責 ヨーゼフ・サハロフスキー
原油(WTI)も54ドル台で推移し、株価指数RTSも
MICEXもそれぞれ年初来高値を更新中。DOWも順調に回復
NIKKEIも同じく回復基調。5月危機説が外れる公算が高く
なっている。
金子勝教授は相変わらず、「アメリカ、日本経済」崩壊説で
頑張っておられるが、果たして、年末にどのような解説をなさるか
見もの。
ロシア語発音に忠実にと考え、「V」と「B」を区別するため、
「ヴ」を使用してきましたが、妥協して、すべて「B」に統一します。
「D」と「J」も「ジェー」に統一致します。
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