2009/02/26
68年以前を知らない
■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】 第198号 2009/2/26日発行 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 1ごあいさつ お久しぶりです木棚です。 風邪をひいたり、ノイローゼーになったり、 していたらメールマガジンを出さないまま時間が過ぎました。 思想地図のシンポジウム「アーキテクチャーと思想の場所」 http://www.hirokiazuma.com/archives/000476.html を見てきたり、 ゼロ年代批評night http://d.hatena.ne.jp/cervezamana/20090225/1233594743 を見てきたりしてました。 色々、書こうと思えば書けるのですが 取り合えず、最近一番ショックだったのは 週刊読書人で、 http://www.dokushojin.co.jp/ 昨年十二月に亡くなった加藤周一さんの追悼対談で 海老坂武さんが話ていた内容です。 2追悼加藤周一 ・ 雑誌太陽で60年代から加藤周一氏の連載はあったが、 印象に残っていない。 ・ 太陽と言えば、丸山真男・清水幾多郎であった。 ・ 70年代に入って加藤周一氏に興味が行くようになった。 ・ 68年の革命は知識人批判であった。 ・ 69年に加藤周一氏はドイツで教鞭を取っていた。 ・ 批判される知識人の中に加藤周一氏自身も含まれており、 69年にはあまり良い思いをしなかったらしい。 ・ 加藤氏はアメリカのヒッピーなどには共感を示しているが 実際に肌で体験したヨーロッパの革命には言及を避けている。 大雑把に言って、こういう内容の話を海老坂さんがしていて まず自分にとってショックだったのが、 加藤周一や吉本隆明などは、60年代からスターだったと思っていたが 実は68年以降にスターになった人たちであった。 という部分で、60年代から文筆活動はしていたがスターになったのは 68年以降であること。 68年の革命は知識人批判の運動であり、 68年以降スターになった人は、知識人−大衆の二項対立の中で 大衆側に組した人たちであること。 そして私個人が68年以前の日本の知識人の文章を ほとんど読んでいないこと。 つまり、私は無知だということに改めて気付いたという話ですが。 68年に何が起きたのかですが、チェコの民主化運動を ソ連が軍事介入して潰した。 そのことに対する批判などが世界中に広がった。 ソ連の社会主義は、戦争をせずに済む国家システムとして考えられた物で 当時は、社会主義国家は戦争をしない物だと思われていたのが 実際には、チェコというソ連にとって弟分にもあたる国家に対して 戦争を仕掛けるダメな制度だということが、公になったのが 68年です。 マリー・アントワネットが贅沢三昧をしてフランスの経済を どん底に落として、それに対して革命をおこした市民が 世襲による王制を止めて、普通選挙による民主制を実行したというのが 近代化だとすると。 近代化を行なったにも関わらず、二度の世界大戦でヨーロッパは 壊滅的な打撃を受けて、このままじゃダメだとなった。 戦争をしないシステムの一つとしてマルクス主義というのが 台頭した。 それとは別に、戦争を行なうファシズム国家が 何故生まれるのかを考えた時に、民主制の根幹である大衆が無知で 無教養であるために、悪い一部の 高級官僚(テクノクラート)にだまされて ファシズムを選択してしまう。 大衆に高度な教育を与えれば、戦争は起きないのではないかと 考えられた。 実際にその高度な教育を与えれた大衆=ベビーブーマー世代が 大学を卒業する頃が、ちょうど68年で、 日本に関して言うと、それまで大学は高級官僚(テクノクラート)を 育てる場所で、大学を出れば、職業知識人として、 ある程度の安定した地位なり収入なりが、保証されたわけです。 それこそ旧帝国大学なんていうのは、日本に7校しかないわけで 北海道に一校、東北地方に一校、関東地方に一校、東海地区に一校 みたいな数なので、その大学を出て公務員になれば、 小学校の校長とか、警察庁の署長ぐらいにはなれるわけです。 高度な教育と、収入や安定が結びついている。 勉強をすれば、良い生活が出来て、安定した暮らしが送れるという のどかな学歴社会があった。 これが優れた選挙民を作る民主化のために すべての国民に高度な詰め込み教育を施すのだ、 という方向に行くと、 勉強をしかたら良い生活ができるというわけではなく 受験戦争から落ちこぼれるとまともな暮らしが出来ないという 脅迫に変わっていくわけで、 それに対する反発が68年の学生運動につながっていく。 ヒッピーなどは、イギリス人だとインド、アメリカ人だと南米に行って 時計に縛られない生活をする。 太陽がのぼると起床して、太陽が沈むと寝る。 南米やインドだと、太陽がのぼっている時=午前、 太陽がのぼりきった時=正午、太陽が沈む時=午後、 太陽が空にないとき=夜の四つの時間概念しかないから、 2時間ぐらいの遅刻では誰も怒らないし、むしろ普通だと言う。 朝9時から一時間目の授業と言われたら、 朝9時に全生徒が教室に集まるという近代的な教育がされてなければ 午前8時だろうが、午前10時だろうが、 同じ午前中じゃんという話になる。 シェークスピアとかベートーベンとかの ハイカルチャーに触れたからといって、 知識人・上流階級としての収入や地位が保証される時代が終わって 大衆全員に平等にハイカルチャーの教育が施されるようになれば ハイカルチャーの社会的価値がなくなるわけで だったらポップカルチャーに触れて、ポップカルチャーを生み出せば クリエーターとしての、収入や地位に結びつくなら、 そっちの方が良いじゃん。という話だ。 で、俺は68年以降の大衆化された知識人の著作しか読んだことがない。 68年前後はテレビの普及なんかも進んだ時期だと思うのですが 知識人がテクノクラートから芸能人に変わった時期以降の 知識人しか知らない。さすがにそれはまずいだろうと思う。 ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□ 【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験メルマガ】 登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm 登録と解除は上のページで。 関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。 http://www.tcup3.com/356/kidana.html ■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□


