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2008/11/20

ゼロアカ第四関門トップ通過雑誌ケフィア

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不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】
 第196号       2008/11/20日発行
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1ごあいさつ
終わらない自己嫌悪と闘っている木棚です。
前回のメールマガジンよりも、読者数が2人増えて28人になってます。
こんなダメメールマガジンのどこに惹かれて登録者が増えたのか?
「覚醒剤売ります」で検索したら、前回のメールマガジンに到達した
でないことを祈ります。

2ケフィア
ゼロアカ道場の同人誌で東点・太田点ともに最高点を出し、
ポルノや二次元萌えの要素を一切入れてないにも関わらず
高い売上げを出したのがケフィアで、他のゼロアカ同人誌と比べても
頭一つ抜けた質の高い同人誌になってます。

ゼロアカ第四関門で二人一組で同人誌を作ることになるのですが
ケフィアを作った二人組のチーム名が「project1980」
これは1980年代生まれの二人が組んだから、この名前
だと最初は思ったのですが、同人誌を読むと1980年代についての
同人誌を作るから、この名前だったのじゃないかと思わされます。

1980年代の東京というのは、すごく特別な意味があって
日本の経済力がアメリカを越えて「ジャパン・アズ・No1」という本が
ベストセラーになった時代で、宝島という雑誌において
70年代にはアメリカ西海岸のヒッピーカルチャーを紹介していたのが
76年77年にロンドンパンクが勃興すると、
ロンドン特集が組まれるようになり、80年には日本が経済的な意味で
世界の中心となり、東京特集が組まれるようになる。

70年代まで洋雑誌の特集を日本語に置き換えるのが
雑誌記者の仕事だったのが、東京そこが
世界一の最先端の街だという認識になり、東京の最先端スポットの
特集が多く組まれるようになり、雑誌編集者の仕事が翻訳から広告営業に
変わった時代でもある。

ゼロアカ=2000(ゼロ)年代のアカデミニズムの
元ネタでもあるニューアカ=ニューアカデミニズムが
起きたのも1980年代の初めで、
浅田彰の「構造と力」がベストセラーになった。
バブル経済が始まり、物の無い時代=生産者が力を持つ時代から、
高度消費社会=消費者が力を持つ時代に変わり、
ブランド物の服が売れ、
ファッションを記号として消費する動きが生まれ
記号論が流行り、コピーライターブームが起きる。

物余りの時代において、消費者は物を消費するのではなく
物に付いているブランド名やイメージといった記号や物語を
消費するようになる。だから売れる商品を作るには、
イメージ広告を打って、高いギャラで良いコピーライターを付けて
物語や記号を付加して高い値段で物を売りましょうという時代だった。

良くも悪くも物質文明が最も輝いていた時代で、
それこそアメリカのフィフティーズ(50’S)に匹敵するのが
アーリーエイティーズ(80‘s)じゃないかと思う。

ケフィアの中で中核をなしている記事は
福嶋亮大インタビュー「強度から意味へ 神話社会学のヒント」
濱野智史インタビュー「擬似同期化するファッションの世界」
やずや・やずやコラム「ゼロ年代的広告論」
の三つで、福嶋亮大の語る「意味」や「神話」はある種
80年代の記号論の延長で、商品と「説話」「物語」「神話」などを
結びつける話で、濱野さんのファッションも
商品とイメージの結びつきの話で
やずやさんの広告論も高度消費社会論です。

個人的で主観的な話ですが80年代という時代は
功罪ともに大きくて、アレなのですが
自分にとって最も偉大な雑誌は80年代初期の宝島で
浅田彰という甘いマスクの若き天才が出てきて、
よく分からないキラキラした単語、
リゾーム、多数多様体、ディコンストラクション、ポストモダン、
を駆使して、意味は分からないけれども心地良い文章を
音楽的に響かせていたわけで、
浅田さんが知識人として一流であるだけでなく
ポップイコン・芸能人・アイドルとしても一流であったし、
時代との相性も良かった。

アメリカン・フィフティーズを代表する歌手としてエルビス=プレスリー
俳優としてジェームズ・ディーン、女優としてマリリン=モンロー
プロレスラーとしてルー=テーズなどいて、
それぞれに優れた資質を持った人であったと思うが、
アメリカの黄金時代に活躍できたという幸運もそこにあったと思う。
50年代のアメリカにジェームズ・ディーンがいたように
80年代の日本に浅田彰がいた。その浅田彰のキラキラした
ポップイコンとしてのオーラを福嶋亮大さんや濱野智史さんに
まとわせることに成功しているのがケフィアだ。

ケフィアを見た自分の第一印象はキラキラチャラチャラしてカッコ良い。
京都という一地方都市出身の田舎者である俺が、
あこがれた世界一の大都市80‘s東京ですよ。
大学で東京に出てきて、批評空間という雑誌を見たときに
浅田彰というカワイイ童顔の男の子が、カッコ良い服着て難しい話してて
当然、話の内容なんて分からないから、
「うわぁーーこの服カッコ良い!どこで売ってんだぁー−!」とか
言いながら、ファッション雑誌として批評空間を消費していた頃の
あのキラキラ感がケフィアにはあるわけですよ。

P72の濱野さんの顔写真一つとっても、
業界人眼鏡(きくち伸・亀田誠治・佐久間正英)掛けて
テーブルの上の資料に目線を落としながら、ほほに手を当ててしゃべる
その仕草やポーズが、浅田彰!

これは濱野さんがたまたま80年代っぽいルックスで
80年代っぽい話をする人だったという話ではない。
インタビューの最後にもう一度濱野さんの写真が出てくるが
こちらは、業界人オーラゼロの太ったオタクが
ドーナッツを食べているというオフショット気味のほのぼの写真で
これを見せることで逆に、P72のインタビュー頭にある
濱野さんの顔写真がどういう意図のもとに
どういう作り込まれ方をしているのか、
読者に考えさせる構成になっている。

濱野さんのインタビュー内容一つとっても、
話の内容はビジュアル系バンドのファッションや
秋葉原のコスプレやyoutubeといった
80年代的ではない話題もあってそれを写真として見せていれば
オタクっぽい印象やサイバーっぽい印象を与えることができるが
インタビューに差し込まれる写真は、濱野さんの近影を除いて
ファッションモールの写真でブティックの看板や外装で
写真が80年代の高度消費社会論的だと
インタビュー自体もそういう印象になるわけです。

福嶋亮大さんの近影も若き天才浅田彰とダブるような写真の撮り方を
しています。福嶋さんの後ろに窓があって光が差し込んでいる。
福嶋さんから後光がさしているように見える。
逆光であるにも関わらず、顔が黒くつぶれずきれいに写っている。
おそらくはレフ板か何かを使って、
逆光の中での美しい写真を撮っている。

福嶋さんが頭の良い方だというのは最初っから分かっていることで
その福嶋さんからインタビューを取れば、そこそこ立派な物に仕上がるが
それはproject1980の能力とは無関係だろと、最初は思ったのですが
このインタビューはかなり計算された編集が施されていて
インタビューの最初にセンセーショナルで
インパクトのある話を持ってきている。

インタビューの頭にトークの盛り上がりのピークを持ってきて
成功した例として矢沢栄吉の「成り上がり」があるが
立ち読みで一行読んで詰まらなければ通り過ぎていく
読者の興味を引くために、最初にガツン!とかましている。

自分がインタビュアー=編集をやったとして、
そういう構成にすることの難しさは分かっているつもりだ。
インタビューする相手が初対面だったりすると、
まずは、「初めまして」というあいさつから入り、
お互いの自己紹介や近況などを話して、ちょっとした雑談をして
気心を知ってから本題のインタビューに入る。
その間15分から30分ほどだとして、
一応テープは最初っから回しているのだが、
あいさつの部分などは第三者が読んでも面白くないので
いらない部分なのだが、本題のインタビューに入ったとき
通常インタビューを受ける人は
先ほどの雑談の続きから、本題につなげる。

インタビュー部分は、第三者に見せること前提のショーなので
しゃべる側もキャラを作るし、面白いこと・過激なことを言おうとする。
その前の、気心を知るために入れる探りやあいさつや雑談は
自分に悪意がないことを示すための社交辞令やなんかが多く
第三者が見ても詰まらない。
その社交辞令部分の話題を引き継いで、インタビューに入ったとき
社交辞令部分を切ってテープ越しすると、ニュアンスが伝わらなかったり
意味が分からなくなったりすることが発生する。
本編と関係する雑談部分を切らずにテープ越しすると、
最初の一・二行を読んで詰まらないと感じた読者は読むのを止めてしまう。

インタビューの頭に話のピークを持ってくるには、その前段階を
後ろに持ってきてつなげるとか、脚注部分に持ってくるとか
アクロバティックな編集が必要になるが、
福嶋亮代インタビューはそれが成功している。
それは福嶋さんがすごいというだけでなく、
やずやさんの編集もすごいという話になる。

キラキラした80年代バブル、物質文明が輝き
ニューアカデミニズム(知識人=ポップスターであった時代)を再現する
ということがここまで成功している。
が、市川真人さんのインタビューにおいて、
市川さんはそもそもこのproject1980のコンセプトに
異を唱えているように見える。

3市川真人インタビュー
やずやさんが27歳で、1980年か81年ぐらいの生まれだと思われる。
これは濱野さん福嶋さんと同世代だ。
それに対して市川さんは1971年生まれで、
ちなみに私は74年生まれだ。

ブルデューの概念で文化資本というのがあるが、
日本は1945年の敗戦時に財閥解体をされているので
上流階級の歴史が途絶えている。かわりにあるのが年功序列で
60歳で定年退職だとして、会社組織のトップが50代。
新入社員が20代だとして、ハタチの新人が30歳上の人間と
ジェネレーションギャップを感じさせない同時代トークが出来れば
自分のやりたい企画や意見がガンガン通って、出世しやすくなる。

実際にはその間に30代や40代の人間もいるわけで
年齢その他から換算して、アイドルの話をする時に
吉永小百合世代なのか、山口百恵世代なのか、おニャン子世代なのかを
瞬時に判断して違和感なく同世代トークに混じるのが
日本における文化資本であったりする。

80年代のニューアカブームをリアルタイムでは経験していないはずの
80年生まれ世代がニューアカブームを再現して見せた。
再現する側からすると、これだけ勉強しましたという成果があり
情報の移動がある。けれどもリアルタイムで経験した側から見れば
懐かしのあの場面を再現するのは、情報の移動がない。

p24より市川さんの発言
「68年世代の人たちは、40年たった今でもやっぱり『68年』と
言い続けますが、20歳年下の僕等から見れば、それってあなたたちが
18歳だったときの刷り込みじゃないの、
とわずかであれ思わないではいられない。」

「逆に聞きたいわけですが、(中略)しかしその感動って、
例えば30年後の世代に押し付けていいものなのかしら?」

浅田彰カッコ良い!ニューアカ最高!と思っていた俺が
ケフィア手にしたら、浅田降臨!
濱野かっけぇーー!福嶋かっけぇーー!
と二日ぐらい騒ぐ。三日目辺りになると、これ、被写体云々とは別に
やずやさんのカメラマンとしての腕が良いんじゃないか?
やずやさんが撮れば、下手すりゃ俺でも浅田彰的オーラを
まとえるんじゃないか?ぐらいに思えてきて
だんだん編集側の作為が見えてきて
一週間ほどすると、何故市川さんの近影は浅田オーラ出てないんだ?
カメラマンの腕から言ってもっとカッコ良い写真にすることは
可能であるはずで、
早稲田文学に掲載されている写真のクオリティから言っても
市川さんも写真に関してかなり詳しいはずで、
スターとしてのオーラをまとった近影でなく、
雑誌、早稲田文学の在庫が詰まれた倉庫をバックに
倉庫管理をしている実務者です…みたいな近影にしている市川さんの意図は
どこにあるのだという見方になってくる。

浅田彰カッコ良かった。ニューアカ(知識人=ポップイコン)すごかった。
でもそれを、リアルタイムで経験していない80年代生まれの人に
押し付けて良いのか?

p27やずやさんの発言
「ニコニコ動画は違う人たちが違う時間に違うものを見ているのに、
あたかも、一緒にテレビを見ているかのような感覚で同期するという話を
濱野さんがしています。」

1974年生まれの俺はさ、主観的にはニューアカリアルタイム世代だと
思っているが、ニューアカの全盛期80年代前半は小学生で
浅田彰なんて読んでいないわけだ。90年代に高校や大学に入ってから
書店で浅田彰を読んでカッコ良いと思った。
書店で売られていたからリアルタイムだと主観的には感じているが
実際に書かれたのは、それより10年古かったりする。
やずやさん自身、主観的にはニューアカリアルタイム世代かも知れない。
どこかの女子高生が書店で源氏物語を読んで、すげー感動したら
源氏物語リアルタイム世代だと主観的には感じるかも知れない。

やずやさんの発言に対しp28で市川さんの言っていることは
痛烈で、過去において価値のあったことを今やったからと言って
評価されるとは限らない。
明治期の終わりに夏目漱石がやったことと同じことを
現代の我々がやっても、単に時代遅れになる可能性もあるという話だ。

市川さんのそれは
他のインタビュー記事と比べ、圧倒的な暗さが際立っている。
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登録ページ http://www.pat.hi-ho.ne.jp/kidana/mmg.htm
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関連HP:掲示板に感想・御批判入れて下さい。
http://www.tcup3.com/356/kidana.html
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