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2008/11/13

筑井真奈における超越性

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不定期刊行物【賞なしコネなしやる気なしで作家を気取る100の実験】
 第193号       2008/11/13日発行
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1ごあいさつ
二つ前のメールマガジンで、「ネイション」のことを「ナショナル」
と書いた木棚です。
ゼロアカ同人誌の感想でも書こうかと思ったのですが
「これ良かったよ」「面白かったよ」という感想を
一行書くのか、
これを私はこう解釈したという批評チックなことを書くのか
迷ってですね。解釈は書き手に対するある種の暴力ですので
これ、絶対、著者の機嫌そこねるよなと思う解釈がガンガン浮かんできて
まあ、嫌われたら嫌われたで、それもまた良しで書いてみます。

2筑井真奈における超越性
ゼロアカ道場第三関門の自著要約
「メタフィクションのはらむ超越性――ポストモダンにおける神の復権」
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka/youyaku/02.html

ここで問題になっている「超越性」は「神」とほぼ同義なのですが
第四章において、
風の谷のナウシカ・涼宮ハルヒの憂鬱・ひぐらしのなく頃に
の3作品をあげて、
女性の登場人物が作品内で神の位置にいることを指摘し
それを批判している。

「ここで私が問題だと考えているのは、
そのような役割を負わされるに当たって求められた形象が
『女の子』であるということだ。『男の子』が
自分の人間としての悩みや逡巡を棚上げし、
自分とは異なる他者(=女の子)に対して、
絶対的に強くたくましく間違わない存在をとして
夢見ているように私には思える。」

これは非常に面白い指摘で、3作品とも男性の作り手が
女の子を神格化している。これを女性の筑井さんが批判する。
東さんも
「むしろこのひとの魅力はジェンダー的問題系にあるのかもしれない。」
と書いている。
男の子頼りないよ、女の私に頼るんじゃないよ。って話なわけだ。
では当の筑井さん本人はどうかというと
「チョコレート・てろりすと」p76下段

「『覇王』というのは『オタク』と同じで、
具体的内容をもって初めて意味をなす。
マンガオタク、アニメオタク、鉄オタ、エトセトラ。
自分は『××オタク』といえない人は、
ただのオタク気どりの迷惑なひとなだけである。」

上記の覇王は超越と同義だ。
別の言葉に言い換えると「優秀さ」と言っても良い。
著者は東大生である以上、かなり優秀な人間だと社会的に判断される。
しかし、その優秀さは何に関して優秀なのだろうか。
上記のページでは、大学に進学したものの、何を専門にすべきか
決められずに悩んでいた著者の心情が描かれている。

ナウシカのような物語内において、神のような完璧さを求められている
女の子がいて、女の子である著者は、東大生=最高学府という
完璧さを示すレッテルの中にいて、
でも本人的には迷いも悩みもある中、
女に完璧さを求めるな、むしろこっちが男性に完璧さを求めたいよ。
ぐらいの勢いなわけですよ。

で、「チョコレート・てろりすと」の
「ミネオVS筑井対談」
ニコニコ動画によると、同じゼロアカ道場生の
ミネオ氏と筑井さんは付き合っているわけです。
その彼氏−彼女の関係にある者が対談するわけですが。
対談の第一声が
「モテ系女子の代表である筑井と、
非モテ系男子の代表であるミネオさん」
であるように、筑井さんはニコニコ動画で、ミネオ氏以外に
ラルクという男性からも言い寄られていて、モテているわけです。
片や、ミネオ氏は非モテを売りにした男子です。

この二人が百合について語るわけです。
女性同士の恋愛を描いた百合を何故男性が楽しめるのかを語る場面で。
男が女の胸を揉むのはセクハラだけど、女同士なら許される。
男は自分が性的であったり暴力的であったりするところを見たくない。
結果、男は受動的になって向こうからやってくる女の子と
偶然的にくっつく。
という話をして、それを筑井さんが
「運命のメール問題」と呼ぶ。

これってさぁ、男が彼女の前で、
「俺、浮気するよ」って言ってるようなもんじゃん。
筑井さんは遠回しに、彼女を大事に出来るの?と念押しするのですが
ミネオ氏の発言は
「同人市場とかがどんどん広がって、女の子と結婚とか
そういうルートをたどらなくても全然生きていけるじゃん、みたいな。」
というダメっぷり。

モテ系女子が、何人かいる候補者の中から、比較的まともなのを選んでも
これかよっていうダメ男っぷり。
ナウシカの作者にしろ、誰にしろ、男ってデフォルトでダメだな
超越性のかけらもねぇなって辺りに、
爆笑しました。

同誌に掲載された雑賀壱さんの批評小説「少女の食卓」も
男のダメさ加減が全面に出ていて、非常に良いなと。
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