2008/05/31
『手話』について、誤解されていませんか?
□今回のテーマは [『手話』について、誤解されていませんか?]です。 □「手話は言語だ」という言い方も 随分と聞かれるようになりましたが、 その『手話』について正確な知識を 持っている人は、日本にはほとんどいません。 □日本語の『手話』という用語で指されるものには、 2つあります。 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』と 『手指日本語(Signed Japanese)』です。 □この2つは「まったくの別物」である、 というのが、今号の要旨です。 □一般に『手話』といわれるとき、 それは『手指日本語(Signed Japanese)』です。 □NHK教育テレビの「みんなの手話」で教えられているのも、 全国各地の手話教室や手話講習会で教えられているのも、 ほぼすべてが『手指日本語(Signed Japanese)』です。 □『手指日本語(Signed Japanese)』は一般に、 『日本語対応手話』などと呼ばれます。 □それに対し、ろう者(この呼び方は蔑称ではありません。)が 日常使用するのが、 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』です。 □NHK教育テレビの「手話ニュース845」で キャスターが使っているのが、 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』です。 □一般に、 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』は 「独自の語順」がある、ろう者の「伝統的手話」であり、 『日本語対応手話』は手話単語を日本語の語順に並べた ものであると言われます。 □そして、多くの人が、この2つには大差がないと勘違いしているのです。 □しかし、本質的な問題は『伝統的』であるかどうかではありません。 □『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』は「自然言語」である、 ということが、もっとも重要なポイントです。 □「自然言語」は、幼児が特別の訓練なしで 身につけられる言語です。 □世界に数えきれないほどある「自然言語」は、 その運用効率において優劣はありません。 □自然言語には「音声言語」と「手話言語」があります。 「音声言語」と「手話言語」の間にも、 運用効率において優劣はありません。 □しかし、「手話言語」を「自然言語」たらしめているものは、 「手」や「語順」だけではありません。 □手話言語には、 『非手指動作(NMS=non-manual signals)』 と呼ばれる要素があります。 □これは、眉毛の動き、口型、うなずき、 視線の移動など、「手」以外の動作を指します。 □「手話は表情が豊かで感情が表れている」 などとよく言われます。 □しかし、『非手指動作(NMS=non-manual signals)』は、 感情をあらわしているのではなく、重要な文法上の要素です。 □『日本語対応手話』ではなく、『手指日本語(Signed Japanese)』 と呼ぶべき理由は、それが「自然言語である手話言語」ではないからです。 □『手指日本語(Signed Japanese)』は、 語順が基本的に『音声日本語』と同じです。 しかし中には、『「日本手話」的語順』に手話単語を並べて、 『日本手話』だと勘違いしている人が少なからずいます。 □語順がどうであろうと、 『非手指動作(NMS=non-manual signals)』がなければ、 自然言語としての手話言語にはなりえません。 □音声日本語をしゃべりながら 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』でしゃべる、 というのは、原理的にありえません。 □もしあなたが、『ろう者』とコミュニケーションをとりたいと願うなら、 『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』を習得しなければなりません。 □『手話は言語だ』、それは、『手以外』を用いて初めてそう言えるのです。 (そのような理由から、このメルマガでは、一般的な『日本語対応手話』 という用語ではく、『手指日本語(Signed Japanese)』という用語を用いました 。) ※『日本手話(JSL=Japanese Sign Language)』と『手指日本語(Signed Japanese )』 について説明するには、 『ろう者』『聴者』『中途失聴者』『コーダ(CODA=Children of Deaf Adults) 』『聴覚障害者』 などの用語を解説するべきですが、今回は文字数の関係で割愛しました。 ※日本手話話者である、ろう者は、 言語的、文化的マイノリティーと位置づけられるべき存在です。 また、ろう者について深く理解するには、日本手話のみならず、 『ろう文化』について理解することも欠かせません。 次号以降のマガジン内で、さらに詳しく書いていきたいと思います。 ※『日本手話』を学びたい方は、以下に紹介する 木村晴美さんのブログで推薦されている教室をおすすめします。 「日本手話」を謳いながら、ニセモノを教えている教室もあるので、 この点については十分警戒してください。 「日本手話」の文法的要素には、『非手指動作(NMS=non-manual signals)』 のほか、CL、ロールシフトなどがあります。 受講される前に、これらの文法的要素を教えてもらえるかどうかを 確認されることをおすすめします。 ■おすすめブログ ●ろう者で日本人で・・・(http://deaf.cocolog-nifty.com/) ろう者の木村晴美さんのブログです。 メルマガも大変興味深い内容です。 ■おすすめ書籍 ●木村晴美『日本手話とろう文化──ろう者はストレンジャー』生活書院,20 07(http://www.seikatsushoin.com/bk/9784903690070.html) ・・・・・・・・・・・・・・・ ■みなさまからのご意見、ご感想、ご質問を歓迎します。 お気軽にご返信ください。 ■発行人:歌川瑛一 ■Smile blog http://cccsmile.seesaa.net/


