2008/10/15
熟恋 別れ
「もう会わない方がいいと思います。」 帰り道、そう告げたのは、 私ではなくYさんでした。 誕生日プレゼントのダンヒルの小銭入れをとても喜んでくれたYさん。 いつもより速いペースで、お酒を飲んでいたように感じたのは、気のせいでしょうか? 「しずくさんは自分にはもったいない」 「しずくさんの負担になりたくない」 というYさんの言葉は、私を傷つけないためのYさんの優しさだったのだと思います。 Yさんの本音は今でもわかりません。 煮え切らない私に愛想を尽かしたのかもしれないし、 私のどこか距離を置いた態度を好ましく思わなかったのかもしれません。 「Yさん、今まで短い間でしたが、ありがとうございました。本当にすみません。」 振られた私が謝るのもおかしいですが・・・。 「しずくさん・・・お元気で。もっと甘えてくれてもよかったのに・・・。」 Yさんは、困ったような、悲しいような顔をしていました。 二人は次の言葉が見つからず、かといってそのまま別れてしまうのも名残惜しく、 しばらくその場で見つめ合っていました。 もしかしたら、私達が一番恋人らしかったのは、この瞬間だったのかもしれません。


