2009/02/15
名 詩 31 吉野弘 「祝婚歌」
+ ____________________________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 名 詩 に さ そ わ れ --- No. 31(最終号) 2009/2/15 ____________________________________________________________________ + ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ・今週の詩------吉野弘「祝婚歌」 ・詩人紹介------吉野弘(1926 -) ・編集後記/言葉の力 ◆ 今 週 の 詩━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 吉 野 弘 「祝 婚 歌」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい (中 略) 二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい ずっこけているほうがいい 互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか あとで 疑わしくなるほうがいい 正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい 立派でありたいとか 正しくありたいとかいう 無理な緊張には 色目を使わず ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい 健康で 風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい (後 略) 【吉野弘『二人が睦まじくあるためには』(童話屋, 2003)pp.10-13】 (作品は著作権保護下にあるため、部分の紹介でお許しください。) /詩 人 紹 介/_______________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 吉野 弘 (よしの ひろし) 1926年(大正15年)1月16日 - ______________________________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本の詩人。山形県酒田市生まれ。 1942年、山形県立酒田商業学校卒業。 埼玉県狭山市に在住したのち、現在は静岡県に在住している。 若いころ高村光太郎の「道程」を読んで感銘を受ける。 商業学校卒業後、就職し会社員となる。徴兵検査を受けるも入隊前に敗戦。 1949年から労働組合運動に専念するが、過労で倒れ、肺結核のため3年間療養。 1953年、同人雑誌「櫂」に参加し詩人としての活動を始める。 1957年に詩集『消息』を刊行。1959年には詩集『幻・方法』を上梓。 1962年に退職し詩人専業となる。 1971年、『感傷旅行』で第23回読売文学賞の詩歌俳句賞を受賞。 1994年、『吉野弘全詩集』(青土社)を刊行。 代表作には結婚披露宴のスピーチで引用され広く知られる「祝婚歌」をはじめ、 国語の教科書にも掲載された「夕焼け」,「I was born」,「虹の足」などがある。 高田三郎の合唱組曲「心の四季」の作詞者としても知られ、学校校歌の作詞も 多く手がけている。 【参考/ウィキペディア】 ----- + ----- + ----- + ----- + ----- + ----- 吉野弘の「祝婚歌」、一部ではかなり知られた詩のようなのですが、私はご く最近はじめて読み、しみじみとした感動を覚えました。 この詩は最初、吉野弘の詩集『風が吹くと』に収められ、しだいに結婚式で 読まれたりするようになり、知られていったようです。 谷川俊太郎編集のアンソロジー『祝婚歌』にも収められていますが、吉野弘 の優しい愛の詩を集めた『二人が睦まじくあるためには』のほうに心を引かれ、 買い求めました。 そして、昨年、素敵なアメリカ人の男性と結婚した、カリフォルニア在住の 友人の元に、お祝いの気持のほんのおしるしにと思い、送りました。 その友人から感想のメールをもらい、掲載許可をいただいたので、一部をご 紹介いたします。 ――「祝婚歌」、まるで私のために書かれたような詩だと感じ、とっても感 動しました。(中略) 特に気に入ったのは、「完璧をめざさないほうがいい」 「二人のうちどちらかが ふざけているほうがいい」 「ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい」というところです。 これは、もしかすると、夫婦だけでなく、上司と部下とか、親子とか、もち ろん、兄弟、友人同士など、親密な二者関係には、共通して言えることかもし れませんね。 それから、私個人としても、あまりに真剣になりすぎて、完璧をめざすより、 いつも子供のように、ふざけて、そんな余裕がある時の方が、物事も、周りと の関係も、うまくいっているような気がします。(後略)―― 友人が、自分と同じような思いで、この詩を心に受け止めてくれたことを、 とても嬉しく感じました。 そして、このメルマガを書くために再び読み返してみたとき、「生きている ことのなつかしさに ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい」という 言葉に、あらためて胸を打たれました。 「生きていることの なつかしさ」 ――心の深いところで、何かが触れ合ったように感じるとき、人はそんな 「なつかしさ」を覚えるのかもしれない。 いま、生きていることの不思議さとともに。 そんなことを思いました。 同じ友人から、後日、こんな言葉もいただきました。 ――「祝婚歌」…あれを読んでから、ほんとうに心が少しやわらかくなった ような。いつも、詩の力、というか、言葉の力には驚かされます。―― + 編 集 後 記 +_______________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1月11日の発行以来、無断でお休みしてしまいました。ごめんなさい。 昨年5月の創刊以来、試行錯誤しつつも、楽しみながら発行をつづけてまい りました。読んでくださった皆さまの支えのおかげと感謝しております。 まことに勝手ながら、一身上の事情により、今号をもちまして最終号とさせ ていただきたく、どうかおゆるしくださいませ。 このことを伝えた別の友人から、「メルマガ、終わってしまうのは残念。こ とばの力を感じながら、読んでいた」とのメールをいただき、はっとしました。 「ことばの力」ということ。 思えば、このメルマガを始めたのも、言葉の力に促されてのことでした。 そして、いま、言葉の力に導かれ、私の人生にも大きな転機が訪れました。 「言葉」には、そんな測り知れない力が宿されていることを、あらためて思 います。 ブログ(言葉ノート)の方は、木を育てるためにも、日々つづける予定です。 よろしければ、時折のぞいてみてください。 http://gently.cocolog-nifty.com/blog/ これまでお付き合いくださって、ほんとうにありがとうございました。 インターネットを通じての短いお付き合いでしたが、お読みくださった皆さ まのお幸せを心よりお祈りしております。 もしかしたら、またどこかでお会いできることをたのしみに… 感謝とともに Rie Onuki ______________________________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇ 名 詩 に さ そ わ れ --- No. 31(最終号) 2009/2/15 【発行・編集】 rie.onuki(at)gmail.com(at =@) 【ブ ロ グ】 http://gently.cocolog-nifty.com/blog/ ______________________________________________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●こちらで廃刊手続きをいたしますので、解除手続きはご不要です。



