2009/09/05
【書店塾便り】355:正味のはなし その2
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【書店塾便り】vol.355 2009.09.05 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ おはようございます、【書店塾】です。 今日のテーマは、『正味のはなし その2』です。 ------------------------------------------------------------------------ 前回は、書籍の正味とは原則として1冊ずつ正味が違うということであり、実際には 版元別と定価の段階によって決まる正味だということでした。これを個別正味と呼び ます。しかし、実は書店の正味には、この個別正味(定価別段階正味)とは別の正味 体系があります。それが統一正味です。 統一正味とは平均正味とも呼ばれ、大型店や大手チェーン店に対して採用されている 書籍の正味体系です。正味の安い物も高い物も全部平均して統一の正味率を決めます。 例えば、統一正味が76.5掛ということであれば、正味が安い一般書であれ、正味の 高い専門書であれ、どれでも76.5掛になるということです。 但し、暦のような特殊な商品や最近増えてきた責任販売制のような一部返条付き買切 条件の商品の場合は、統一正味の例外として処理されています。別伝票として起票 されることが多いようです。 個別正味と統一正味のどちらが得なのかというと、これは何とも言えません。 入社当初に聞いた時は、個別正味の場合は返品伝票の起票が大変だということでした。 いちいち伝票を繰って掛率を記入しなければならない、と。でも、今のような無伝 返品の場合は、いちいち正味率を確認して起票する必要がありません。 今考えてみると、そんな伝票起票くらいの手間の事だけで統一正味にしていたとは 思えません。正確に計算すれば、個別正味でも統一正味でも同じことになる筈です。 そうではなくて、算出された平均正味率を取引額によってどれだけ下げるかという 交渉があったのではないかと思われます。 例えば、メイン取次との取引額が正味で2億円ある店の正味率が、77.3から76.5に 下がれば、それだけで年間160万円の粗利益が上がるわけです。160万円の粗利を稼ぐ には680万円の売上が必要になります。それだけに、この正味交渉はトップ交渉に ならざるを得ないのです。 FCのスーパーバイザーになった当初、訪問先のFC店の送品伝票を見て、その店が 個別正味であることに驚いたことがあります。統一正味に変更した方が良いのでは ないかと考えたのですが、必ずしもメリットばかりではないことに気付き、有耶無耶 にしてしまったことがあります。 個別正味から統一正味に変更するには、一定期間(3ヶ月程度)の送品データの平均を 計算して正味率を出します。専門書が多ければ高くなりますし、一般書が多い場合は 低くなります。新規店なども当初は個別正味です。 尚、雑誌は全国一律77掛だと思っていたのですが、実はこれも正味率が違うことを 知りました。ある時、他の書店チェーンの伝票が紛れ込んできて、それには76と あったのです。当然問題にしたことがあります。最近は知りませんが、取次の伝票の 入れ間違いがよくありました。そのせいか、最近は送品伝票(納品書)には掛率が 記載されなくなったようです。 ------------------------------------------------------------------------ 【書店塾便り】 発行者:【書店塾】塾長 【書店塾】書店人のための応援サイト http://syotenjuku.okoshi-yasu.com/ 【本の一言】(書店塾ノオト)書店人のための実務と朝礼のヒント http://syotenjukuword.blog.shinobi.jp/ -------------------------------------------------------



