2009/06/24
【書店塾便り】346:使われない業界用語
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【書店塾便り】vol.346 2009.06.24 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ おはようございます、【書店塾】です。 今日のテーマは、『使われない業界用語』です。 ------------------------------------------------------------------------- 私が書店に入社した時の話ですから、かれこれもう30年も前の事です。新入社員 として業界用語を覚えたのですが、先輩から教えられたり、業界本や業界紙でも 勉強しました。覚えはしましたが、その後使うことがなかった言葉もあります。 例えば、「入日記」「ショタレ本」「ゾッキ本」などです。今でも業界用語の解 説には載っているものの、実際に使われているのかどうか疑問です。もはや死語 と化しているものもあるのではないでしょうか。 「入日記」は最近見たことがありません。入社して最初の担当は学参。九州の地 方取次から関西系の版元の学参が入荷していました。この取次は、ジャガイモや 玉ネギのダンボール(時には葉っぱの切れ端が付いていました)を使って商品を 送ってきました。複数あるパッキンの内の一つの頭紙に赤のスタンプで「入日記」 と押印されていました。最初は何のことだか意味が分かりませんでしたが、その 内この箱に伝票が入っているという意味だと悟りました。今風に言えば、「納品 書在中」という意味です。いわゆる「伝入り」です。しかも、伝票一枚がくしゃ くしゃになって、箱の中に隠すように入れられていたものです。他の取次は「伝 票在中」でした。恐らく、この業界だけでなくかなり昔の商慣習の中で使われて いたのではないかと思われます。 「正味」と言う言葉も最初は戸惑いました。仕入れ正味、つまりは仕入れ原価と いう意味です。これには版元が取次に出す版元出し正味と、取次が書店に出す卸 正味の2つがあります。正味という言葉も恐らくは古い商慣習の中で使われてい て、この業界に「原価」を意味する言葉として生き残っているのではないかと思 われます。不動産業界や保険業界でもまた違う意味合いで使われているようです。 「ショタレ本」というのは、返品期限切れとか返品しても逆送されてしまうよう な商品だとか、返すに返せない棚晒し品、返品不能品というような意味ですが、 私の居た書店ではまったく使われていませんでした。期間切れとか不能品という 言い方をしていました。来店される版元・取次の営業マンからも聞いたことはあ りません。業界全体で使われているのかどうか疑問を感じていました。 「ゾッキ本」にいたってはまったく使ったことがありません。そもそも版元が使 う言葉のようで、どうやら書店現場では使われることが無いようです。再販を外 れた商品、第二市場とかB本とか言われるものです。普通は書店に流れてくるも のではありませんが、婦人誌新年号の拡材として見かけました。売れ残りの手芸 本や料理本の天や地や小口にマジックで横線を引いて、明らかに売り物では無い と明示した商品です。予約サービスに使っていました。 言葉は時代によって変わります。使われなくなることもあるし、意味が変化して いくこともあります。業界用語も同じです。業界用語とは、一般の人には分から なくても、業界人の共通語だと思います。しかし、業界内で通じないとなれば、 それはもう業界用語ではなく死語かも知れません。「入日記」が「納品書在中」 に置き換わるように、時代の流れの中で普遍的な言葉に代用されて風化していく のかも知れません。でもこういう言葉には歴史を感じますね。 ------------------------------------------------------------------------- 【書店塾便り】 発行者:【書店塾】塾長 【書店塾】書店人のための応援サイト http://syotenjuku.okoshi-yasu.com/ 【本の一言】書店人のための実務と朝礼のヒント http://syotenjukuword.blog.shinobi.jp/ -------------------------------------------------------



