時々、読書ライフ
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『歯と爪』
著者:ビル S.バリンジャー
出版社:東京創元社
定価:714円(税込)
1977年7月発行
ISBN:978-4488163020
初めて本書の存在を知ったとき、面白いことを考えるなぁ、
と素直に感心しました。
「彼の名はリュウ。生前、彼は奇術師だった。
フーディニやサーストンすら試みなかったような一大奇術をやってのけた。
まず第一に、ある殺人犯人に対して復讐をなしとげた。第二に自分も殺人を犯した。
そして第三に彼は、その謀略工作のなかで自分も殺されたのである。
奇才バリンジャーが仕掛ける驚くべき前代未聞の大トリック」
以上が出版社の内容紹介ですが、本書はただのミステリー作品ではなく、
一点変わった工夫が施されています。
何と本書のクライマックス部分、つまり最も重要な謎解きの部分は、
週刊大衆誌も驚きの袋とじになっているのです。
なぜ袋とじになっているかというと、未開封のまま出版社に送れば、
本の代金を返金してくれるというシステムになっているのです。
これはよく考えると、とてもうまく考えられた戦略ですよね。
まず、このような前代未聞の試みをすることによって、話題性が生まれる。
次に、袋とじを開封せずに、実際に返金請求を行う読者は、
多くても購入者の中の1〜2パーセント程度ではないでしょうか?
送料は自己負担ですし、郵送作業の手間もかかる。
それにミステリーファンであれば、謎解きの部分を読まずには
いられないはずですよね?
そういった緻密な計算の基に、本書は発行されている訳なのです。
ただ、本書が発行された1977年から、現代に至るまでのおよそ三十年間、
同様の手法が行われていないところをみると、商業的には成功と言える結果が
出せなかったのかもしれません。
ちなみに僕も本書を読んだ際、袋とじを開封して読み進めたのですが、
描かれている謎解きは、それほど驚きの内容ではありませんでした。
もし皆様にお勧めするとしたら、以前に紹介した「不連続殺人事件」の方を
僕は推します。
しかし、袋とじという斬新なアイデアと、試みを実行する勇気には頭が下がりますね!
☆最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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『時々、読書ライフ』
written by カズユキロック
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