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「銀行を変えたい!」と願う人、「銀行はどうなるの?」と考えたい人を応援するメルマガ。米国Anat Bird氏のメルマガ翻訳版(本人承諾に基づく)を紹介しつつ、銀行ビジネスについてのやぶにらみ的観察・感想を綴る。

  • 発行周期 隔週刊
  • 最新号 2009/11/19
  • 部数 125部
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2009/04/05

第20回:米国銀行の営業推進とは

こんにちは。「銀行ビジネス鳥の眼/虫の眼」第20回のメルマガです。

今回はバードさんの新しいニューズレター(3月19日)をご紹介します。・

米国の銀行では営業推進がどのように行われているのでしょうか?戦略
レベルの話は色々と伝わってきますが、営業現場の動き方については
あまり情報がないものです。

現在の環境下ではコミュニティ銀行はBack-to-the-Basicsつまり基本への
回帰が必要とされますが、今回紹介するニューズレターの中でバードさんは
営業管理をきちんと行うことの重要性を説いていて、実際のコミュニティ
銀行の営業担当役員の例を挙げて、エリアや支店の営業担当マネジャーや
営業担当者と日常どのような係わり方をしているかについて説明しています。

では、まずはバードさんのメルマガの紹介、私のコメントはその後で。

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2009年3月19日発信
<SALES PROCESS EXECUTION: A BLAST FROM THE PAST>
<営業プロセスの実行:過去からの教訓>

−記事要約−

状況はさらに厳しくなっているが、2009年の明るい分野として、効果的な
営業マネジメントが挙げられる。

−本文−

営業プロセスと、それが多くの銀行でうまく機能しない理由について
書かれた記事は数多い。私が本に書いた中で現在でも最良のものはボブ・
バローニの記事で、彼は15年前の当時、セントルイスのルーズベルト銀行の
市場担当プレジデントだった。その記事はまさに「営業部長日誌」といえる。
記事が良かった理由は二つある。(1)バローニがそれを自分で実施して、
それを光り輝く数字が示していることと、(2)徹頭徹尾明確であることだ。
ここでその全てをご紹介しよう。
 
++++++++

部下の支店長たちはちょうど来年の年間営業・マーケティング計画を
作り上げたところだ。彼らは自分たちの行動目標が何で、その目標が
銀行の収益にどのような影響を与えるかを理解している。この時点までに
全営業部隊のメンバーは、個々人の営業目標を明確に理解し、それに同意
しているはずだ。そして週次の定例営業会議や電話会議の年間計画が
立てられている。全てが秩序立っていて、新しい年の始まりとしては
素晴らしく見えるはずだ。

が、決してそんなことはない。

この時点で手元にあるものはただの計画だ。営業部長がやらなければ
ならないことは、計画を確実に実行させることだ。この記事はある
営業部長の日誌という形で書いてあり、営業部長がチェックとフィード
バックを個々の地域レベルで継続的に行うことによって、営業店に
影響を与える方法を述べたものだ。
 
・金曜夜
週次の営業サイクルを精査する。今夜も他の夜と同じように、各営業店の
営業マネジャーは帰宅の前に支店の一日の業績を集計して、午後4〜6時の
間にそれを報告する。

・月曜日
午前8時55分、地域担当営業マネジャー(Regional Sales Manager:RSM)
が支店営業マネジャーの何人かを選んで連絡し、アクションプランを
その場で提出させてレビューする。RSMは3分ほどかけてその日の営業が
うまくいくように細部を詰めて電子メールを送る。その中で、午前中の
実績を予定レベルに維持するのに必要な営業活動の方法を伝え、部下を
支援することもある。
午前11時55分、RSMは1日の中間レビューを行う。作業には数分かかる。
営業実績を集計し、午前中の目標が3時間で達成されたかどうかを確認する。

・火曜日
8時15分、電話営業会議が予定されている。各マネジャーが電話に出て
担当内でのナンバーワン担当者の営業成果を説明し、週内の紹介件数を
50%増強する方策立案に役立つ情報を提供する。マネジャー達は、
商品販売や消費者ローン申込みの目標を3倍・4倍超過達成した営業担当者の
名前も忘れずに報告する。勝者の名前は高級レストランディナーの
抽選リストに加えられるのだ。
8時45分、電話会議は終了。9時開店の前に、議事録と営業目標が各支店に
電子メールで通知され、会議で検討・合意したことを強調する。支店長に
会議結果を報告した後、支店の営業マネジャーはスタッフに対して、
今日が「スーパー・トゥ(Tow’s)ズデイ(大統領選挙のスーパー
チューズデイに引っ掛けている)」であることを念押しする。9〜11時の間に
商品パッケージを販売したり消費者ローン申込書を受け付けた担当者は
地域表彰を受け、ささやかな報償を得るのだ。

・水曜日
早朝、RSMは「スーパー・トゥズデイ」の表彰対象者リストと前日の営業実績
サマリーを電子メールで送付する。このサマリーでは、週間営業計画で
設定した週間販売目標を達成・超過達成しそうな担当者も報告される。
しかしそれだけではない!水曜日もまたスペシャル・デーなのだ。水曜日は
各支店がパッケージ商品販売数の平均値の2倍を販売目標とする日だ。
その日の営業計画に最後のファインチューニングが入ると、営業時間が始まり
顧客がやって来る。

・木曜日
10時45分、RSMは個々の営業担当者のクロスセル比率向上報告の中から営業の
ヒントを1つ2つ拾い出して、それを午前中に実行に移すことを決める。
これが重要なのは、毎木曜日は、個々の新規顧客に対して最低2.4商品の
クロスセル販売を行うことが期待されているからだ。最高値を記録した
担当者は地域表彰とインセンティブを受けることになる。

・金曜日
営業時間延長日であり、土曜日を前にして週間営業目標を達成する大きな
機会だ。8時30分に短い営業会議が行われ、現在の支店の正確な状況と、
成果を上げるために必要な営業活動が担当者に伝えられる。営業部長が
目標を達成するために必要な営業活動や行動を明確にできれば、担当者は
土曜日によいスタートを切り、翌週のゴールに向けた活動を始めることができる。

+++++++++++++

以上がバローニの記事である。
 
猛烈だと感じるだろうか?営業マネジメントは猛烈なプロセスだ。
箸の上げ下げまで管理していると思われるだろうか?必ずしもそうではない。
あらゆる分秒と営業資源を最大限活用し、かつそれを楽しみながら行って
いるということだ。(記事でも述べられている「小さな報償」は、ふつうの
イースター・キャンディやちょっと使われた歯ブラシとかでもよいことにも
触れておこう)
 
結論としては、成果〜報償、入力〜出力の両者間の時間が短いほど、
スピードの意識がより強く営業部隊に浸透し、それに結果と楽しさが
ついてくるということだ。私には、読者の皆さんが頷きながらも「これは
ウチの銀行では強烈すぎるな」と言いそうなのが分かる。しかし、
「訓練のサージェント・スローター(米国の軍曹のキャラクター)」との
別名のあるバローニの声に耳を傾けてみれば、「このプロセスは実際に
機能するし、これを実行することで営業部隊はよりよい生活を得られる」
ということなのだ。

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米銀の営業担当者は日本とは異なり訪問営業は行いませんが、その分、
積極的に来店誘致を行って顧客に商品を販売することが求められます。
ニューズレターの中では来店誘致のためのプロモーション活動については
詳しく書かれていません(「紹介」について一部述べられています)が、
当然プロモーションは存在します。

ここでは営業管理側(本部営業推進部長、地域担当営業部長、支店の営業
マネジャー)を主体にその活動が描写されていますが、日本の銀行と同程度の
細かい日常営業管理が行われていることが読み取れます。午前・午後の成果まで
みているので、より細かいと言えるかもしれません。

ニューズレターで述べられていることで私が考えるポイントは二つあります。
一つは、成果に対するフィードバックのしかた。もう一つは、目標の立て方と
推進の方法です。

まず特徴的なのは、様々な目標の張り方があり、それらにインセンティブが
ついていることです。また、そのインセンティブが年2回のボーナスとか
ではなく、金額があまり大きくなくても成果達成から短い時間で提供されて
いることです。

少し違う例ですが、かつてウェルズ・ファーゴ銀行の北カリフォルニア地区
担当プレジデントの職にあったバードさんは、3ヶ月に1回、担当地域内の
成績優秀者全員を自宅に招いてパーティを催していました。家族も来るので
参加者は200人に上りますが、それを毎回自宅で行っていたわけです
(料理まで自分で作っていました!)。いかにフィードバックに力を注いで
いたかが分かります。

成果に報いる方法には大きく三種類あると言います。「カネ・地位・名誉」
です。カネは例えばボーナス、地位は昇進、名誉は表彰などでしょう。
何をもって報いるかはもちろん重要ですが、それ以上に「行為に対して
迅速に報いる」ことが重要です。カネや地位は、資金や人事対応などの準備が
必要となります。しかし名誉は、相手が名誉と感じるコト/モノをすぐに
提供すればよい。成果を出したときにその場で誉め言葉や労いの声を
かけられれば、部下の満足の度合は高まります。日頃から声をかけ話を
聞いているだけでも、部下は上司が自分のことを気にかけてくれていることを
有難く感じます。

彼女の指摘するポイントは、「ささやかでもいいから、成果に対してなるべく
間をおかずに報いること」です。犬は、飼い主の求める行動をしてすぐに
褒美を与えられることを繰り返すうちに、行動が習慣化すると言います。
行動と結果が直接結びついていることで、行動が動機付られるということです。
ペットと人間を一緒にすると失礼かもしれませんが、原則は同じです。
子供のことを考えてみましょう。よい行動をとってすぐ親に誉められると、
子供は喜んで、また誉めてもらうために次も同じ行動をとろうとします。

もう一つの特徴は目標の立て方と推進方法です。バローニの記事では、
曜日によって異なる目標が設定されています。おそらく個別商品の目標も
あると思われますが、例えば木曜日は、個別商品ではなく、新規顧客への
複数商品販売(クロスセル)が目標となっています。また、地域営業
マネジャーは、各店から実績の報告を受ける際に「好事例」についても
提出してもらい、それを他店に展開しています。あまり洗練された方法では
ないですが「ナレッジマネジメント」を実施しているわけです。これをより
仕組み的に行うのであれば、ナレッジデータベースを設置して好事例を
登録するということになります。あと、この事例では週に1回、電話会議で
地域の営業店マネジャーが会議を行っています。物理的に集まるわけでは
ないですが、ヨコの情報交換と競争意識を活性化させるための方法とも
考えられます。

これ以外にも、チームで目標を設定する場合もあります。米国の銀行では
テラーは一般にトランザクションだけを行い、商品の販売は行いません。
しかし、取引受付の間に顧客にニーズに関するちょっとした質問をして、
その回答によっては営業担当者につなぐこともあります。このテラーと
営業担当者をチームとして、「つないだ」数と「成約」した数で店内の
コンテストを行う例を見たことがあります。この時の賞品もちょっとした
レストランでのディナーでした。

営業担当者の尻を叩くだけではなく、色々な形でインセンティブを提供し、
ゲーム的な感覚も取り入れて営業推進を行う。また、様々なかたちで
小さな目標を数多く設定する。「いかにやる気を出させるか」の工夫が
いろいろなされていることと、その際に小さくても頻繁なフィードバックが
行われていることは参考になります。

以上

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このメルマガの転送・コピーは自由です(ただしニューズレターの著作権は
バードさんに帰属します)。

何か感じられた方は、コメントを送っていただけるとすごく嬉しいです。
(メールアドレスはbankingview@aol.comです)

あと、私がこのメルマガで翻訳しているニューズレターの原著者、Anat Birdさんの
サイトも訪れてみてください(http://www.anatbird.com/)。英語だけど
面白いですよ。

それでは、また。

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