ブライダルのプロカメラマンが見た結婚の真相 RSSを登録する

ブライダルのプロカメラマンになって12年。1000組を超える挙式や披露宴を撮影してきた経験から、「結婚」というものの真相を明らかにする。

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2008/05/24

ブライダル撮影と人間関係

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ある日しずくがネットで出会った一人の男性。
メール交換から始まる、静かで落ち着いた恋。
大人の恋の行方をノンフィクションでお届けします。
5月28日から一週間「今週の旬まぐ」に掲載されます。



(ここから本文)

ブライダルカメラマンは撮影当日、初めて新郎・新婦と会うケースがほとんどである。
二人についての事前の情報がまったくなく、その日の撮影にのぞむ場合も多い。

介添え人さんは、二人の情報通であることが多い。
特に、中年クラスの介添え人さんは、実によく情報を仕入れている。
だから私は、なるべく彼女らと仲良くなり、できる限りおしゃべりをし、二人の情報をそれとなく聞き出すことにしている。

彼女らと仲良くなっていれば、スナップ撮影においても、いろいろと協力してくれることが多い。
逆に、不仲になると、撮影できるはずのカットができなかったりと、マイナスにはたらくことがある。これは、私の長年の経験則である。

限られた時間で、短い時間で、いいカットをより多く撮るためには、そういった回りの環境を整えておくことが大切である。
そういう点でいえば、披露宴会場のキャプテンや司会者とも仲良くなっていることも大切である。

そういう根回しの重要さは、プロカメラマンになりたての頃はよく分かっていなかった。
人から言われていたかもしれないが、心のどこかでバカにしてしまっている自分がいたようにも思う。

つまり、根回しなど、きたない大人がやることで、プロは腕しだいだと。カメラマンは技術者であり、専門職なんだと。
当然、そういう気概も必要なのだが、腕や技術というものは、時間や経験を重ねれば誰にでも身につくものである。
撮影技術を修得させる夜間の専門学校は東京にはたくさんあるから、金に余裕があれば、そこに通えばバカでも身につく。

私はこの業界では老舗の会社に委託カメラマンとして所属している。
(ちなみに、今年の4月に個人事務所・KYアートを開設したが、まだ軌道にのっていない。)
そこで今までに何百人というプロを目指すカメラマンの研修生を指導してきた。
プロになれた人は、その中のほんの数パーセントだが、プロの道を断念していった大きな原因は、人間関係の技術のあまりにもの下手さにあったように感じている。

以前、日大・芸術学部の写真学科の4回生が私に研修生としてついたことがある。
さすがに、写真の知識や技術はかなりあった。だが、根本的な欠点があった。
それは、ブライダルのスナップカメラマンという職業を心の底で軽蔑していることだった。
彼は、腰かけでこの職を得て、将来は社会的な評価の得られるプロカメラマンの業界を目指していた。
私はその目指していること自体を非難しているのではない。腰かけでは、とても勤まらないといいたいのである。
案の定、彼は3ヶ月もしないうちに、研修生という身分のままで、いなくなっていた。

ブライダルのスナップカメラマンは、プロのカメラマンの世界全体からすると、ほんの小さな業界人である。
私がプロになった12年前は、まだ出来立てほやほやの業界だった。
それも首都圏だけで、地方ではほとんど認知されていなかった。
スナップなんて、友人が撮るものというのが一般常識だった。
ホテルの写真室で、中判のカメラを使用し、ブローニ・フィルムで数カットだけ撮るのが定番だった。

時代の移り変わりは、早いものである。
12年前は、首都圏でも2組に1組はご媒酌人が高砂の席の新郎・新婦の両脇に座っていたものだ。
ここ数年はほとんどお目にかかっていない。
どんどん、このブライダルの世界は進化している。
スナップ撮影もプロに依頼することが多数派になるなんて、当時は誰も想像していなかったはずだ。

しかし、人間関係の本質というものは、そんなに変わるものではないというのが、私の考え方である。
人間の心のしくみや人間心理が、そんなに移り変わるものではないからだ。
例えば相手の立場になって考えて行動したり、言葉をかけたりすれば、相手もそれに応えてくれる、今も昔も変わらない。
こんな基本的な人間関係の技術すら分からないで、ブライダルの仕事を目指す若者が多すぎる。

この業界を目指す人には、撮影技術よりも、まずは人間関係の基本から学んでほしい。
ブライダル撮影という仕事は、その半分以上が、人間関係に根ざした仕事である。
はっきりいえば客商売なんだよ、といいたいのだ。

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