遺言書作成倶楽部 第6号 今回は遺言書の保管について考えてみましょう
公正証書遺言は公証役場で保管されますので問題は少ないといえます。
しかし自筆証書遺言や、秘密証書遺言の場合は保管について法律の規定がありません。
保管方法は遺言者が自由に決めることができます。
しかしながら、自分の最終意思を確実に実現するためには紛失、偽造・変造、破棄・隠匿されない方法で保管しなければなりません。
一方で、厳重に保管しすぎると遺言書が発見されない可能性があります。
遺言書が発見されなければ、遺言がない場合と同様法定相続されることになってしまいます。
こうなると、もう遺言書は台無しです。
ここが遺言書の保管の難しいところです。
今号では、遺言の方式別に適切な保管方法を考えていきましょう。
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〜自筆証書遺言の保管方法〜
自筆証書遺言の保管方法について民法の規定はありません。
どのように保管するか、遺言者が自由に決めることができます。
また封筒に入れるか、封緘するかも自由です。
しかし、相続開始前に遺言の内容が相続人に知られてしまうと、紛争やトラブルを招きかねません。
秘密の保持や、偽造・変造の防止のためには封筒に入れて封緘するのが望ましいといえます。
緘印をしておくと、なおよいでしょう。
緘印に使う印章は、証書に押印したものを用いるのが安全です。
認印でも構いませんが、偽造・変造防止のためにもできるだけ実印を用いましょう。
自筆証書遺言の保管方法としては、遺言者自身が保管する場合と、遺言者以外の第三者が保管する場合があります。
遺言者自身が保管する場合には、タンス、机の引き出し、自宅の金庫などに保管することが多いようです。
しかし、この方法だと遺言者の死亡後に遺言書の存在が判明しない恐れがあります。
遺言者自身が保管するのであれば、遺言の存在を相続人に知らせておくか、保管している旨のメモでも残しておく必要があります。
しかし確実なのは公正な立場の第三者に保管を依頼する方法です。
公正な第三者とは、遺言の内容に利害関係を持たない立場にある者をいいます。
例えば信頼のできる友人・知人、遺言執行者、弁護士・行政書士などが考えられます。
こうしておけば偽造・変造の危険はなくなります(保管者が悪意を持っていない限り)。
この場合でも、遺言者が死亡したことを保管者に確実に通知されるようにしておきましょう。
また、銀行や信託銀行の貸金庫に預けるという方法もあります。
この場合でも、遺言書が貸金庫に預けてあることに気づかれないおそれがあるため、貸金庫名は相続人に伝えておいいたほうがよいです。
また、貸金庫の使用料金を遺言者の口座から引き落とすようにしておけば、相続人は預金通帳から貸金庫の存在を知る可能性が高くなります。
〜公正証書遺言の保管方法〜
公正証書遺言は、最も安全に保管される遺言です。
通常、公正証書遺言は原本、正本、謄本の3通が作成されます。
原本は公証役場に保管されますので、変造の危険はありません。
保管期間については原則20年と定められています。
「原則」というのは20年経過後も遺言者の生存が推定される場合には、公証役場は遺言書を保管しなければならないことになっているからです。
しかし、制度上、公証人に対して遺言者の死亡は通知されないため、公証人は遺言者の生存を確認できないことが多いです。
そこで、遺言者が100歳になるまでは保管すると取り決めている公証役場もあります。
正本、謄本の保管方法については民法の規定はありません。
遺言執行者の指定がある場合には、正本を遺言執行者が保管し、謄本を遺言者が保管することが多いようです。
遺言執行者の指定がない場合には、正本を遺言者が、謄本を相続人が保管することもできますし、正本、謄本とも遺言者が保管しても構いません。
公証役場で作成された公正証書遺言は、コンピューターに遺言者登録がされます。
相続人などの利害関係者は、登録された遺言書の存在を公証役場で検索できるため、容易に遺言書を発見することができます。
〜秘密証書遺言の保管方法〜
秘密証書遺言は、公正証書遺言と異なり、遺言書の保管自体は公証役場では行いません。
したがって、遺言書の保管方法は自筆証書遺言と同様です。
しかし、遺言書を作成した記録は残りますので、公正証書遺言と同様に、遺言書の存在は公証役場で検索できます。
==========今号の特集==========
〜自筆証書遺言における封筒の取扱〜
遺言書を発見した人が、誤って遺言書を破棄してしまうことも考えられます。
封筒の表書きには、「遺言書」「遺言状」など、自筆証書遺言が封入されていることがわかるように記載しておきましょう。
また、前号の特集でもお伝えしたように、遺言書を発見した者は家庭裁判所に検認の申し立てをしなければ開封できません。
家庭裁判所以外の場所で開封してしまうと、5万円以下の過料に処せられます。
そこで、遺言書を発見した者が不用意に開封しないようにしておく必要があります。
例えば遺言書の裏面に「開封厳禁。この遺言書は家庭裁判所に提出して遺言書検認の申し立てをすること」などと記載しておくとよいでしょう。
遺言に関するお問い合わせ、ご相談、ご依頼はこちらまで。
行政書士 古川法務事務所
メール furukawa-houmu@tulip.ocn.ne.jp
HP http://www.furukawa-houmu.jimusho.jp
次号は遺言事項について解説します。


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