世界酒飲み紀行・私の出会った変な外人 RSSを登録する

「英国フットボール…」の番外編。本編の記事でベッティングと英会話を同時にやろうとしたのですが余りに長くなり申し訳ないので2つに分けます。スポーツ、酒、社会事情など英国の話をしながら会話もします。「おしゃれな午後のお紅茶」の話はしません!のでご安心下さい。

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2008/04/27

世界酒飲み紀行3・オセアニア・私が出会った変な外人その1・N子の場合

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世界酒飲み紀行3 オセアニア人編

サブタイトル「私が英国で出会った変な外人・その1・N子の場合」

関西弁サブタイトル (招き猫の手つきで)「ちょっと奥さーん、
聞いてえ、こんな変な人と会うたんやけど、どう思うー?」

(お茶でも入れて下さい、長くなります)



N子はニュージーランド人の24歳(当時)。かなり小柄(150cm位)
で鮮やかな金髪(後でわかったのですが染めていました)、可愛いと
言っていい外見です。聞けばJETプログラムで仙台の高校で英語を一年
教えていた、日本語も話せる、というのです。いい人とあったと思って
自己紹介したのですが、私が日本人と聞いても全く興味を示さず、
うつむきながら「Errr, excuse me」などと言って席を立ち去るので、謙虚な私は
「まあ僕なんかに話しかけられても嬉しいこたあないよな。
日本なんぞ好きになれなかったのかもしれんしな」と思っていました。
Nは少し酒が入っていたようですが、酔ったというほどではなかったと
思います。陰気な子だな、というのが私の第一印象でした。

翌晩ワインをラッパ飲みにしている彼女を見ました。今度は向こう
から私をつかまえて日本についてべらべら喋ってきたのです。
しかし「こんなとこに住んでこんな学校で、どこそこに旅行にいって」
というようなまともな話ではなく日本でコカイン(ヘロインだったか?)
やってみた、それから友達とYakuzaの家にいったが夜明けに逃げて帰った、
日本人の彼氏がいたが嫌なやつで等々、泥酔してその時点では単なる知り
合いの私に分けのわからぬことを口走る。

(ちなみに「日本語話せる」はよくある西洋外人の思い上がりで、せいぜい
言えるのは「カワイー」とか「ウン」とか「ソーデスカ、フーン」とか女子供
の決まり文句くらい。しかも本当にそれで私とコミュニケーションをとろうと
いうのではなく、何かの拍子に(例えば私が日本語で「あ、そう」などと言った
りすると)今あげた言葉を馬鹿にしたような口調で私に対してマシンガンのよう
に連発し、けらけら笑う。少し不愉快な印象を受けたのを覚えています。
キッチンで私がCan you pass me.. Hashi?(私、チョップ・スティック
という訳語が大っ嫌いなんです)と私がいうとNなんと「はし」
という日本語を知らずWhat? Oh I thought you said Hash(麻薬のハシシ)。
「はし」「ハシシ」の連想は後からわかってきた彼女のドラッグ依存を
考えると非常に示唆的でした。)

その夜、Nが他の人にも奇態を露呈、失笑をかっていたことを知りました。
翌日になると Hangover,などといいながら頬杖とため息をついて
「昨日の事は何も覚えていない」と言う。そして小柄に似合わぬ低いしわがれ声で

I drank too much. I shouldn't have.... I can't remember...

これがN子の口癖でした。

彼女は平和な先進国に生まれ、裕福でやさしい両親の元で育ち(家は牧場)、
高い教育も受け、容姿も良い。人間として最高の環境です。

しかし、徐々にはっきりしてきたことがありました。N子はニュージーランド人
には珍しい・・・・

「楽しい酒を飲めない女 」   いや、それどころか

「飲めば飲むほど惨めな気分に陥ってゆく、決してHappyになれない女」   

だったのです。パブに繰り出してもビール片手に冗談を交わす、
笑う、歌を歌うという普通のAussie, Kiwiのような飲み方を
しているのはめったに見ませんでした。そう言えば現地人はもちろん
あまりオセアニア、や北米の友人はいないようでした。しばらく話すと
「Excuse Me」と言って(いつか私にしたように)席を立つ。よく知らない人
といると「間がもたなく」なるようでした。Nには何となく人を落ち着かなく
させるオーラがあるのです。ただいつも鮮やかに染められた金髪につられて
イタリア人やスペイン人の男がよってきてましたが、Nはうるさがってました。
(あの髪でどんな男を誘おうといていたのか、読み進めて下さい)

Nの飲み方は、とにかくまずめちゃくちゃに飲む。そして意識が
飛んだ状態で残りの数時間をポケーと人の顔を見つめたり、意味不明の話を
大声でしたり、あるときなど鳥の形態模写をして人の笑い(楽しい笑いでは
なく、失笑、「何だこいつ」という、あれ)を誘うというものでした。Nの方
では「馬鹿やって楽しかった」というかと思いきや、さにあらず。
翌朝はまたもI can't remember anything と言って頬杖とため息をつくのです。

不可解な行動の理由の一部は実はドラッグにありました。彼女は「好奇心から」
(彼女自身の説明)いろいろドラッグを試すのですが、おそらく一度
とて楽しい経験をしたことはないのではないか、と私は思っています。
パーティで人の顔を凝視するあの癖は酒と同時にいつも何らかのPillを飲んで
いたからでしょう。情緒不安定だからドラッグに頼るのか、ドラックをやりす
ぎるから情緒不安定になるのか、とにかく自分に自信のない子でした。

例をもう一つ。スペイン人のパーティーに行ったのです。
サングリア(日本でいうパンチ)をつくり、陽気なラテン系の音楽をかけて皆
楽んしでいるときに廊下の隅で酒を片手にうつむいているN子を見つけたのです。
「What happened?」と聞くとぼそぼそと
「I'm not pretty」だのなんだのウジウジ言ってます。私が
「You are good looking You have  beautiful blonde hair You are young,
  and  talented」
と歯の浮くような事をあえて言い(ついでに最近読んだ「金髪女性は黒茶髪の女性
より結婚率が高い、もてる、という統計がある」という新聞記事の話もし)
「君のほうから話かけて誘ったらノーという男はいない、君は可愛いんだから自信
を持ってもっと積極的に生きようよ」といってやると、しつこく 
I am ugly  I am using anti-ageing cream  I dye my hair 
などと自己否定を繰り返す。とにかく元気だせ。サングリア持ってきてやる
とその場を離れた私でした。

約5分後に廊下の隅に大勢が固まって女の子はクスクス笑い、男は口笛を吹き、
はやし声を立てているのが聞こえます。いって見るとN子です。女たらしで悪名
高いJというスペイン人と湯気がでるよな熱いフレンチ・キス。
踊りながら、飲みながらの楽しげなキスならカップルなら皆がすることですが、
そんな生やさしい物ではなく、唇に瞬間接着剤を塗ったかのようにまったく離れ
ない、動かない。周りの騒音は耳に入らないのか、二人にとって他の世界は存在
を止めてしまったかのよう、戦場に出かける若い兵士と恋人のプラットフォーム
での抱擁を彷彿とさせる絶望的な愛の形がそこにありました。神々の怒りに触れ
て石にされてしまったというギリシャ神話の中の恋人たちもかくや・・・
と思わず詩人になった私。でもそんな美形ではありません、二人とも。
ちょっと見苦しかったです、実際は。

「いや、でもそうじゃなくて・・Positiveに生きようと僕が言ったのは
そういう意味じゃなくて・・・」
とつぶやく私の傍らでスペイン人たちが時計を指差しながら「おいおい、
夜が明けるよ」といつまでも笑ってました。

嫌な予感がしたんです、私。すごく嫌な予感が。

(次週に続く)

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