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2008/10/21

鳥インフルエンザのすごさ


秋晴れが続いて気持ちいい毎日です
こんな日にも窓のない手術室はいつも同じ風景
手術室は外からゴミや虫が入らないように全体が陽圧環境
だから、虫が入るような窓はありません。
四季の移ろい、なんて全く分からない世界です。


こうして
何年も外科医をしていると
手術で戦う相手は癌がほとんど
長いこと戦っていると

ついつい、敵を擬人化してしまいます
癌に対して、「おまえはっ!!!」
って思ったり、、


これは仲良くなっているんじゃないですよ
なんだあ!! 今度はここに出てきたのか!!
くっそおおおおおお!!!

みたいな、、、、、、、、
ガン細胞一つ一つに意識があって、戦っている
戦争しているみたいな感じでしょうか


そんな感じがもっと強いのが感染症です
相手も生き物、それぞれが生きようとしている、
最近にとってはただ生きようとしてるだけなんだろうけど、
それが人にとっては迷惑なことになる。
お互い命がけで戦争ですよ、これは。
抗生物質で相手は死んじゃうわけですから
ホントお互い命がけ


そんな中、最近の悩みは鳥インフルエンザ


最近高病原性の鳥インフルエンザがはやってるので
いろいろと耳にすることもあるかと思うのですが、
この鳥インフルエンザ H5N1 タイプです。
これには本当に
特に危機感を持って、「このやろうっ!!」 って思っています。


鳥インフルエンザは元々鳥の病気
人には移らないはずだった。

ウイルスが人にくっつくには、
ただ皮膚の上や粘膜の上に乗っただけではつかない
人の粘膜上にインフルエンザのタンパク質にはまりこむ
受容体というものがないとくっつかない

ところが最近の鳥インフルエンザウイルスには
人型の受容体、レセプターにくっつくタイプに変異したものが見つかってきた
どうやって、自分の体を変えているか分からないけど
とにかくウイルスは自分の体を変異させて
人のレセプターにっくっつくようになってきた

人のレセプターにくっつくと言うことは
人から人に移っていく可能性が出てきたって言うこと


また、
鳥の中は暖かいらしく、
人の気管支の中は涼しいので
(ここは33℃くらいで、鳥の体の中の環境よりも低温)
鳥インフルエンザは増殖しにくかった

それが、
いつの間にか
PB2遺伝子というところの627番目のアミノ酸が
いつの間にか変異したものが産まれてきた
そう、
これによって、やつらは、
人の気管支の中の低温環境でも増殖できるようになってきた。


こういった変異
人は、何億年もまえからこのような変異を繰り返し繰り返し
その結果としてこれだけの体を手に入れた
寒いところでも生きられるように、
暑いところでも生きられるように
酸素の少ないところでも生きられるように、、

生き物としての体もそうだし
最近やウイルスと戦う免疫系もその一つ

そこで
今もウイルスと戦っているんだけど
これだけ高度になった人の体は
簡単な構造のウイルスみたいにアミノ酸一つ急に変化させることができない
人は、産まれてから死ぬまでが長いので
変異を積み重ねるには膨大な時間が必要だから
人の防御機能が作りかえられるまでに
ウイルスの変異の方が早い
というか
免疫機能とは専守防衛なので外のウイルスに打って出ることはできない
免疫系は、
元々外からどんなものが入ってきても対応できるはずの
それだけの多様性を持っていたはずだけど
やっぱり専守防衛
すぐには準備が整わない


その分、科学技術、公衆衛生などの
技術、知識で立ち向かうわけだ。
例えば予防接種、
多様な免疫系に、次にもしこのインフルエンザが入ってきたら
やっつけるんだぞって条件付けをする。
相手も毎年変異してくるから
条件付けも毎年新しくし直さなくちゃならないし、
違う条件を持ったインフルエンザが来たら働かないかもしれないし、
この辺がめんどうなところだ。


しかし、インフルエンザの予防接種も
流行した翌年は予防接種率が高く、
ワクチンが不足する、
流行しなかった翌年はワクチン接種率が下がり
ワクチンが余ってしまう
といった、個人個人の行動に左右されてしまう。

余ったら、ワクチン作る会社も赤字なんだろうなあ
次の年に備えての設備投資はできるのかなあ
と、ついよけいな心配もしてしまうけど、、



こうしたインフルエンザの変異は毎年のように蓄積されている
人の知識も新しくなっていく、
だけど
パンデミックといわれる大流行が来るのか
来ないのか
誰にも分からない


ただ毎年
この季節になると
おまえ、いつの間にそんなに強くなったんだ?!!
って思いながら
痛いのを我慢して予防接種をしています。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

編集後記

秋になるとまた学会の季節
昔は、距離的に離れてしまうともう病院から呼ばれてもどうにもならなかったけど
最近は携帯電話があるし、飛行場も各地にできたし、
新幹線ものぞみができて早くなったし、
どこまででも仕事がついてくる、、
急に呼び出されて、あわててホテルキャンセルして
戻って手術になったことも、
世界が狭くなると更に忙しくなる
不思議な現実です。



ホームページ 作っています。
是非遊びに来てください。

現役医師と一緒に特定健診を上手に使ってメタボリックシンドローム予防!
http://seiten.xsrv.jp/metabolic/

痔主とさよなら、現役医師の痔のお話
http://seiten.xsrv.jp/ji-mochi/

です。

ではまた来週。

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