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物理の「なぜそうなのか?」を分かり易く説明します。なるべく数学を使わない定性的な物理です。物理の基本を理解したい受験生や曖昧に覚えている箇所を正しく軌道修正したい受験生のためのメルマガです。力学、波動学、電気学の順に配信し、9月からは磁気学、熱力学です。

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2008/07/26

理系受験生のための基礎物理    第48号

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◆◆◆==== Basic physics ====================

         理系受験生のための基礎物理    第48号

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 ■ 「ヤングの実験」について

以前に波の干渉で「強め合う条件」「弱め合う条件」を配信しま
したが,今回はこれを光波について考えたお話になります。
思い出してみましょう。

AとBから波長 λ の波が同位相で送り出されているとき,
Pで「強め合う条件」は

 |AP − BP| = 2m・(λ/2)   (m=0,1,2,・・・)

Pで「弱め合う条件」は

 |AP − BP| = (2m+1)・(λ/2)  (m=0,1,2,・・・)

さらに今回は近似式が出てきますが,この近似式をどこで使うか
を覚えなくてはイケマセン。
使うところを間違えると,結果がとんでもない式になってしまい
ます。


では,ヤングの実験の概要から始めましょう。

図のように,間隔 d の複スリット(ダブルスリット)A,Bから
波長 λの光が同位相で出ていて,複スリットから距離 L はなれ
ている位置にスクリーンを置きます。
(d は非常に小さくてミリメートル単位ですが,Lはメートル単
位です)

                           (スクリーン)
                              |
                              |
  |                           |
 A                            |
 d|―――――――――――――――――――――――――――|O
 B                            |
  |                           |
                L             |
                              |
    (フォントの設定がプロポーショナルだと図がくずれます)


AとBから出た光が回折して広がって進み,スクリーン上には強め
合って明るくなる位置や弱め合って暗くなる位置ができます。
(実際にはスクリーン上に明暗の縞ができます)
この実験を「ヤングの実験」といいます。

スクリーン上の中央の点Oは,AとBから同じ距離にありますので,
AとBから同位相で出た光は,点Oに同時にたどり着き,光が強め
合って明るくなります。
では,点Oより少し上の点 x1 (1は小さい字の添え字)での干渉を
考えてみます。
(点Oとx1の距離はミリメートル単位です)

         |
         |
         |x1
   ――――――|O
         |
         |
         |

位置 x1 では,Aからの距離よりBからの距離が長いため,Aと
Bから同時に出た光は,同時にはたどり着きません!
Aから出た光のほうが早くたどり着き,Bからの光は少し遅れて
たどり着きます。
この距離の差が,ちょうど光の半波長(λ/2)だとすると,位置
 x1 にはAとBから半波長ずれた光がやってきます。
(一方からの光が「山」のとき他方からの光は「谷」になります)
このとき位置 x1 ではAとBからの光がつねに逆位相でたどり
着き,弱め合って暗くなります。

では位置 x1 よりさらに少し上の位置 x2 (2は添え字)での干渉
を考えてみます。

         |
         |x2
         |x1
   ――――――|O
         |
         |
         |

位置 x2 ではBからの距離がさらに長くなります。
AとBから同時に出た光は,Bからの光がさらに遅れてたどり着き
ます。
このとき Aからx2までの距離と Bからx2までの距離の差がちょ
うど1波長(λ)だと,位置 x2 にはAとBから1波長ずれた光がたど
り着き,つねに同位相になります。
(山どうし,谷どうし,山どうし,谷どうし・・・とたどり着きます)
したがって,位置 x2 ではAとBからの光が強め合って明るくなり
ます。

さらに x2 より少し上の位置 x3 (3は添え字)には

         |x3
         |x2
         |x1
   ――――――|O
         |
         |
         |

1波長半ずれた光がたどり着き,つねに逆位相になるため弱め合って
暗くなります。

このことは点Oから下のスクリーンでも対称的に同じことが起きま
すので,スクリーン上には,点Oを中心にして明暗の縞ができます。
では,この縞間隔を求めてみましょう。

いまスクリーン上で点Oから距離 x の点Pでの干渉を考えてみます。
点Pで明るくなるときは(強め合う条件から)

 |AP − BP| = 2m・(λ/2)  (m=0,1,2,・・・) です。

またAからスクリーンに下ろした垂線の足をA′とすると

                  |P
                  |
  A―――――――――――――――|A′
   ―――――――――――――――|O
                  |
          L       |
                  |

A′Oの距離は d/2 ですから,PA′の距離は x − (d/2) です。
したがって,三角形AA′Pで,三平方の定理より

  AP = √(L^2 + (x−(d/2))^2)     ・・・・・(*)
                    となります。

ここで,次の近似式を使います。

 α(アルファ)が0に近いとき, (1+α)^n ≒ 1 + nα です。
 nは小数でも分数でも負の数でもかまいません。
 またαも 0 に近い数であれば負の数でもかまいません。

この近似式は物理ではときどき登場しますので覚えておきましょう。
(何故このような近似になるのかは,学校や予備校の先生に聞いて下
さい)

では,この近似式が使えるように(*)式を変形してみます。
Lを根号の外に出して,根号を指数1/2にします。

  AP = L[ 1 +{(x−(d/2))/L}^2 ]^(1/2)

(テキスト形式なのでわかりにくい表現になっていますが,自分で本来
の数学的表現で書いてみて下さい)

ヤングの実験では,d や x は L に比べて非常に小さいので,この
式の{  }内の分数は非常に小さな値です。
それを2乗しているので,さらに小さくなっています。
この部分を,近似式のαに対応させて近似しますと

  AP ≒ L[ 1 + (1/2)・{(x−(d/2))/L}^2 ]

     = L + {(x−(d/2))^2)}/(2L)
                       となります。

同様にして,BPの距離も

  BP = L + {(x+(d/2))^2)}/(2L)
                       となります。

図では,AP<BP ですから,距離の差は

  BP − AP = (xd)/L  です。

(ここまでの計算は,みなさんが実際にやってみて下さい。
 このメルマガを見ているだけでは覚えません。
 自分の手で何度も計算してみることが大事です。
 楽をしていてはいつまでたってもできるようにはなりませんよ)

したがって,Pで強め合う(明るくなる)条件式は

  (xd)/L = 2m・(λ/2)    (m=0,1,2,・・・・)

                と表せます。


同様に,Pで弱め合う(暗くなる)条件式は

  (xd)/L = (2m+1)・(λ/2)  (m=0,1,2,・・・・)

                 です。


強め合う(明るくなる)条件式を変形して,x について解くと

     x = (mλL)/d   となりますが,

この式の意味することは・・・

1波長ずれて強め合う(明るくなる)位置 x1 は,m=1 を代入
して

     x1 = (λL)/d


2波長ずれて強め合う(明るくなる)位置 x2 は,m=2 を代入
して

     x2 = (2λL)/d


3波長ずれて強め合う(明るくなる)位置 x3 は,m=3 を代入
して

     x3 = (3λL)/d


つまり,m=1,2,3,・・・を代入した値の x は,点Oから
明線までの距離を表しますから,明線間隔(明線から隣りの明線
までの距離)は

 x2 − x1  とか  x3 − x2   として求められます。

一般的に,(m+1)波長ずれて強め合う距離からm波長ずれて強め
合う距離を引けば明線間隔になり,

 ((m+1)λL)/d − (mλL)/d = (λL)/d  です。

この結果からわかるように,明線間隔はmの値に関係なく一定値
になり,明線は等間隔で並んでいることになります。
もちろん,明線と明線の間の暗線も等間隔で並んでいます。


テキスト形式では図を描けないのが残念です。
ヤングの実験は入試でもわりとよく出題されるところですから,
縞間隔の値を自分で導けるようにしておきましょう。
        
今回はここまでです。


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