2009/09/27
国の借金
国の借入金をご存知でしょうか。 09年6月末、推計で860兆円。 な~んと、国民一人当たり712万円です。 4人家族であれば2848万円。 われわれに係るこのほかの借金は地方自治体の分があります。 この額が200兆円。いや~、やんなっちゃいますね。 平成20年度一般会計を見てみると、歳出総額が83兆613億円、 うち国債費が20兆1632億円、全体に占める割合は24.3%。 歳入総額に目を転じると、公債金収入が25兆3480億円、30.5%を占めています。 収入の3割は借金に頼り、歳出の24%は借金返しに回している というありさまです。 サラ金地獄と同じです。 金がないから借金をし、その借金を返すためにまた借金するという繰り返しです。 日本は一般家庭であれば、夜逃げをしてもおかしくない状態と言えるでしょう。 平成21年度は100年に1度という金融危機で、例年以上に政府は借入金を 増やしています。 決算を見るのが怖いですね。 少し前までに、2011年度までにプリマリーバランス(基礎的財政収支)の 黒字化を目指していました。 それも今回の金融危機で、達成できなくなりました。 プリマリーバランスの黒字化とは、歳出を新たな借金に頼らないで、その年度の税収で 賄うということです。 財務省は今年の6月、博報堂に委託してインターネットで成人男女2000人に 国の財政に関するアンケート調査を実施しました。 それによると、「日本の財政はとても不安・不満」と感じている人が68%に 上りました。 加えて、「やや不安・不満」と答えた人が31%ということで、 ほとんどの人が懸念を示しているのです。 税金と社会保険料の「負担」と「受益」の関係は「負担ほどは公共サービスは 受けられない」(89%)と感じている人がほとんどです。 「現状のまま財政赤字を放置すると、現在の社会保障制度は維持できない」と 多くの人は感じて(75%)います。 平成20年度の一般会計では、社会保障費(医療、年金、介護、福祉・その他) は21兆7824億円(26.2%)です。 歳出に占める割合は大きいですが、かなり圧縮されています。 厚生労働省では社会保障費は2025年には168兆円になると推計しています。 その頃には少子高齢化は世界に例をみない速さで進展し、「高齢者1人を 現役世代1.9人で支えるようになる」見通しです。 168兆円という額は、現在の国家予算の2倍です。しかも、人口減少から 納税者数は減り、納税者自身の収入も現在以上になるという保証もありません。 168兆円は全額政府負担ということではなく、個人負担分が大きいのです。 仮に35%政府負担と考えると、その額は59兆円です。 いずれにしても、現在の国家財政では負担は無理でしょう。 ですから多くの人は「現状のまま財政赤字を放置すると、現在の社会保障制度は 維持できない」と感じているのです。 その財源は、消費税に求めるほかありません。 単純に社会保障費をすべて賄うとしたら、2025年には消費税の比率は24%前後に なるでしょうね。 国家予算の借金残高の対GDP比は、2008年の先進国の国際比較では 次のようになります。 (出典OECD/エコノミック・アウトルック83号) 1位 日本 170.9% 2位 イタリヤ 117.1% 3位 フランス 71.0% 4位 米国 65.8% 5位 カナダ 64.4% 6位 ドイツ 64.2% 7位 英国 49.8% 日本はバブル崩壊以降急激に借入金が増加して、主要先進国中最悪の水準です。 日本がバブルの崩壊で苦しんでいる間、他の先進国は着実に財政の健全化を 進めたのです。 2002年6月、米国の格付け会社ムディーズ・インベスターズ・サービスは 日本の格付けを最上級から2段階引き下げました。 この格下げは各方面に衝撃を与え、日本は南アフリカやボツアナと同じか、 借入金は多くても日本は世界1の債権国でもある、といつた様々な意見が出されました。 ちなみに米国債はドルベースで購入しているので、こうして円高が進んだ以上、 その価値は極めて低いものとなっています。 日本はバブルの崩壊を経てようやく回復基調に入り、今回の100年に1度の 世界同時不況に突入しています。 株価は低迷し、企業業績と求人倍率は低下し、消費も控えられています。 政府と地方自治体は景気浮揚策や企業に対する融資促進を実施していますが、 その効果はなかなか現れません。 日銀は通貨供給量(マネーサプライ)を常に監視して量的緩和を行い、 金利が上昇しないようにしています。 日銀はバブル崩壊時にはコール市場(金融機関の資金繰りを融通する場) に連日1兆円供給し、金利が上昇しないようにしてきました。 世界最低、史上最低の金利を誘導してきた日銀の思惑はどんなことだったんでしょう。 企業や国民がお金を借りやすくするためですか?それによって景気回復につなげた かったからでしょうか? そうしたこともあると思いますが、国の借入金の利息を抑えるためであったことが 大きな理由です。 金利が1%上昇すれば、その年の政府の償還金は何兆円も増加してしまうのです。 国債を引き受けているのは国民や銀行、海外の投資家ですが、大きな部分は 日銀が引き受けています。 日銀が直接国債を購入することは財政法第5条で禁止されています。 通貨を無制限に増発・供給し、過度のインフレに向かってしまう可能性が高いからです。 そこで、銀行を介して国債を購入しているのです。 日銀が購入し、以後市場に出さないことを「買い切りオペレーション」と言います。 直接購入してないので法には抵触していないというのが日銀の言い分だと思いますが、 購入していることは事実です。 違法性が高いというつもりは毛頭ありませんが、これによって国民はリスクを 負っているのです。 日本人は思考が一方通行に流れやすい国民性があります。 例えば第2次オイルショック時のトイレットペーパー騒ぎ、バブル崩壊時の銀行への 取り付け騒ぎ、最近では新型インフルエンザのマスク騒動などがあります。 何らかの原因で金利を抑えられなくなったとします。 現在の国債の発行額は約700兆円、1%金利が上がると7兆円必要になります。 このほかに元本の償還があります。 こうなると、政策に使えるお金が減るということですから、国民生活に影響が出ます。 ハイパーインフレという言葉をご存知でしょうか? 猛烈な勢いで物価上昇が起こることです。 日本では戦前の1932年に物価が350倍まで高騰、戦後には1945年から 1948年の3年間で100倍、オイルショック時には一時的にインフレが起こり、 「狂乱物価」という言葉が生まれました。 世界の中ではロシアが1998年に70倍の物価上昇、アルゼンチンでは1989年 50倍の物価上昇が起こっています。 インフレは結果的には国と中央銀行の信頼が薄れた時に起こります。 通貨供給量が増加した時にその兆しが芽生えます。要は通貨供給量が増加すれば、 国民がお金に価値がなくなったなあと感じるのです。 通貨供給量が潤沢であれば、金利は低下します。通貨としての価値がなくなるから 物価はインフレの方向に向かいます。 逆に通貨供給量を減少させれば、反対の現象が起きます。景気が回復して過熱すれば、 日銀は通貨供給量を益々減少させます。通貨供給量が益々減少すれば、 金利は沸点に達します。 1%金利が上昇すれば、国政に影響が出ます。 その時に国民心理がどう動くかということが問題です。 国が国民のために使用できるお金が減少し、国は国民の信頼を失っていきます。 国の信頼が損なわれれば、インフレが起こります。 インフレが起これば、日銀は通貨供給量を絞ります。 通貨供給量が減少すれば金利が上がります。 金利が上昇すれば国は国民のためにお金を使うことはできず、 借入金の利払いと元本の償還のために予算は費やされます。 「円」の国際的な信用は失墜し激しい円安になります。 ますます国内でインフレとなり、経済は機能不全、失業者は街にあふれます。 個人の所有する貯金は紙くず同然になります。 これがハイパーインフレです。 政府・日銀の心中は景気はよくなってもらいたい、ただし、金利は上がってもらいたくない という複雑な心境でしょう。 今後の日本は高度な成長することはありません。 人口の減少、医療会計・年金会計の薄氷を踏むような状況、膨大な国の借入金、 こうしたことを考えると、低成長になるはずです。 日銀は為替動向をにらみながら、低金利に誘導していきます。 為替動向の配慮を怠れば、製造業は日本から出て行ってしまいます。 内需拡大だけで日本が生きていけるかどうかということは疑問です。 成長社会ではなく、成熟社会がどうすれば実現できるか考えることが 必要な時代になってきています。


