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2009/02/07

通 貨   その4


今後は、円はどうなるのでしょうか。
私のようなエコノミストでも何でもないただの田舎のオジサンが論じる
ことですから、素人の戯言(ざれごと)と思ってお聞きください。

為替市場において通貨価格を決めるものは「購買力平価」、「資本収支」、
「経常収支」というようなさまざまなことが言われています。
購買力平価とは、十年単位の長期スパンでみれば、国の内外の物価
上昇率の差によってきまるという考え方です。
資本収支とは株式、債券などの購入、企業立地、M&Aなどの投資を
他国のものが行うことです。
投資を行われた国の通貨は上昇します。
経常収支とは国際(貿易など)収支のうち経常的な取引の収支勘定を
言います。
赤字であれば通貨価格は下落、黒字であれば上昇します。

私はこうしたファンダメンタル(基本的)な考え方は短期では合わず、
長期で見た場合に当てはまる場合が出てくるのではないかと考えています。
通貨価格は上昇するにしても下降するにしても、上昇、下降を繰り返し、
あたかも逡巡しているように見えます。
上下動を繰り返しながら数月にわたり上昇したかと思えば、また数月にわたり
下降し、結果的に見たら上昇していた、又は下降していたということが
ほとんどです。

2週間ほど前、経団連の御手洗会長が円高阻止のために介入して
もらいたいとテレビニュースの中で述べていました。
政府・日銀も役人です。
役人というものは言い訳を考えながら仕事をする傾向があります。
批判の的になるようなことはしません。
そう考えれば、すでに介入を行っていると考えた方が妥当かもしれません。
ロシアのルーブル、韓国のウォンは連日、中央銀行の介入にもかかわらず
最安値を更新しています。
仮に政府・日銀が介入しているとすれば、それ以上に円高圧力が強い
ということになります。

為替市場は相場です。
相場の格言は為替市場に限らず、株式市場においてもたくさんあります。
「まだはもうなり、もうまだなり」
「谷深ければ山高し、山高ければ谷深し」
こうした相場の世界では、ケインズが唱える「美人投票」の理論が
最も現実的な考え方だと思います。
自分が美人だと思う方に投票するのではなく、他者がどう思うかということを
考え投票するということです。
実体経済を冷静な観点でとらえようとせず、一方方向的に動く。
サプライズな出来事が起こらない限り、理由はすべて後付け。

相場というものはこうしたものです。
昨年の原油先物市場を見れば明らかです。

市場のことは市場に任せるという言葉があります。
国が為替相場には介入しないということですが、先述したように相場には
行きすぎが必ずあります。
そこに国が介入し過ぎると、国家間で摩擦が生じる場合があります。
こうしたことを嫌った言葉だと思います。
しかし、自国民の生活に悪影響を与えるような相場では必ずしも好ましい
といえません。
国際法に基づいて一定のルール作りも必要でしょうね。

対ドルで円は昨年の12月16日に86円台に上昇し,18日には反転して
下降し、数日の間に94円台に達しました。
1月7日には反転し、上昇し出しました。
1月9日、米労働省は12月の雇用統計を発表しました。
それによると、非農業部門の雇用者数は前月に比較して52万人余の減、
年間ベースでは258万人余の減、第2次世界大戦中だった1945年に次ぐ
減少でした。
これにより、さらに円の上昇に拍車がかかり、今日現在(1月12日午後8時5分)
では90円です。

短期的にみれば、オバマ新大統領への期待感と13年ぶりの高値に伴う
リバウンドということで下落、そこに実体経済の雇用の減少、企業や
金融機関の倒産、消費の減退などの悪材料が顕在化すれば上昇、
こうした双方のせめぎ合いが続くと思います。

オバマ新大統領が就任後は、あらかじめ検討しておいた景気対策を実施します。
ここで問題が生じます。
資金源のことです。
オバマ新大統領が景気対策を実施するためには、国債の発行額が2兆ドル
(181兆円)規模になるという観測もあります。
日本の国債は国内で消化できますが、米国の国債は国内では消化できず、
他国の中央銀行などが購入しています。
日銀は米国債を購入するでしょうか。
政策金利の引き下げによる利回りの低下、ドルの需給悪化、基軸通貨として
信認が揺らいでいるドル、こうした時期に米国債を購入することは火中の栗を
拾うようなものです。
中国はどうするんでしょうか。いずれにしても米国債の消化はそれほど簡単な
ものではないと思います。

国債の問題が解決し、景気対策を実施したとしてもドルは上下動を繰り返す
でしょう。
明らかに景気回復が見えてきた時期になり、ようやく100円台までドルは上昇すると
思います。
それは今年の年末から来年の春ごろになるでしょうか。

景気回復後は、各国は基軸通貨について考えるようになろうかと思います。
ユーロのようにアジア圏でも、新通貨が誕生するかもしれません。
今後、消費を一手に引き受けてきた米国に変わり、消費需要は中国やインドに
移ってきます。
05年7月、中国は対ドルの固定相場(ペッグする)を改め、米ドル、円、ユーロ、
アジア通貨などの世界の主要通貨を加重平均した通貨バスケット制に
移行しました。

通貨バスケット制を採用しているのはシンガポール、バングラデッシュ、
マレーシア、アイスランド、クエート、マレーシアなど。
通貨バスケット制は為替の変動幅を通貨バスケットに対する一定の割合に
制限しています。
この制度を採用する意味はドル相場に左右されにくいということです。
対ドルの固定相場制であれば、ドルが急落した場合に元も急落し、
通貨が安すぎる状態になるとインフレが起きる可能性が高くなります。

今回の金融危機後の中国の動きが気なります。
ヨーロッパにおいて、1999年1月にユーロが導入されるまでECUという通貨
バスケットを利用した通貨を採用していました。採用していた国はギリシャ、
ドイツ、スペイン、フランスなど12カ国でした。
中国もこのように、アジア圏で通貨バスケット制を採用したアジア通貨を
提唱する可能性が高いのです。

基軸通貨が揺らいだ米国、消費で世界を牽引してきましたが、
その消費も見込めません。
超大国からただの大国に転落します。
日本にとって弱みは軍事面で米国に庇護されていることです。
また、同盟国でもあるのです。
でも、そろそろ米国追従は考えるべきです。
日本をあらゆる角度から考え直す時期に来ています。
国家間であっても間隔を少し開けるということが必要かもしれません。
仮に中国がアジア通貨を提唱した場合は、積極的に参加すべきです。

長期的にみれば、円の凋落はだれの目にも明らかです。
150円あるいは200円を超えてしまうかもしれません。
円安になれば現在の生活水準を維持できません。
世界1の高齢社会、人口の減少、学力の低下、700万人の団塊の世代
の退職、借金国家、資源もない、よいものは一つもありません。
世界1首相の替わる国ですが、政治にあえて期待するとするならば人口増加、
子供たちの学力向上のための政策を検討していただきたいですね。
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