2009/01/24
通 貨 その2
これだけ為替レートが急激な変動をきたし、実体経済に悪影響を及ぼして いるにもかかわらず、日本政府はなぜ為替介入に踏み切らないのか 不思議です。 12月12日の篠原財務官と中川財務相の発言は単なる口先介入です。 アナウンス効果だけで実態が伴っていないものです。 介入は景気回復の有力な政策の一つです。 協調介入が実施されなかったからでしょうか。 過去の介入は米国の理解を得て行っています。 その意味で今回は米国の理解が得られなかったのでしょうか。 それとも、米ドルの暴落があまりにも世界的で、介入資金が膨大な額が 想定されることから対応できないのでしょうか。 日本の政治の混迷を為替介入においても反映しているような気がいたします。 円高介入の実績は後日、財務省から公表されます。 現在に至るまで公表はありませんし、介入したという気配もありません。 介入は、正式には外国為替平衡操作(がいこくかわせへいこうそうさ) といいます。 財務省の指示で日銀が介入するのです。 介入資金は財務省所管の外国為替特別会計があり、 そこから資金をねん出します。 最近の為替相場への介入は今から6年前の03年1月。 当時の米ドルは「双子の赤字」が注目された時期であり、それを 織り込んだ状況でドルは下落。 政府・日銀は1月から3月まで17営業日円売り介入、金額にして 2兆3867億円。 円高は治まったかと思われましたが、間もなく再び円高の様相を呈してきました。 120円台だった円相場が115円台に迫ってきたのです。 政府・日銀は再び5月、6月介入したのです。その額は4兆6116億円。 それまでの過去最高額です。 続いて9月から04年の3月まで。 円は115円から105円まで上昇した時期でした。 市場の動向は円先高一辺倒で効果は薄いものでした。 介入額は前回の介入額を軽く上回り、1月から3月だけでも 14兆8千314億円という空前の円売り介入額に達したのです。 日本はこれを最後に介入していません。 当時の日本の首相は小泉純一郎。 バブル崩壊後、現在のアメリカ同様金融機関が危機的状況でした。 政府の金融機関への資本注入、日銀の金融緩和などが間近に 迫っていました。 4月には日経平均株価が8千円を割り込み、 バブル崩壊後の最安値の更新です。 加えて円高です。 いまの日本と重複するところもあるでしょう。 当時のバブルの崩壊は日本完結型、現在のアメリカ発バブルの崩壊は 金融危機を惹き起し、世界中が巻き込まれています。 当時の株式市場は外資が日本株を買いあさっていますが、現在は 外資が売り越し、日本人が購入しています。 ハゲタカファンドと呼ばれた外資が横行し始めたのもあの頃でした。 皮肉なものです。現在では彼らの母国がバブルの崩壊に見舞われて しまったのです。 日本の介入によって、日米双方よい結果をもたらしていることがあります。 日本は円安を誘導し、景気浮揚の一助となりました。 米国にとっては、介入によって得た日本の外貨準備で、米国の政府証券が 購入してもらえたということなのです。 財政収支と経常収支の赤字である「双子の赤字」を埋め合わせしたという ことになるのです。 04年の日本の為替市場介入後、07年の8月まで円安傾向が続きました。 07年の8月、サブプライムローン問題が伝えられるや否や、為替市場においては 対ドルで円は20分間で2円の幅で急騰しました。 8月以降08年の11月まで上下動を繰り返しますが、著しい円高には 至っていません。 08年の12月以降、現在に至るまではご案内のとおりの円高です。 では、なぜ04年の日本の為替市場介入後から08年の11月まで 円高にならなかったのでしょう? しかも、その間に株式市場において外国人投資家は 買い越しになっています。 海外から日本株が買われたということは、円が買われたということであり、 本来は円高に向かうはずです。 為替市場において円高にならなかったのは、円キャリー取引という言葉を 聞いたことがあると思いますが、日本の個人投資家が低金利の円で資金を調達し、 海外の株式、債券、商品、不動産などに投資したからです。 一時期は中国株がいい!な〜んて話もありましたよね。 現在でも日本は低金利ですが、その当時は世界1の低金利国です。 現在ではこうした円キャリー取引を行っていた投資家は壊滅的な打撃を受け 撤退したと思いますが、中にはいまだに続けられているものもあります。 外国為替証拠金取引(FX)です。 1998年に新しい「外国為替及び外国貿易法」が施行されたことに伴い、 個人でも為替取引を行えるようになったのです。 FXは先物ですから証拠金を証券会社に預託し、その範囲内で通貨の 売買を行います。 自宅にいて、パソコンでできます。すごい時代になりましたよね。 日本人が好んで取引をしたのが高金利通貨です。 FXの良いところは手数料が外貨預金の手数料の10分の1、 外貨預金は期間が決められていますが、FXはいつでも決済できます。 やり方次第では、スワップと称する年利10%以上の高金利が手に入ります。 そのうえ、円安になれば為替差益も手に入ります。 為替デーラーに伍(ご)して個人投資家も稼ぐ。 まさにグローバルエコノミィーという言葉を地で行く行為です。 一昨年、昨年とFXで儲けた方の脱税記事が新聞の片隅に乗っていました。 奥さんや退職されたご夫婦の方が多いみたいです。 その額は4億円とか2億円、大きな額ですよね。 昨年載っていたのは、FXの脱税額は全体では250億円以上とのことでした。 現在でも米ドルが大幅に下落した時にはつられて下落する高金利の豪ドル、 ニュージーランドドルなどには日本人の投資家の買いが入るそうです。 日本人の投資額は最高時には30兆円を超えたといわれています。


