2009/10/07
「ガイアの娘」通信*水瓶座時代の女神社会学 vol.4
〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・☆〜 ウェブサイト:「ガイアの娘たちへ」からお届けする不定期マガジン。 セラピールーム「天と大地」の花青が、仲間たちのサポートを頂きながら、 のんびり発行しています。秋の深まりを感じる10月に発行する第四号です。 〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・〜☆・・。※。・☆〜 2009年 10月 7日 □◆ はじめに □◆□◇ みなさま、こんにちは。花青です。 前号をお届けしてから、4ヶ月近くが過ぎました。私のほうではようやく 先月、「ホチキス本プロジェクト」を現実化し、更にホチキスではなく(笑) 簡易製本した1cm ほどの厚さの手作り本で3冊、販売をスタートしました。 以前からこちらのメルマガでご紹介していた、母系社会のパラダイムを持つ 架空の文明を舞台にした、長編大河歴史小説です。ご興味のある方は、 こちらのショップで販売していますので、覗いてみてください。 http://www.lumiereblanche.net/works/index.html 今回も引き続き、母系社会・母系論探究仲間のガブリエラさんによる寄稿、 「母系社会とは何か」をお送りします。 +……………………………………………………+ 母系社会・母系論とは何か by ガブリエラ (第2回) +……………………………………………………+ 皆さんこんにちは。「ガイアの娘」通信第3号で記事を書かせていただいたガブ リエラです。 前回予告したとおり、さっそく今回からハイデ・ゲットナー=アーベントロート 博士の「母系論」(http://www.hagia.de/en/index.php?page=matriarchy)を紹 介させていただきたいと思います。 今回は、博士の母系論研究に至るまでの道のりと母系制(matriarchy)という言 葉の定義について述べた後で、第3回目への橋渡しとして母系社会を特徴づける 基準を要約したいと思います。 <バッハオーフェンの再評価と独自の母系論研究へ> ゲットナー=アーベントロート博士が研究する前から、既にドイツ語圏では「母 系論」の長い伝統がありました。それは、1861年のバッハオーフェンの研究 をきっかけとするものです。 博士がこの分野の研究を始めた1960年代は、バッハオーフェンの著作刊行か らちょうど100年が経過した頃でしたが、既に膨大な先行研究が存在していま した。 しかし、当時、バッハオーフェンに端を発する母系論の研究は、ありとあらゆる 学派・政治思想によって様々な視点で語られ(時に「悪用・誤用」され)、独立 したひとつの学問体系の体をなしていない状態でした。 なぜなら、バッハオーフェンが提供した「母系社会」のコンセプトには明確な定 義が欠けており、母系社会に対する彼自身の「感傷」がふんだんに盛り込まれて いるものであったため、結果として、様々な立場の者が自分たちに都合のよい解 釈を投影する格好の「スクリーン」のようになっていたからです。 こうしたバッハオーフェンの理論の欠点を見抜く一方で、博士は、彼の著作で扱 われている様々な史料やデータ自体は非常に価値があると認めます。 そして、もしこれらの史料やデータを偏見なく研究していったら、その結論とし て出てくるのは、それまでの父権制の世界観を崩壊させるまったく異なる社会モ デル像だろうと予感するのです: 「バッハオーフェンが見つけ出した史料を正しく認めることは、父権制のイデオ ロギーと父権制の世界観の崩壊を意味していただろう。なぜなら、母系制の研究 は、人類史の理解にとって新しいパラダイムの始まりであり、私たちの世界の理 解に影響を与えるものだからだ。それゆえ、母系論を適切なかたちで示し、その 価値を認めることはあまりに危険だったのだ!」 この深い確信が、以降の博士の母系論の研究の土台となっています。 博士は、自身の母系論の研究を5つのステップに分類しています。そのうち、最 初の3つのステップについては研究が完了しており、それぞれ「Das Matriarchat(The Matriarchy:母系制)」というタイトルで1巻ずつ著作が刊 行されています(学術的な内容ですので割愛させていただきます)。 <母系制(matriarchy)という言葉の定義> ところで、この辺で一度、母系制(matriarchy)という言葉そのものについて考 えてみたいと思います。なぜなら、この言葉を明確に定義することは、母系制の 深い理解と密接に結びついているからです。 おそらく、母系制にまつわる数々の誤解のうちの最も大きなものは、 「母系制とは女性(母)による支配である」 というものだと思います。 しかし、このような誤解・偏見は、父権制(patriarchy)の構図をそのまま母系 制にもあてはめようとすることから生じています。父権制の構造とは、端的に言 うと、「(少数の)男性(父)が権力を握り他者(および人間以外の自然)を支 配する」というものです。しかし、母系制では父権制に見られるような強権は存 在しません(後述しますが、「家長」にあたる存在やリーダーにあたる存在はい るものの、基本的には話し合いによる全会一致という民主主義的な意思決定のも とに運営される社会です)。 では、なぜこのような誤解が生じるのでしょうか。 これについて、ゲットナー=アーベントロート博士は、長年の母系社会の観察と 語源の考察から以下のように説明してくれています: 「母系制(matriarchy)という言葉は、『母による支配』と誤って解釈されてい るが、この解釈は、誤りである。 matriarchyとpatriarchyの言葉の語尾にある"archy"は、ギリシア語の「arche (アルケー)」からきているが、この語は2つの意味を持っている。すなわち、 「始まり」と「支配」である。(たとえば、前者の意味で使用された場合、考古 学=archeologyとなり、後者の意味で使用された場合、hierarchy=ヒエラルヒー、 階級構造となる。) 母系制(matriarchy)の場合、その仕組みから見て「始めに母あり」という意味 に解釈することが正しいが、父権制(patriarchy)の場合は、もう一つの意味、 すなわち、「父による支配」と解釈するのが正しい。」 私もこのエッセイを書くに当たって、一貫して母系制/父権制という言葉を使用 していますが、これは博士の用語の使い分けにのっとっています。 <母系社会を特徴づける基準(要約)> さて、前置きと難しい話はこれくらいにして、そろそろ母系社会の輪郭を描く作 業に移りたいと思います。以下、次回への橋渡しとして、箇条書きのかたちで特 徴を要約してみました。 博士によると、母系社会は、以下の基準をすべて満たしてはじめて母系社会であ るとのことで、どの基準もそれぞれ相互に関連しながら母系社会というひとつの 有機的なシステムを形作っているとのことです。 ・経済=ギフトエコノミーに基づく互恵 - 自給自足の農業システムを基礎とする。 - 土地、家屋、財産はクラン(注:母系社会の最小単位。主に血縁によって結ば れた10〜100人の一族のこと)で共有する。 - 私有財産は存在しない。 - 女性たちが食糧供給に関する自由裁量を持っている。 - 祭祀において食糧・物品が贈り物として分配・循環されることで、富に関する 調整が定期的に行われている。 ・社会=非階層的で水平な血縁関係 - 母系のクラン。このクランは、母から娘へという血統(matrilineality)と、 女性(母)が自分の生家に定住すること(matrilocality)によって維持されて いる。 - 2つのクランの間の集団結婚(一対一の婚姻ではない)。 - 男性・女性ともに性的自由が与えられている通い婚のシステム。 - 生物学的な父系ではなく、社会的父性(象徴的父性)を重んじる。 ・政治=全会一致に基づく平等 - クラン内、村内、地域レベルにおける全会一致の原則。 - 意志決定を行うのではなく、コミュニケーションの担い手としての使節。 - 階級が存在せず、支配構造がない。 ・文化・スピリチュアリティ=女神崇拝 - 死ぬと自分のクランの子どもとして生まれ変わるという輪廻転生信仰。 - 先祖崇拝。 - 母なる地球と宇宙の女神への信仰。 - 世界のすべてが聖なるものであるという観念。 - 二元的な世界観・道徳観が存在しない(天上性/地上性、男性/女性、肉体/ 精神などに分けて、どちらか一方を善・優れているとみなすことはない)。 - 生の営み(日常生活)のすべてがスピリチュアルな象徴体系の一部である。 ・・・いかがでしょうか? 以上の特徴のうち、おそらくいくつかの点については素晴らしいと思えるものも あったでしょう。あるいは、抵抗を覚えたり、今まで聞いたことのない思想もあっ たかもしれません。また、時代遅れでは?・・・と感じるものもあったかと思い ます。 次回は、こうした母系社会の個々の特徴をもう少し細かく説明していきたいと思 います。 その上で、母系社会のコンセプトのうち、どんなものがこれからの社会をつくる 上で示唆に富んだものなのか、博士自身の見解と提案を紹介したいと思います。 そして、次々回では、母系社会の長所と、父権社会が勃興した理由(それは母系 社会の「弱点」に関わる部分でもあり、最も解明が求められている点でありなが ら、まだまだ謎が多い部分でもあります)について、私なりの見解を述べたいと 思います。 第1回目のエッセイにも書きましたが、重要なことは、すべてを壊して過去に戻 ることではなく、母系社会のコンセプトを「今、ここ」の社会にすりあわせてい くことだと思います。そのためにも、ここ数千年の間、地球上でなぜ父権制が台 頭し、席捲してきたのか・・・その理由を、恨みの感情からではなく、真実を求 める思いから探っていきたいと感じています。 「宇宙で起きることで無意味なことはない」ースピリチュアル世界の哲学では繰 り返し聞く言葉ですが、それは、母系社会から父権社会への移行(一見退化とも 思える人類の迷走の歴史)にも当てはまることでしょう。 誰かを裁き新たな罪人をつくるのではなく、痛みを深い理解の光の中に照らして 手放し、共感と実践に変えて、すべての人と地球とともに新しい時代を迎えたい ・・・私自身は、そのような立場で母系社会というコンセプトを紹介したいと感 じています。 それでは、今回もおつきあいいただきありがとうございました。 ガブリエラ Gabriela, the Wanderer ・・・ vol. 004 に寄せて* 編集後記 ・・・・・・・ 私たちが生きている「父権社会」と、太古的な「母系社会」が 単に父と母が入れ替わったというだけではなく、より自然界と近しく調和に 満ちたものであり、人間が互いの自由を尊重することの出来る環境である ということを、とても分かり易く説明して頂きました。 右脳的に言えば、ガブリエラさんが上に列記して下さった母系社会を 特徴づける基準について、「懐かしい」「そうだそうだ!」と感じる 方も多いのではないかと思います。また左脳的に言えば、混迷を極める 現行の社会システムに対する、思考のための大いなる刺激になるのでは ないかと、自然思えます。 単なるロマンではなく、社会学のひとつとして向き合うことで、 今を生きる私たちにも響く、自然界と地球から、そして人類の祖先たちからの 無視できないメッセージ、ガイダンスとなることでしょう。次号、いよいよ 核心に迫るような気がしている花青です。ガブリエラさんの次回エッセイを 私も楽しみに待ちたいと思います。 皆さんもご意見、ご感想などお気軽にお寄せください。 ご購読ありがとうございます。 花青 感謝を込めて。 Love and Gratitude --------------------------------------------------------------------- ■発行者:花青 earth-keeper.jp □配信登録・解除はこちら:http://www.earthkeeper.jp/gaia/ ■ホームページ:http://www.earthkeeper.jp/gaia/ □連絡先:admin@earthkeeper.jp ※文章の無断使用を禁止します。著作権法によって保護されています。 ---------------------------------------------------------------------


