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さすらいの一般人の書き下ろしメディア批評コラムです。論評の幅を広げるべく、旧称「テレビ動物園」から改称しました。業界とは縁もゆかりもない無責任一本勝負でよろしくお願いします。

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  • 最新号 2009/12/07
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2009/11/02

ロン・ピョウ

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          ロン・ピョウ
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[第86号 2009年11月2日]
 
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■「人生のお手本」
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マンガ『Dr.スランプ』(アラレちゃん)の話。則巻千兵衛博士(はかせ)
はまじめな劇画顔と普段のおとぼけなギャグ顔を使い分けていた。

80年代のマンガにはこういう表現がよくあった。最近はあまり見かけな
い気がする。ジャンルとしての劇画はマンガにほぼ吸収されてしまった
のだろう。

今でも『ゴルゴ13』は劇画全盛期の雰囲気をよく残してくれているし、
『ベルばら』の池田理代子先生の肩書きは劇画家・声楽家だ。『カムイ
伝』は新たに映画化され、『ゲゲゲの鬼太郎』も健在だ。

画にせよ、ストーリー性にせよ、劇画的なものがなくなったわけではな
い。劇画対ギャグマンガという構図が説得力を失ったということだろう。

今はマンガの種類も総量も60年代や70年代とは大違いだ。劇画という表
現が陳腐になるくらい、マンガの世界は進歩を続けている。

話は変わる。二つの顔で思い出したが、女優ないしモデルは自分の人生
についてやたらと語りたがる。女優としての私、そして女優以外の顔も
持つ私。はあ。本当に困ったものだ。

男性の役者にも語りたがりはいる。しかし、自分の人生を語るよりも興
味関心トークに流れがちなのが男子の宿命だ。

例えば、細川茂樹。この人は役者なのに『アメトーーク』(テレビ朝日)
の「家電芸人」特集に出演してしまう。先日私が見たデルコンピュータ
の新聞広告でも自分なりの「ノートPC論」をひたすらと語り続けていた。

生き方を語っているつもりが自分の趣味を語っているだけ。自分の人生
が趣味にのっとられているわけだが、そのことはあまり自覚していない。
ここまで行ってしまうと、趣味を語ること=人生を語ることと言っても
いい。

ただ、こういう人の話は人生論的な臭いが弱い。また、たいていは松方
弘樹の釣り話のように「変な人の変な話」で処理されるのであまり煩わ
しくない。

これに対し、女優ないしモデルの自分トークは例外なく煩わしい。なぜ
だろう。煩わしいが、あえて考えてみた。

今、女優とモデルの垣根はこれまでになく低い。そもそも「女優」と名
乗っていても、演劇で活躍する人は別として映画やテレビドラマに出て
いるのを見かけない人も多い。

事実上の職業は「番組ゲスト」(最近ではYou、かつての秋野暢子)、
「雑誌の表紙に出てくる人」(松嶋菜々子)、「クイズ番組解答者」
(高田万由子)、「パリに住んで子育てをしている人」(中山美穂、加
藤紀子)というふうにさまざまだ。

もちろん、女優=芝居をする女の人ということであれば、CM出演だって
芝居だから、CMだけで見かける萬田久子はやはり立派な女優だ。先に列
挙した「女優」だってCMではまずまず見かける。

本題に戻ろう。女優が生き方を語るのはたいてい雑誌や新聞のインタビュー
が多い。ただ、そうしたインタビューとはたいてい広告だ。CMも広告だ。

よほど仕事を選ばない限り、そして仕事を選べる人など少数派だろうか
ら、テレビ界に軸足を置いている女優は基本的に広告仕事に頼って生き
ることになる。

広告とは夢を売る商売ではない。商品を売る商売だ。だから、広告の中
で商品として売れるような人生を持ち合わせている女優が重宝される。

ママドルしかり、ナチュラルロハス系しかり。田舎で暮らして農業を始
めてみたり、いきなりマラソンを走り出したり、子育てを論じたり、オ
カルトにはまったりと、人それぞれだが、みな語りやすいようにうまく
まとめて説明しやすい規模の生活をしているのが共通点だ。

そういう語りをまとめると、ほぼ例外なく、「今までの生活がダメだ、
とある日ふと気がつき、新しいことを始めてみたら、それが心地よくて
健康的で、だから続けています。自分はいつも美しく自然体」という感
じだ。

最近は女優とモデルの垣根が低くなってきた。自分語り女優の蔓延はこ
れと関係している。「女優=モデル=(ファッションだけでなく生き方
も)お手本」という変な公式ができあがっているのだ。

「女優」の方は「自分がお手本」という変な優越感に酔う。広告の方は
安易に人生を切り売りしてくれる「女優」を使って商売をする。「女優」
のほうは親切にも「ある日ふと気づき…」という話を毎回同じように繰
り返してくれる。広告主と広告会社と「女優」で利益共同体を作りあげ
ているとも言える。

人生の切り売りというビジネスモデルは、「不健康系」タイプ(桃井か
おり、夏木マリ、加賀まりこ、杉本彩)の女優にも当てはまる。

こっちのタイプは(本来、素人が想像するような)女優仕事をしている
ように見えるが、それは「不健康で恋に生きる奔放な女優」という思い
こみの中に「女優バカ一代」という要素が予め織り込まれているから、
そういうふうに仕事が回りやすいだけのことだろう。

資本主義とは「商売至上の世の中」ということだ。人生を切り売りしな
くても生きていける素人はそれだけで幸せなのかもしれない。

余談。「パリに住んで子育てをしている人」の中山美穂が久しぶりにCM
に出ていた。故マイケル・ジャクソンことジャイケルに似ていてびっく
りした。パリよりも東京でお直しすべきではと思うのだが、やはりパリ。
素人にはわからないレベルのこだわりがあるのかもしれない。

(了)


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