2009/10/05
ロン・ピョウ
---------------------------------------------------------- ロン・ピョウ ---------------------------------------------------------- [第82号 2009年10月5日] ---------------------------------------------------------- ■「リアクション芸人としての江原啓之」 ---------------------------------------------------------- 新聞で「河村隆一が厳島神社で歌う」という広告を見た。その写真が私の知って いる河村とは別人だった。 お直しかと思いきや、別の日、同じ新聞の同じ企画の全面広告で「自分はサーフィ ンをやっているから海はうんぬん」とのたまっていた河村の顔はやはりもとのま まに見えた。 ただ、加齢に抵抗するためのお直しはしているかもしれない。よくある話だ。 河村といえば、私、以下のエピソードが忘れられない。数年前、細木数子番組で の話だ。 その日のゲストは河村隆一。初めて河村隆一の歌を聞き、そのホスト然とした見 た目も気に入ったのか、細木が河村に質問。「いい声だね。それは地声かい、裏 声かい」。 地声なわけがない。そんなこと聞くのか細木、と思っていたのもつかの間、河村 が即答、「地声です」。 さて、オカルト人ということでいえば、ようやく『オーラの泉』(テレビ朝日系) が終了した。 オカルト番組が退潮しているとみてよいのか。それともテレビ業界がやたらとケ チケチしてきて大物芸能人のギャラを削りたいということなのか。おそらく後者 だろう。 この番組は芸能人の年功序列に依存した番組だから、美輪明宏なき『オーラの泉』 は成立しない。この番組、ゲストの芸能人は美輪の方を見てしゃべるのが基本だ。 前回紹介した鳩山幸さんの本にも美輪や江原啓之の名前がよく出てきた。 美輪や江原につながっていることで自分のオカルトな権威を示すという、「虎の 威を借る狐」構造が明らかに見て取れた。 有名人「セレブ」社会=社交場とはそういうものなのだろう。友だちの友だちは アルカイダではないが、だれだれと知り合いであること、そのことに価値がある わけだ。 だとすると、自分の価値をインフレすることは簡単だ。偉い人と知り合いなら自 分も偉いのだから。このシステムに乗っかってしまえば中身はゼロでも出世がで きる。 芸能人が身代を削り、寝る間も惜しんで社交にいそしむのはそういうことなのだ。 江原もそういうシステムに乗っかってセレブ社会にデビューした。芸能人、有名 人に言及してもらうことで江原の商売は成り立っている。 では江原は本当に真空なのか。 自分の推論を確かめるため、江原の本を読むことにした。林真理子・江原啓之 『超恋愛』(マガジンハウス・2007年)。 対談本でお茶を濁すところが私の限界だが、無理なものは無理なのだ。 これがまた読めない。頭に入ってくる以前の問題。なかなか開く気になれない。 開いても読む気になれない。読んでも頭に入ってこない。でもがんばって読んだ。 超速とばし読みで読んだ。 先週の『私が出あった不思議な出来事』もそうだが、こうも読みたくない本、読 めない本ってあるんだなと改めて気づかされた。また、林真理子が明川哲也(元 ・ドリアン助川)に似てることにも改めて気づかされた。 ぱっと開くとすぐ目に飛びこむ。「セックス」という文字の乱舞。林と江原が組 んずほぐれつなのかという気になってしまうが、別にそうではない。 この本の題は『超恋愛』だ。なのに「セックス」だらけ。セックスと恋愛がどう いう関係にあるかはグズグズに捨て置かれているままに「セックス」のインフレ。 本全体でそれについての何らかの結論が出ているかと思いきや、それもない。 また、マニュアル本の体裁を取っていながら、まとめられている要点がちっとも 頭に入ってこない。「要するに」を連発しながらちっとも話をまとめてくれない 人状態だ。 赤の太字で強調されている「おことば」は見開き2ページあたり二つ三つもあり、 これも煩わしい。そこまで強調が多いと、もはや強調とはいえないのに。 「いちばん賢いのは、Mの皮をかぶったS女」(江原)。 「キスの段階では次段階への選択権はすべて女の人に与えられているからこそ一 番楽しい」(林)。 林はさておき、江原の言葉は前出の河村隆一のコメント同様、いちいち頷けず、 いちいち含蓄がない。また、江原はホルモンという言葉をなぜか多用する。いち いち知識の厚みを感じさせない。 林真理子、実は江原の意見にあまり同調していない。この人はよくわかっている のか、わかっていないのかわからない怖さがある。 たぶんよく見えている人だと思うが、それでも「オヤジ女はいけ好かない」と言 いつつ、渡辺淳一を引用していたりするからわからない。 江原には自分の意見がない。徹底的に場当たりな問答は占い師の定石だ。江原は うんうんうんうんと頷きながら、いつの間にか人の意見を自分の意見にすり替え てしまう。 江原の話し方はリアクション芸だ。そして実はこのヨイショ芸こそが社交界で好 かれる理由かもしれない。 話を聞いてやり、頷いてやるだけでたいていの人は満足する。さらに江原は中身 がない。これがうまく作用している。 江原と話せば、江原は常に的外れでいいかげんでトンデモな答えしか返さない。 理性や知性に由来した意見を返すことはない。 ということは江原と話している限り、その人は現実から逃げ続けられる。逃避は 問題を放置して深刻化させるだけだが、その場しのぎにはなる。酒を飲んで憂さ を晴らすというのと同じで手軽だ。だから江原は愛される。 美輪も話を聞いてもらい、ヨイショしてもらう快感がたまらなかったのかもしれ ない。 (了) [PR]------------------------------------------------------- お米の魅力を味わいつくす http://click.linksynergy.com/fs-bin/click?id=gkuWB67RDZI&offerid=126733.10002177&type=3&subid=0 ---------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------- メールマガジン「ロン・ピョウ」 発行責任者: tawashi<tawashi@yandex.ru> 登録・解除: http://www.mag2.com/m/0000262007.html 登録・解除は上記サイトにてご自分でお手続きください。 ----------------------------------------------------------


