2009/09/28
ロン・ピョウ
---------------------------------------------------------- ロン・ピョウ ---------------------------------------------------------- [第81号 2009年9月28日] ---------------------------------------------------------- ■「バラン」 ---------------------------------------------------------- 私が推す「今週の人」は鳩山幸さんだ。 幸と書いてみゆきと読む。へえとしか言いようがない。わざわざ紹介してすみま せん。 宝塚出身だから当たり前だろうが、この人は出たがりだ。首相の配偶者というの は出たがりくらいでちょうどよいとも思う。 私がこの人に注目するようになったきっかけはロシアのニュースサイトだ。 仕事柄、ロシアのニュース報道を見聞きする機会がある。ある日、インターネッ トでロシアのニュースを読んでいたら、この人のニュースに行き当たった。 そこでは鳩山(幸)さん(以下、鳩山さん)が「私の魂が金星に飛んでいった」 と述べているうんぬんとあった。 そこでその発言の出所となっている本を手に入れた。 『私が出あった世にも不思議な出来事』。2008年8月刊。出版社は学研だ。トン デモなオカルト雑誌として名高い月刊『ムー』(学研)の連載記事をまとめたも のという。 些細なことで恐縮だが、私は書名の「私が出あった」の「出あった」というとこ ろが妙に引っかかった。「出会った」でもなく、「出逢った」でもなく、「であっ た」でもなく、「出あった」。 「出あった」。あまり見かけない気がする。 私は新聞の書籍広告が好きで毎日欠かさずチェックしているが、(非大手の)新 興宗教系やオカルト系の書名の日本語はどことなくぎこちないという傾向がある。 この本もそういう雰囲気がある。オカルト的にいえばそういうぎこちないオーラ が出ていると言うべきか。 地元の図書館にもあるので、売れていないとも言い切れないが、よく言えば手作 りの温かみ、悪くいれば素人臭い、やぼったい書名だ。もっともそれはわざとか もしれない。 本の中身は対談だ。鳩山さんは対談の聞き手を務めている。だから、正確にいえ ば、著者ではなく聞き手だ。 鳩山さんはこの本の「おわりに」というところで次のように述べている。 「もう二十年くらい前のことですが、自分としては、肉体が眠っている間に、魂 が三角形のUFOに載って金星に行って来たと思っています。ものすごくきれい なところで、緑がいっぱいでした。この次元の太陽系ではないと思うんです」。 なぜだか私がひたすら謝りたくなる。すいません。 この発言を取り上げて報じるメディアの方が悪い。そんな気がしてきた。子ども に対して本気で腹を立てているような感じ。決まりの悪さ、大人げなさというべ きか。とにかくすいません。なんとかしてやり過ごしたい。ただそう思う。 私はオカルトに全く興味がない。だからこそ、あえて修行としてこの本を読むこ とにした。 読めば読むほど、頭が内容を拒否する。こんなに心を打たない本、内容が記憶に 残らない本は珍しい。 「最後の晩餐でイエスの右にいたのは自分!?」。 『渡る世間は鬼ばかり』に出ている野村真美の話だ。橋田壽賀子ドラマの嫁姑怨 念に呪われるということなのだろうか。あるいは長すぎるセリフのプレッシャー に苦しめられた末の悪夢か。 「しゃぶしゃぶの店から霊の団体を連れ帰る!?」。 高嶋政宏の話だ。さすがは古代大河ロマンSF珍映画『ヤマトタケル』(1994年・ 東宝)の主演を務めただけのことはある。また、しゃぶしゃぶというところがい かにも芸能人だ。よくわからないけど。 「太陽がハートチャクラに飛びこみクンダリーニが上昇した」。 もう知りません。 この本によれば、身近の不思議な現象を「スピリチュアルな体験」として解釈で きる人が偉いそうだ。 先の鳩山さんの夢物語も、常識人にとってはただの夢だが、トンデモ人にとって は「スピリチュアルな体験」と解釈される。 平たくいえば、トンデモ人は自分が特別だといいたいのだ。選ばれた人、豊かな 精神性を持った人だと見られたいのだ。 わかる、その気持ち。小学生のとき、そう思っていた。今でいえば、小学生がハ リー・ポッターに夢中になる気持ちだろう。 子どもの頃の妄想と、大人になってコンプレックスの中で身につけた選民意識、 階級意識とも言うべき妄想が、生半可な寄せ集めの宗教知識と渾然一体になって できあがったのがオカルト人の世界だ。 人に迷惑をかけないのなら、他人がとやかく言うべきではなく、あたたかく見守っ てあげるのが大人の態度だ。しかし、心霊商法などに悪用されることが多すぎる ので、大目に見すぎるわけにもいかない。そこが難しいところだ。 この本に出てくるある対談者によると、鳩山さんの前世はスペインの流浪の民、 踊り子だという。 深田恭子をはじめ、前世がマリー・アントワネットと関係あると主張する人は多 い。 しかし、なかなか性別の壁を越えた生まれ変わりを主張する人はいない。また、 私の前世なんて、なに、つまらないもんですよ、と言う人も少ない。 前世がアブラムシとか、サランラップの芯とか、折り詰め寿司のバラン(プラス チック製の笹)という人がいてもいいではないか。 自分はバランだった、いなり寿司の陰からプラスチックのふたをいつも見上げて いた。そういう人はいないのか。そういう人なら私もぜひ対談してみたいと思う。 (了) [PR]------------------------------------------------------- いそがしいママにグッドニュース!時間指定で食材を宅配します。 http://click.linksynergy.com/fs-bin/click?id=gkuWB67RDZI&offerid=113751.10000014&type=3&subid=0 ---------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------- メールマガジン「ロン・ピョウ」 発行責任者: tawashi<tawashi@yandex.ru> 登録・解除: http://www.mag2.com/m/0000262007.html 登録・解除は上記サイトにてご自分でお手続きください。 ----------------------------------------------------------


