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さすらいの一般人の書き下ろしメディア批評コラムです。論評の幅を広げるべく、旧称「テレビ動物園」から改称しました。業界とは縁もゆかりもない無責任一本勝負でよろしくお願いします。

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  • 最新号 2009/12/07
  • 部数 29部
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2009/07/20

ロン・ピョウ

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          ロン・ピョウ
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[第71号 2009年7月20日]
 
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■「軍団=教団」
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『火曜エンタテイメント!元祖!大食い王決定戦 全国縦断新女王発掘戦』(テ
レビ東京)を見た。

テレビ東京の大食い番組といえば、春か秋の日曜夜に三時間スペシャルという気
がしていた。で、やっぱり、ド平日の今回は「新人戦」だった。

通常の特番は王者を決めるものなのだが、今回は「頂上決戦」の女性参加者を募
る予選をまとめたものだった。

正直なところ、いつもの「頂上決戦」ほどの迫力はなかった。また、夏に見るに
は暑苦しすぎた。やはり春や秋の放送が望ましい。

もちろん、新たな発見もあった。

いつもの「頂上決戦」はさすがに予選を勝ち抜いた猛者揃いとあってレベルの差
は大したことがない。しかし、今回は予選なので、普通の人も参加している。そ
れだけに異常な人の存在が際だった。

「異常な人」とはかなり痩せ気味なのにぶっちぎりで食べてしまう人のことだ。
「頂上決戦」で勝ち残るのはこの類の「異常な人」、ほぼ全て細身の人ばかりだ。

もちろん、これまでには巨漢の男性大食い「選手」もいて、そういう人が一時代
を築いたこともあった。しかし、女子の「大食い」に限ってはよい体格の人が勝
つのは稀だ、というか、見たことがない。

今回の各地予選も女子の予選とあって、小柄で痩せ気味の人がある意味「順当に」
勝ち上がった。

しかし、熊本では体格のよい女性が珍しくも勝ち上がり、東京でおこなわれる予
選の決勝に参加した。これは珍しかった。

その女性は予選の決勝に破れ、頂上決戦には参加できなかった。やはり「普通の
人」には越えられない壁がある。

かつて90年代には一時的に大食い番組ブームがあった。しかし、視聴率不振や素
人が番組のまねをして死んだことなどもあり、元祖のテレビ東京が細々ながら確
かな地歩を重ねるにとどまっている。

「大食い番組」はテレビ東京が育てたジャンルだ。今や、テレビ東京やテレビ朝
日が後発のテレビ局だという印象はだいぶ薄れたが、70年代や80年代、後発のテ
レビ局は独自ジャンルで先発の大手局と張り合おうとしていた。

石原プロとテレビ朝日、つまりは『西部警察』のご縁もこれに類する。だから、
今週、重い腰を上げて録画を見た『独占生中継!裕次郎二十三回忌法要in国立競
技場』(テレビ朝日)も、そういうご縁を念頭に置いて見なくてはならない番組
だった。

私のような70年代生まれに石原裕次郎の神通力は効かない。

確かに私、子どものときに『西部警察』の再放送を楽しんではいた。しかし、子
どもの私にとって『西部警察』の石原裕次郎とは「最後にちらっと出てきて偉い
風を吹かしているやや太めのおっさん」でしかなかった。

だから、『二十三回忌法要』の熱狂も理解できない。全国から、日の出と共に集
まってくる人々の熱狂とは何なのか。考えてみようと思い、嫌がる自分を奮い立
たせてテレビの前に座った。もちろん正座ではなく。

で、結局、裕次郎人気の謎はわからずじまいだった。徹頭徹尾のヨイショ番組を
見ても、部外者が得るものはないようだ。

ただ、石原軍団=石原プロが「石原裕次郎」教の教団だということはわかった。

かつては各地を巡業してファンに応えた軍団=教団。天災などに際しては被災地
で炊き出し。今回は国立競技場に「裕次郎寺」と称する巨大な拝殿を仮設して信
者を数万人集めた。

また、神=教祖の早すぎる死を20年たっても伝説として語り続ける部下=弟子た
ち。さらには神=教祖の親族が信者=ファンの助けを借りて政治家として当選ま
た当選。

石原プロ=石原軍団は永遠に代替わりしない。生前の石原裕次郎との距離が軍団
内の序列を決めている。神は永遠に神ということだ。

この日も流れ続けるコーラス=聖歌は全て石原裕次郎の曲。あるファンは前の日、
徹夜して石原裕次郎の全ての曲を聴いてから来たそうだ。しまいには一番弟子の
渡哲也のコールに対し天に向かって参加者数万人全員で「裕ちゃん」レスポンス
コール三回。

唐突だったのは、番組のゲストに天海祐希が名を連ねていたことだ。母親が熱烈
な石原裕次郎ファンで、本人も「ファン」ということだそうだが、年齢から考え
れば本人が「ファン」となるには相当の努力を要したはずだろう。

実は天海が現代テレビ界において最強の「ボス」(かつては石原裕次郎の代名詞
だった)を体現しているから呼ばれたように私は思うのだが、真相はわからない、
というかどうでもよい。

ただ、番組進行のアナウンサーとしては天海がいてくれて本当によかったと思っ
たことだろう。天海の発言は端から端まで優等生だった。それに対し、石原軍団
の面々が揃いも揃ってフリートーク慣れしておらず、発言は軒並みぐずぐずだっ
たからだ。

ことに舘ひろしはすごい。素でもスキを見せない芸能人が増えてきた中、舘ひろ
しの素は信じられないくらいノーガードだ。

この日もメチャクチャ浅く椅子に腰かけて姿勢が崩れ気味だわ、拝殿に向かうと
きにどういう顔をしたらよいかわからないかのように微笑んたように見えたし、
続く焼香場面では案の定、舘ひろしだけがカットされていた。

もちろん、裕次郎フリートークも意味不明気味だった。この人、藤原紀香の結婚
式スピーチでは「男にとって一番幸せな日は妻が死んだ日」と言い放ち、ムーディー
勝山の歌以上にすべっていた。舘ひろしの素での発言、今後、要チェックだ。

(了)


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