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さすらいの一般人の書き下ろしメディア批評コラムです。論評の幅を広げるべく、旧称「テレビ動物園」から改称しました。業界とは縁もゆかりもない無責任一本勝負でよろしくお願いします。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2010/01/04
  • 部数 30部
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2009/04/13

テレビ動物園

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          テレビ動物園
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[第57号 2009年4月13日]
 
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■「総力報道」
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不況、不況というが、会社勤めでない私は不況を実感する機会がない。しかも、
世人は不況、不況といいつつも、相も変わらず消費しまくりで暮らしている。

街の中、いたるところにモノがあふれているし、エネルギーも無駄遣いだらけ。
不況のくせに。

そんな私でも景気の悪さを実感できるのがテレビだ。テレビは露骨に経費節減し
ている。作り手は相当に努力しているのだろうが、視聴者をごまかすことはでき
ない。

制作者以上にテレビ漬けの視聴者は多い。しかも、何十年もテレビ漬けの視聴者
はざらだ。見えてしまうのだ。

今、まさに番組改編期。それだけに新番組のしょぼさが際だっている。特に昼の
各局のしょぼさが見事だ。

日本テレビは中山秀征。この人については前にも書いたが、天才的に話の間が悪
い。その噛み合わなさがハプニングの予感を静かにかき立て、「結果として」そ
の場にライブ感が生まれている。

この人がいると、何となく、場が落ち着かない感じが止まないのだ。

才能といえば才能だが、あくまでも結果論だ。また、ライブ=生放送的な雰囲気
を醸し出しているのは事実だが、やっぱり間が悪い。だから、この人が司会を務
めていた『ラジかるッ』(日本テレビ)をじっと見ているのは苦痛だった。

TBSは恵俊彰の『ひるおび!』。司会は恵と局アナ。ほかに男性俳優が日替わりレ
ギュラーで出てくる。

男性俳優はいわゆる「お花」。私が見た日の石黒賢はレギュラーとは思えないほ
どのゲスト感。バラエティーに慣れていないので、いい歳して初々しかったが、
それはねらい通りなのだろう。

内容は冗長の極みだ。4時間通してみる人が想定されていないかに思えるだらだ
ら感。

芸能ニュース中心で、ときどき差し挟まれる通常ニュース、新聞記事紹介、通販、
日替わりゲスト、素人のファッションチェック、小さな旅企画。よくこれで4時
間持たせるものだと、むしろ感心した。

しかも、こうしたコンテンツもよく見れば広告に過ぎない。

例えば、芸能ニュースの大半の時間は5月の新番組、木村拓哉主演ドラマの宣伝
に割かれた。

また、ゲストの加藤茶は、TBSの同日の夜の番組『8時だョ!全員集合』回顧番組
の番宣のためのゲストに過ぎない。

一般ニュースのコンテンツですら、「石川遼のアメリカでの活躍に期待」のよう
に、やっぱり自局のゴルフ番組の番宣臭が漂っていた。

さらにはファッションチェックでも、素人が身につけている服や靴や装身具の多
くがブランド名ごと紹介されていた。

どこまでいっても広告臭がぬぐえない。

さて、中山といい、恵といい、こういう抜擢は何となく縁故というか、論功行賞
な感じがある。

中山はドラマ『静かなるドン』や松本明子や飯島直子と共演していた『DAISUKI』
以来、日テレに貢献してきたご褒美な感じがある。

また、恵は90年代のTBSラジオでの細かい仕事に始まり、『関口宏の東京フレン
ドパークII』でのエアーホッケーなど、やはりTBSでの地味な仕事を大事に続け
ている感が強い。

NHKの地味な仕事を重ねて紅白出場を勝ち取った森口博子に通じるものを感じる。

別に彼らのキャリアを茶化すつもりはない。華々しいと思われがちな芸能界がベ
タに地味なものだとわかる、そのことが興味深いだけだ。

さて、『ひるおび!』の構成は同局の夕方の報道新番組、『総力報道!THE NEWS』
に似ている。私は二つの番組を一部倍速で見たが、構成はとてもよく似ていた。
もはやワイドショーと報道の差はほとんどないのだ。

『総力報道』の一般ニュースでは北朝鮮のロケットの話題に時間を割いていたも
のの、「アメリカ 車の屋根の機材に挟まれたねこを救出」というようなゆるい
ニュースにも相応の時間を割いていた。

また、芸能ニュースもたっぷり紹介していた。東京マラソンでの意識不明から復
帰した松村邦洋の記者会見では、松村のものまねネタをごていねいにも3つも紹
介してくれていた。

おかげで、麻生太郎をまねる際には、ひょっとこ口だけではなく、眉間にしわを
寄せることも大事だとわかった。さすが、『総力報道』だ。

また、スポーツニュースでは石川遼クンもたっぷり紹介。これは前述の通り、お
もいっきり番宣だ。それにしても、オヤジは石川が好きだ。

そして、番組は東京の十条商店街の、おにぎり屋、魚屋、おでん屋の紹介を始め
た。正直、この番組の中ではここで紹介されたおにぎり、さしみ、おでんが最も
印象に残った。

『総力報道』で商店街のおでん。違和感。いや、ここまで自信を持って紹介され
ると、私の感覚の方がおかしいような気がしてくる。ごめんなさい。

「意を決して報道に転身した」という触れ込みになっている、この番組の司会、
小林麻耶アナウンサーが気の毒だ。

もっともこの人、「次は芸能ニュースです」という笑顔での振りや、下からのア
イドル用カメラアングルを強いられており、依然としてアイドル的な扱いを受け
つづけてることに変わりはない。

しかも、それがよく似合ってしまっている。芸能界もそうだが、テレビの世界も、
その世界への入り方がその後のキャリアをかなり縛ってしまうもののようだ。ア
イドルアナからの脱出は並大抵の努力ではできないようだ。

ところで、4月から新聞のテレビ欄に大きな変化があった。各局の番組表の並び
順が、地上デジタルのチャンネル順になったのだ。

得をしたのがテレビ朝日とテレビ東京。両局ともいままでは10チャンネルと12チャ
ンネルで番組表の右の外れだった。特にテレ東は一番右端の新参者チャンネルと
いうことで、番外地感が否めなかった。

番組欄の端っこであることで、視聴者は番組の内容に関係なく、「ああ、やっぱ
りテレ東だ」、「やっぱりさえないな、テレ東は」と思いこんでしまっていた。

当然、端っこということもあって、私はテレ東の番組表に目を通す時間を他局よ
り微妙に短く済ませてしまっていた。ほとんど無意識にそうしていた。

しかし、地デジの新チャンネルで両局は5と7という若いチャンネルを獲得した。
すると、心なしか、両局の末っ子感、番外地感が消失した気がしてきた。特に、
番組表の真ん中に転居したテレ朝には王者の風格すら感じられた。

それに対し、4月からこの番組表番外地の右端に転居したのが、天下のフジテレ
ビ。

地デジでも伝統の8チャンネルにこだわったからなのだろうが、果たしてそれで
よかったのだろうか。

刷り込みは恐ろしい。私は番組表の再編後、以前ほど、フジテレビの番組表を見
なくなった。さらには早くも、フジテレビに番外地感をおぼえるようになった。

フジテレビの黄金時代を知っている私でこれなのだから、物心ついたときから新
番組表を見て育った世代はどうなるのだろうか。意外とこんなところから凋落は
始まるのかもしれない。

新聞を読まなくなったといわれるが、それでもテレビ欄は一般紙の裏一面だ。

「フジテレビの女性アナウンサーがアイドルのようにチヤホヤされていた」のが
ウソのように思える時代がもうそこに迫っているのかもしれない。

そういえば、お台場だって番外地感ありありだ。落ち着くべきところに落ち着い
たということか。

(了)


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