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さすらいの一般人の書き下ろしメディア批評コラムです。論評の幅を広げるべく、旧称「テレビ動物園」から改称しました。業界とは縁もゆかりもない無責任一本勝負でよろしくお願いします。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/11/16
  • 部数 27部
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2009/04/06

テレビ動物園

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          テレビ動物園
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[第56号 2009年4月6日]
 
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■「視聴者の期待」
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今週の『NHK歌謡コンサート』(NHK)。初っぱなは松平健「マツケンサンバ2」。

この日の松平は口パクではなかった。これまでに見てきたような口パクの「マツ
ケンサンバ2」ステージと比べると、もちろん歌は安定していない。

しかし、不安定なところ、そして不安定にもかかわらず、がんばって色をつけて
いるところにサービス精神が感じられ、満足した。また、いつもの通り、不必要
に豪華絢爛なステージにも満足した。

次は千昌夫「北国の春」。春本番でもあり、この上なくベタだ。

ただ、色をつけすぎて歌っているのが気になってしまった。千の場合は松平とは
逆に色をつけていることが気になった。普通に歌えば上手いのに色なんかつけな
くても、と思ってしまった。

専業俳優と(現在は)専業歌手の違いだろう。つまり、歌に対する期待度の違い
だ。視聴者の満足度は視聴者自身の期待度によって決まるようだ。

もっとも、千のステージには違和感があった。歌の色つけ以上に何かが違った。

わかった。額の中央、あるべきところにほくろがなかったのだ。どおりで物足り
ないわけだ。

ではもともとどこにあったのか。額にほくろの痕跡を探すことに集中していたら、
曲が終わってしまった。

千昌夫に対しては歌以上に「そこにほくろがあること」を期待していたというわ
けだ。

さらにこの日の特別な出し物はアグネス・チャン「ひなげしの花」。

アグネス・チャンといえば、「日本語があまり上手くならない」などとけなされ
ることが多い。この日のデビュー三十数年後の「ひなげしの花」を聞くと、やは
りそんな気がしてしまうが、それは歌声が出なくなっただけの話。

アグネス・チャンの日本語に問題などあるわけがない。見た目が日本人だから、
期待しすぎているだけだ。視聴者はどこまでもわがままで身勝手な期待をする。

翌日、『いい旅夢気分SP』(テレビ東京)の予告に目が留まり、あわてて見たの
が、杉本彩と京本政樹の二人旅。目的地は富士山西麓の身延線沿線だから、何と
も地味。

もっとも、当人たちも、自分たちのイメージと旅の地味さの違和感を十分に自覚
していた。

特に京本は「一年に15分くらいしか歩かない」、「鉄道に乗ること自体が珍しい」、
「ふだんは夜行性」、「夜中に(杉本といっしょに)しゃぶしゃぶ(を食べに行っ
たりする」などと、こちらの偏見=期待通りの発言を連発してくれた。

これは視聴者サービスと考えてよい。

杉本彩もそうした京本の話に合わせていた。ただ、杉本は京本ほど世間知らずで
はない様子で、京本の芸能人的な世間知らず感=浦島太郎感ばかりが引き立って
いた。

京本は「自分がこんな地味な旅をしてしまっている」トークを繰り返すことしか
できていなかった。また、温泉入浴シーンも(当然ながら)杉本が一手に引き受
けるばかりだったから、「京本が慣れないことをしている」印象は強まるばかり
で、旅行の内容そのものは記憶に残りづらかった。

どうしても「いい旅」という画にならないのだ。

しかも、二人が温泉宿に泊まっている画は、これまたどうやっても不倫にしか見
えない。ひょっとして仕事で泊まっているのに、この二人、ヤっているんじゃな
いか、と思ってしまうくらいのエロさ。

それも視聴者が期待するイメージに応えているという点では芸能人の鑑なのだが、
でも、やっぱり身延線。富士から甲府までのローカルな身延線。

もっとも、そうした拭い去れないチグハグ感はこの番組の醍醐味でもある。この
番組が提案するような旅には興味がなくても、この番組は楽しめる。そういう点
ではとてもよい番組なのだ。

(了)


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