テレビ動物園
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テレビ動物園
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[第1号 2008年4月1日]
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■「隠された児玉の「毒」」
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「パネルクイズ アタック25」(テレビ朝日)を見た。
アタック25といえば児玉清。児玉清といえばアタック25というほどの番組と
の一体感である。それを物語るように、今から2年ほど前、児玉清は博多華丸の
「アタック25の司会者としての児玉清」ものまねを通じて、軽く再ブレイクし
た(あくまでも「軽く」ではあるが)。
しかし、なぜ「アタック25の司会者としての児玉清」がおもしろいのか。
理由は大別して二つある。
ウケた理由の一つは、児玉ものまねが「児玉のものまねがわかる人=ちょっとし
たマニア」という図式を提供したことにある。
博多華丸が名を上げたのは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテ
レビ)の番組内コーナー「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」である。ここ
で(アタック25の司会者としての)児玉のものまねが高い評価を受けた。「細
かすぎて伝わらない」とあるが、本当に伝わらなければウケることはありえない。
実際には伝わっているからこそ、ウケたのである。
アタック25は三十年以上にわたって全国規模で放送されてきた。放送日時も日
曜の昼である。「番組を一度くらい見たことがある人」の数は膨大なものだろう。
また、児玉の司会進行の様式は完成して久しい。児玉のものまねを受容する素地
は多くの人々のなかにすでに用意されていたのである。
しかし、博多華丸のものまねはあくまでも「細かすぎて伝わらないモノマネ」と
して紹介された。博多華丸が九州ローカルのタレントだったことも、「児玉まね」
=「マイナー」、「細かすぎて伝わらない」という思いこみを強化した。
自分が特別であることに飢えている多くの人にとって「『細かすぎて伝わらない
モノマネ』がわかること」は喜びである。「人にわからないものが自分にはわか
る」=「自分はマニアである」=「自分は特別である」という思いこみの図式が
完成するからである。こうして児玉のものまねは多くの人の安易な自己満足を手
助けするがゆえに、大ウケするに至った。
ウケた理由の二つめは、児玉の司会が七〇年代や八〇年代のテレビ言語を動態保
存していることにある。
アタック25は三十年以上前から続く超長寿クイズ番組である。司会もその間、
ずっと児玉が務め続けている。その結果、司会進行は独特の様式化を遂げ、児玉
語とも称される独特の言葉遣いが確立した。「お見事!」、「結構!」、「お立
ちになって(お戻りになって)」、「○番に赤が飛びこむっ!」、「白のライン
を形成」等々、それら定番の言い回しをつなげるだけで誰でも司会ができてしま
うほど、児玉語は定式化している。
これだけ古い様式を守り通している番組は、全国規模のバラエティー番組として
は稀である。それゆえ、現在のこの番組は多くの人々のノスタルジーを喚起して
いる。
同時に人々はそうした番組の古さを安易に嗤っている。そうした嗤いはテレビ視
聴の様式の一つである。ノスタルジーをくすぐられているくせに、古い=嗤って
いいと思いこんで臆面もなく嗤う。
ところがどっこい。博多華丸が提供するような、児玉ものまねとはあくまでも一
般向けに無毒化されたものまねに過ぎない。安易に児玉を嗤う人々は、実は児玉
に嗤われているのだ。
番組を見れば一目瞭然。児玉はさりげなく品行方正に毒を吐きまくっている。慇
懃無礼そのものである。
簡単な問題を間違った回答者には「ご存じなかった?」と追い打ちをかける。番
組が盛り上がってくると、回答者に対して「慎重かつ大胆に」とさりげなく無理
を要求する。さらにパネル選択(クイズの正解者にはオセロゲームのようなパネ
ル取りの権利が与えられる)に際して回答者があまり効果的でないパネルを指定
すると、「赤、あえて○番に飛びこむ」などと辛辣に批評する。
番組常連にはよく知られていることだが、そもそもこの番組で回答の正誤を決定
しているのは児玉その人である。回答の時間切れやお手つきを判断しているのも
やはり児玉である。児玉は名実ともに回答者の生殺与奪の権を握っているのであ
る。
何しろ司会三十年のキャリアである。読書家(=おそらく博学)としても知られ
る児玉である。その児玉に対し、回答者たちはほぼ常に年少者であり、テレビ初
出演である。かなうわけがない。児玉にとって回答者あしらいはまさに赤子の手
をひねるようなものだ。さりげなく指導しまくりの児玉。アタック25とは児玉
清が慇懃無礼を隠れみのに回答者たちをイジリたおす番組なのである。
視聴者が鼻でもほじりながら児玉を嗤っていられるのは、テレビのこちら側にい
るからである。テレビの向こう側、つまり予選を勝ち抜いて番組に出てみればよ
い。児玉の毒でイチコロである。それでもあなたはこの番組を嗤えるか?
(了)
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