2009/06/12
【平野貞夫の国づくり人づくり政治講座】第15号 2009年6月12日発行
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平野貞夫の国づくり人づくり政治講座 第15号 2009年6月12日発行
筆者 : 土佐南学会代表 平野貞夫
発行 : 一般財団法人 国づくり人づくり財団
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《『政(まつりごと)の心』を求めて》 第15回 ― 魂はどこにあるか ―
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昭和10年12月1日、私は高知県幡多郡三崎村平ノ段で生まれた。「業の亥年
」で走り出すと止まらない、突っ走るだけ、という性格である。
前年の昭和9年は、「帝人事件」いわゆる「検察ファッショ」といわれ、議会政
治・政党政治が崩壊した年である。昭和10年には「天皇機関説事件」、翌11
年には「二・二・六事件」と、戦時体制が本格化する時代である。
父親は開業医で退役軍医中尉、三崎村では1番偉い軍人であった。若い頃軍人に
三崎村で開業医をやっていた。その思いを長男・清に託して、陸軍士官学校に入
れた。四男・貞夫にも陸軍大将になるよう願って、当時文部大臣であった荒木貞
夫の「貞夫」の名をつけた。
物心つく4歳頃には、村の行事や祭などで子供用の軍服を着せられ、陸軍大将の
肩章をつけてつれていかれたことを、ほんのり記憶している。国民学校(小学校
)に入る前の5歳頃、お手伝いさんから漫画を読んでもらった。「のらくろ1等
兵」「冒険だん吉」などである。その中に“大和魂”(やまとだましい)という
言葉が、いつも出てくる。
その意味がわからない。母親に聞くと「大和とは日本のことで、日本人にあるも
の」としか教えてくれない。「どんな形をしているのか。どこにあるのか」と何
度聞いても教えてくれない。多分、国民学校に入る頃までしつこく聞いたので、
母親が困りはてたのだろう。 兄たちが使っていた子供用の百科事典があったの
で、文字は読めなかったが絵が面白く、ある日なんとなく頁をめくっていると、
運動用のバーベルが目についた。ボールを両端につけた形のものだ。「これだ
。これが魂だ」と勝手に思い込んでしまった。
それから70年近くの時間が過ぎた。この間、私は魂を探し続けてきた。魂を探
す旅だった。しかし、まだ見つけてはいない。これからも続く旅である。
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『 般若心経と俳句 』
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昭和16年12月8日、午前7時のNHKラジオのニュースで、太平洋戦争が始
まったことを明確に覚えている。翌17年4月に、国民学校1年生になった。敗
戦が昭和20年8月15日で4年生のときであった。この間の思い出話を1つだ
けしておこう。
3年生のときだった。修身の時間に先生が「勉強は誰のためにするのか」と質問
した。私が手を挙げて「自分のためにします」と答えると、先生は「それは違い
ます」と機嫌が悪い。どうして違うのかわからない。次に手を挙げたのが中野学
君だった。「勉強は天皇陛下のためにします」と答える。先生は「そうです。天
皇陛下のための勉強です」と、機嫌がよくなる。
「平野君、わかりましたか」と、念を押してくるので、「わかりません」と答え
ると、先生は怒って「お父さんが、種痘に医務室にきてますので、聞いてきなさ
い」といいだす。しかたなく校医の父親のところに行って、聞いてみたが、笑っ
て答えてくれない。教室に帰ると先生が「わかりましたか」という。「わかりま
せん」というと、「廊下に立っていなさい」と、授業が終わるまで立っていた。
正解の中野君は、その後、小学校教師となり日本共産党に入党して活躍した。
太平洋戦争の敗戦で日本は大きく変わったが、平野家も革命的変化が起こった。
父親は戦争中、東条英機首相に似ていると村中で言われ喜んでいたが、敗戦でカ
ルチャー・ショックを起こした。兄たちには厳しい教育パパで、自分の出身校旧
制高知第一中学校に入学させるため猛勉強をさせた。ところが私には「学校の勉
強をするな。成績を良くして出世しようと思うな。その代わり般若心経と俳句を
教えてやる。これをやれば悪い事はしない」と言いだした。 (つづく)
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