2009/05/01
【平野貞夫の国づくり人づくり政治講座】第9号 2009年5月1日発行
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平野貞夫の国づくり人づくり政治講座 第9号 2009年5月1日発行
筆者 : 土佐南学会代表 平野貞夫
発行 : 一般財団法人 国づくり人づくり財団
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《前尾政治学》 第9回 ― 共生の理論 (2) ―
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歴史をふり返ると、20世紀前半まで人類は「競争」をキーワードとする活動を
続けていた。「生存競争」ともいえる歴史であった。特に資本主義が本格的に世
の中を動かすようになってから、過剰な競争が人間社会を混乱させるようになっ
た。
「経済的利益」を多く得て、他人より贅沢な暮らしをすることが「幸福」である
という価値観が、人間の大勢となった。「所有欲求」と「存在欲求」を優先させ
る人間の競争となったのだ。「所有欲求」は説明はいらないと思うが、「存在欲
求」とは、他人より高い地位につくとか有名になるということだ。これは「所有
欲求」を満たす条件でもある。
もっとも、近代社会はこの2つの価値観によって発展したともいえる。同時にこ
の2つの価値観によって混乱してきたともいえる。私はこの「所有欲求」と「存
在欲求」を否定するものではない。この価値観を否定してしまえば、人間は生き
るという神の啓示を否定することになるからである。
しかし、「所有欲求」と「存在欲求」による競争が、個人の人間として行われる
うちはまだしも、それが集団の組織として行うようになると問題である。戦争は
国家という集団で行われる「所有欲求」(資源や富)の奪い合いであり、「存在
欲求」(イデオロギーや宗教)の競争であった。
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『 資本主義を是正する流れ 』
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資本主義による近代科学技術の発展も、多くは戦争がもたらしたものである。そ
れによって人間は便利な生活を得たが、失ったものも多い。近代科学技術の異常
な発展は、かけがえのない地球いや宇宙の環境を壊した。 また、核兵器をはじ
め先端技術兵器は人類を滅亡させる危機に至っている。
資本主義の弊害を是正するとして、社会主義や共産主義という思想が現れ、歴史
を変えるかに見えた。 この思想も近代西洋思想と同じ根で、「合理性、論理性、
効率性」を追求する発想では同じであった。人間の平等というテーゼは持ってい
たが、共産主義が国家体制となるや、新しい階級が形成され、社会の裏側で「所
有欲求」と「存在欲求」の競争関係となっていた。
政治体制の選択20世紀後半に起こった米ソ冷戦とは、米国が資本主義を代表し
、ソ連が共産主義を代表する形で行われたものである。それは世界を支配するの
は、どの体制が良いのかという体制をめぐる戦いであった。
平成元年12月に、ソ連が軍備競争で劣勢となったことによって米ソ冷戦が終結
した。ソ連体制は崩壊し、米国中心の市場原理主義による資本主義が世界を支配
するようになる。しかし、米国の金融資本主義が謳歌した時間はそんなに長くな
かった。平成20年9月のリーマン・ブラザーズの破綻は、米国金融資本主義を
危機に至らしめ、世界の資本主義に大変化を警告することになった。
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『 共生への流れ 』
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近代になって人類が「共生」という価値観に目覚めた最初は、ドイツ、ポーラン
ドなどで米ソ冷戦の回避をめぐって、1950年代に東欧で起きた「平和的共存
」運動であったが、世界的な動きにならなかった。
「共生思想」が、本格的に話題になるのは20世紀の末、地球環境問題を待たな
ければならない。そして米国金融資本主義の破綻を機に、経済活動における共生
、すなわち「共生経済主義」が論じられるようになった。
共生思想にもとづく政治や政策の活動も活発となった。米国金融資本主義の破綻
以前に、日本では小泉政治による「格差社会」を是正する運動が始まっていた。
平成18年10月には、民主党と連合が「共に生きる社会をつくる」宣言を発し
、小沢民主党代表と高木連合会長が、全国の連合組織を訪問して「ストップ・ザ
・格差」を訴えた。 果たして「共生社会」をつくることが可能か。(つづく)
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