2009/04/24
【平野貞夫の国づくり人づくり政治講座】第8号 2009年4月24日発行
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平野貞夫の国づくり人づくり政治講座 第8号 2009年4月24日発行
筆者 : 土佐南学会代表 平野貞夫
発行 : 一般財団法人 国づくり人づくり財団
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《前尾政治学》 第8回 ― 共生の理論 (1) ―
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資本主義の終末的危機の原因について、前回の講座で、西欧近代思想の「合理性
、論理性、効率性」を追求することが「正義」だという発想に原因があると述べ
た。そしてこの危機を救う方策として、人類は「倫理」と「共生」を柱とする東
洋思想があると指摘した。 そこで、「倫理」について私が語るより諸君の方が、
深くて優れているかもしれないので、それぞれにまかせるとする。「共生」とい
う言葉の歴史や意味について述べてみたい。
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『 共生社会 』の基礎
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「共生」という用語が、キーワードとなったのは平成に入ってからだと思う。哲
学や思想の学者が昭和50年代から活用していたことは承知していた。政治の場
で「共生」という言葉を最初に使ったのは、私であったと、実は数年前まで思っ
ていたが、それは間違いであった。そこら辺から話を始めよう。
平成4年7月の参院選挙で、国会議員となった私は、「二大政党による政権交代
の仕組みを日本につくること」を政治活動の目標としていた。そのため選挙制度
を中心とする政治改革に全力を挙げていた。自民党に所属していた私は、当時副
総理で法務大臣の後藤田正晴氏らの指導を受けていた。平成5年5月25日の参
院法務委員会で後藤田副総理と「何故、政治改革が必要か」について議論したこ
とがある。要点をいえば
「日本の安全や豊かさを維持するためにも、従来の裏取引型のぬるま湯議会政治
を改革しなければならない。ソフトな二大政党による政権交代を可能にし、1党
に過剰な議席を与える不条理のない、政権を安定させる選挙制度は、政治の自立
と共生という理念を生かせるシステムを生むことができる」 と論じた。
私は政治に必要な理念を「政治に参加する人々の自立と共生」だと考えている。
真に自立した人間が、真の人間の共生を実現できると今日でも確信している。国
会で「共生」という言葉を使ったのは、私だとある時期までは密かに自慢に思っ
ていた。ところが、これがとんでもない誤りであった。
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『 共生極楽成佛道(ぐしょうごくらくじょうぶつどう)』
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平成18年7月、京都で私の人生の師、前尾繁三郎先生の法事があり出席した。
縁のあった野中広務元衆院議員や佛教大学理事長水谷幸正氏らが同席していた。
清涼寺住職の読経を耳にしながら、配布された経文をたどって行く。突然、私は
全身に電気のような霊気が走った。何と次のような言霊である。
共生極楽成佛道(ぐしょうごくらくじょうぶつどう)
読経が終わって、隣の水谷佛教大学理事長に、「これが共生の語源ですか」とた
ずねたところ丁寧に教えてくれた。それによると、戦前、椎尾辨匡(しいおべん
きょう)という衆院議員がいて、「共生(ともいき)運動」を行っていた。
当時、戦時体制で「共生」という意味が、「大東亜共栄圏」と一緒になって、
「一億一心」といった戦争への団結と誤解された。と教えてもらった。愛知県で
東海学園を創立した人物で、浄土宗の宗旨を教育方針としており、建築家黒川紀
章氏らが卒業生とのこと。そういえば、参院選挙や東京都知事選挙で、「共生新
党」を結成して盛んに「人間の共生」を訴えていた。都知事選後、残念ながら亡
くなられたが、黒川氏の「共生論」も傾聴に値すべきものだ。
「共生」の佛教上の意味は、宗派によって異なるが、「共生とは縁起である」と
か、「他人の足元を灯す者は、自分の足元を明るくする」という「利他」が根本
にあるといわれている。健全な市場経済社会を運営するためには、真面目に働く
人々が最低限生きていくために必要な「セーフティネット」の整備である。それ
が「共生社会」の基礎なのだ。こう考えると、私たちは知らず知らずのうちに、
東洋の古典思想を政治の理念や政策に取り入れているのだ。(つづく)
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