2009/04/03
【平野貞夫の国づくり人づくり政治講座】第5号 2009年4月3日発行
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平野貞夫の国づくり人づくり政治講座 第5号 2009年4月3日発行
筆者 : 土佐南学会代表 平野貞夫
発行 : 一般財団法人 国づくり人づくり財団
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《前尾政治学》 第5回 ― 議会政治の理想と現実(その2) ―
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3月24日、東京地検特捜部は小沢民主党代表の公設秘書を、政治資金規正法虚
偽記載の容疑で起訴した。マスコミで報道された小沢代表の事情聴取などはなか
った。特捜は異例の記者発表で「重大性、悪質性を考えると、衆院選が秋までに
あると考えても放置することはできないと判断した」と、強制捜査を行った批判
に反論した。
一方、小沢民主党代表は「政治資金の収支を明確に報告しており、過去の例を見
ても、この種の問題について逮捕、強制捜査、起訴という事例は記憶にない。納
得いかない」と批判した。捜査の背後に政治の臭いがする。
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『 民主主義の危機 』
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今回の問題は、東京地検が政治資金規正法という国民から拠出される資金の性格
を健全なものか、悪質なものか、について強制捜査の対象としたものである。こ
れは初めての例で、大きな関心を持たなければならない。「政治と金」という議
会民主政治の基本問題をめぐって、今回の特捜のやり方を「議会民主政治を崩壊
させるもので民主主義の危機」だという主張がある。私も同じ主張をこの講座で
行っているので、繰り返さない。
前回、日本が昭和40年代の高度経済成長で、政治に使う資金が拡大し政治腐敗
が起こるようになったところまで説明した。その話の続きに戻ろう。
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『 グラマン・ロッキード事件 』
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この時代の特長は2つあった。1つは政治家自身が事業を起こして収入を得て、
それを政治資金とすることである。田中元首相がその典型的例で、「わしが稼い
だ資金を、わしがどう使おうと、わしの自由だ」という理屈である。もっともな
話だが、政治家が自分の企業で稼ぐことの問題は、その事業を行うときに国など
の許認可権などに影響を与えるという、行政の不公正ということだ。
もう1つは、資本主義がグローバル化する中で、多国籍企業が活発となる。政治
資金が国際的に動くようになる。昭和50年代初期の「グラマン・ロッキード事
件」がそれである。当時私は衆院事務局にいて、議長秘書とか議院運営委員会の
担当者として、政治の渦中にいた。
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『 政官業の癒着 』
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これらの事件から国民は政治倫理、政治資金のあり方に強い関心をもち、国会も
それに応えてさまざまな制度をつくった。私はその制度づくりの事務局での担当
者で、思い出の深い時期であった。かくして、わが国でも政治倫理や政治資金規
正制度が、先進国なみに整備されていく。
このような政治倫理や政治資金について制度をつくる場合、大事なことは現実の
政治は、国民で構成する企業や団体等がきれい事で活動していないことだ。利害
と打算で動いていることがほとんどである。利害と打算はカネで動くものだ。政
治家は議員に当選するのに票が欲しい。票を増やすには資金が必要だ。
企業は仕事で利益を得ない。儲かる仕事には国や自治体の許認可やプロジェクト
に関わらなければならない。役所は政治家に弱い。予算や法律、条例などを決め
るのは国や地方の議員である。特に政権をもっている与党の議員は決定的影響力
を持っている。「政官業の癒着」という仕組みが、自民党政治が続く中で日本の
政治文化となったのである。
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『 暗黙の国民的合意 』
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私は昭和40年代から平成初期まで、衆院事務局という政治の裏側で暮していた。
政権交代のない自民党独裁政治というより、自民党が共産党以外の政党を、事実
上買収する形で政治を行うことを手伝っていた。これが国会事務局での私の仕事
の本質であった。
なぜ、そんなことをしていたのか。それは米ソ冷戦という国際情勢の中で、日本
に社会主義・共産主義の政権をつくらせないという暗黙の国民的合意があったか
らだ。そのために政権交代をさせてはならないという慣行ができた。この発想が
いまだに続いている。これを改革しようというのが、小沢民主党代表や私たちの
政治活動の原点であった。
(つづく)
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