燗酒をどうして飲まないの?
燗酒をどうして飲まないの?
「燗酒を呉れ」
「カンザケと云うのは当店では扱っておりません、アツカンならあります」
「そんなに熱くしなくても良い」
「常温ですね」
「じゃあアツカンを持って来い」
「はい」
「銘柄は何だ」
「聞いて来ます」
「いいから早く持って来い!」
比較的有名なあるチェーンの飲食店での会話です。
いくらアルバイトとは云へ酒食を提供する事を商っている店の店員にはある
まじき態度であると思われるでしょう。
しかしこれには訳があります。燗酒を注文する客が居ないのですよ。
その店は若者向きの店なので尚更でしょう。
行きつけの小料理屋では夏場は燗酒を注文する客は私一人のようです。
どうやら飲み屋さんでは焼酎(特に芋)が主流で大吟醸とか純米酒が続いてい
ます。そして口開けには生ビールのジョッキーが普通のようです。
一時の流行だと思って居ますが、この流行がなかなかすたりません。
何故燗酒に復帰しないのでせうか。
日本が世界に誇れる食文化・燗酒の衰退は目を覆いたくなるのが現状です。
原因の一つに電子レンジによる加温が考えられます。
昔は御燗番が居て湯船の中に並べた徳利のお燗に目を光らせたものですが
今はチンが普通です。
早く熱くなるから客も待たないで済むからと云う理由からでせう。
私は自宅では一つの銘柄を十年以上続けていて手鍋に徳利を入れてお燗をします。
家内を亡くしていますので自分勝手にやれます。
試しにチンで燗をつけてみると気のせいか味が違うような気がします。
行きつけの店ではこれは別の銘柄ですが八年あまり一つの燗酒を飲んでいますが、
最初からチンですので何の不都合もなく今日に至っています。
だから気のせいのようなもので、それ程の問題ではないと思いますが、
同じ銘柄ではお湯とチンでは少し味が違います。
昔は白い割烹着のオカミサンがカウンター越しに徳利の尻を布巾で拭きながら
「少し熱かったかしら?」
なんて云いながら渡して呉れたもので、その暖かい味と陽気な雰囲気が好きでした。
大吟醸、純米酒は一人前の米を半分にまで磨き減らして発酵させますが、
製造元と使用する米の種類によって微妙に香りが違います。
どれも良い香りがします。その道にうるさい人はこの銘柄は最初に飲む、
次にはこれを等とメニューを作る位です。特徴は冷やして飲む事にあります。
私達は葡萄酒と云いましたが、最近は色々な原料でも作られ広くワインと呼ばれる
ようになりました。中にはキウイワインなんてのもあります。
これらは白ワイン風でいづれも冷やして飲みます。
韓国のマッコリはレッテルに東洋の伝統的米ワインと表示しています。
昨今では主流を占めているように見える大吟醸派にはご不満かもしれませんが
グローバルな見方をすればオリエンタル・トラディショナル・米ワインと呼ぶ範囲に
属すると云う事についてはご賛同戴けるのではないでせうか。
暖めて飲む酒は西洋では少ないようです。
ホットワインというのを飲んだ事がありますが暖めたオレンジジュースのようでした。
イギリスではウイスキー、フランスではワイン、ドイツではビール、日本では燗酒が
代表的な存在で、アメリカはカクテルでせうか?
カクテルは不味い酒を旨く飲ませるテクニックです。
こう並べて見ると食事を美味しく食べさせるのがワイン、
日本酒は和食のためと飲むこと自体を楽しむために食べるの二通りです。
そして日本酒は食べ物を美味しく雰囲気を暖かく明るくする美味しい飲物です。
どうして燗酒を飲まないのでせうか。
「サケと云えば燗酒の事だ!」


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