下町スタディーズ No.4
■■■----------------------------------------------------------■■■
★下町スタディーズ★
No.4
東京下町を探究する地域マガジン
■■■----------------------------------------------------------------
下町スタディーズ第4号です。本号では、第2号に続き映画「男はつらいよ」
の主人公・寅さんがこれまでどう論じられてきたかをご紹介します。今回取り
上げるのは、民俗学者の宮田登氏の寅さん論です。この議論は比較的オーソド
ックスな寅さん論といえるかもしれません。
■■■----------------------------------------------------------------
寅さんを読む(2)・・・民俗学者・宮田登の寅さん論
「寅さん=マレビト」説
民俗学という学問は「寅さん論」を得意とするのではないだろうか。というの
は、寅さん映画の設定はいうまでもなく、各地を遍歴する寅さんと、故郷に定
住して寅さんを迎え入れる柴又の人びとという二つの領域からなるわけだが、
遍歴民と定住民といえば民俗学の専門だからである。とりわけ、共同体の外部
からやって来る異人(来訪神)をめぐる折口信夫のマレビト論は寅さん研究に
うってつけだろう。
著名な民俗学者の宮田登は『「心なおし」はなぜ流行る』(1993、小学館)
で寅さんに触れている。宮田もまた寅さんの旅と帰還に着目してこう述べる。
「故郷に戻り、事件を惹き起こされるのは、定着民にとって面倒なトラブルで
ありながら、マンネリ化した日常性に対して著しい刺激を与える。異人論の一
つの特徴は、外来者が災厄をもたらすようにみえて、実は共同体内部に累積し
た災厄を引き出し排除するという機能であり、寅さんの仕出かす出来事は、定
着民の日常にメリハリを与えていることが一目瞭然なのである」
寅さんは、柴又の住人にとって一見トラブルメーカーにみえて、実際はありが
たいマレビトなのだというわけだ。寅さんが帰宅してくれなければ、そして寅
さんが騒動を引き起こしてくれなければ、眠るように静かな柴又の町は停滞を
免れない。共同体の活性化のためには、寅さんが必要なのだ。
だから、さくらだけでなく、とらや(後、くるまや)のおいちゃんやおばちゃ
んも、さくらの夫・博も、朝日印刷のタコ社長も、帝釈天の御前様も、みんな
寅さんが帰ってきたとなると、困ったフリをしながらも待ってましたとばかり
に歓迎するのだ。恒例のタコ社長との取っ組み合いのケンカも柴又流の歓迎式
典(通過儀礼)なのにちがいない。
両者のこの関係は同時にマレビトたる寅さんをも救済することになる。
「柴又には老人の権威が確立していて、落ちこぼれかけたアウトローたちを包
含できる都市社会が温存されており、だから寅次郎にアイデンティティーを感
ずる広範囲のファンを獲得しているのだろう。(…)異人と定着民の交流が、現
代社会にもっとも不足している、人間のほのぼのとした心情を浮彫にさせてく
れるからだ。孤独で傷ついた寅次郎が柴又の家族たちに取り囲まれて何度か再
生する姿が、実は、現代都市住民の日常で求められている民俗なのである」
従来の農山村中心だった民俗学に都市民俗学のジャンルを確立した宮田登の面
目躍如たる一節だろう。異人論を都市に当てはめる寅さん論は「癒し系」寅さ
ん論でもある。
しかし同時にそれは、異人論は共同体を永遠に維持するだけで共同体の歴史的
変動を説明しえないという構造論の限界をも示しているといわなければなるま
い。
だが、寅さんをめぐる構造主義の冒険はまだはじまったばかりだ。いまは「寅
さん=マレビト」説のバリアントを含めてもっと多くの「寅さん論」を収集し
ていきたいと思う。
■■■編集後記-------------------------------------------------------
このメルマガは創刊以来ずっと「評論」系の記事ばかりを掲載してきましたが、
そろそろ「町ネタ」系も載せたいと考えております。具体的には未定ですが、
ひどくローカルな話題を配信するかもしれません。その場合は、それも下町を
探究するうえで必要なフィールドワークの一環として、何卒ご理解ください。
----------------------------------------------------------------------
発行人:星満天 kstyle_2007@mail.goo.ne.jp
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/kstyle_2007/
下町スタディーズ
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000260100.html
■■■----------------------------------------------------------■■■


![転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出 転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/sya.gif)
![派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報 派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/haken.gif)
![アルバイト探しは[en]本気のアルバイト アルバイト探しは[en]本気のアルバイト](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/baito.gif)
![就職サイトは[en]学生の就職情報 就職サイトは[en]学生の就職情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/gakusei.gif)
![転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に! 転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に!](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/consul.gif)