2009/07/31
飛鳥遊訪マガジン Vol. 058
◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◆◇◆ ◆◇◆ 飛鳥遊訪マガジン Vol. 058 (2009.7.31.) ◇◆ ◆ 飛鳥好きの貴方に贈るメールマガジンです。 両槻会のイベントもご紹介します。 両槻会 http://asuka.huuryuu.com/ ━━━━━◇━━━━━━━━━━◇━━━━━━━━━━◇━━━━━━━ 暑中お見舞い申し上げます♪ 「お暑うございます。」そんな挨拶しか口に出てこないような夏日が続いて います。読者の皆さん、お元気にされていますか。 暑い暑いと言って、クーラーの中ばかりの生活は身体に良くありません。 決して無理はいけませんが、たまには、熱中症対策をしっかりして、木陰の 多いコースなどを歩くことも大事なことだと思います。 飛鳥は、人もまばらになってきました。歩いているとレンタサイクルの観 光客が、たまに横を過ぎて行きますが、やはり閑散とした印象の飛鳥です。 でも、夏の飛鳥も良いのですよ♪育った苗の緑が、とっても綺麗です。一枚 毎の田んぼが、微妙にその色を変えて、一面の緑に包まれます。それらの緑 を、「緑色」としか表現出来ない自分が情けなくなりますが、緑のグラデー ションをそよぐ風が、まるで見えるかのように吹き過ぎて行きます。風人は、 そんな飛鳥が好きで、酔狂にも大汗をかきながら、いつものように歩き回り たいと思っています。 さて、今号は、あい坊さんのご寄稿と、次回定例会の講師を務めて下さい ます清水昭博先生が、講演テーマの面白さの一端を紹介してくださっていま す。現代の瓦博士が語る古代の瓦博士たちの動向を、どうぞお楽しみくださ い。他にも、飛鳥遊訪マガジンならではの記事が揃いました。記事が一つ多 くなっていますが、最後までお読みいただければ幸いです。 (風人) ┏◆━index ━━◆◇◆ 〈1〉寄稿 ・・・飛鳥・藤原の考古学 / あい坊 -------------------------------------------------------------------- 〈2〉特別寄稿 ・・・瓦と向き合う / 清水昭博先生 -------------------------------------------------------------------- 〈3〉飛鳥話 NO.1 ・・・風人の飛鳥ぶらぶら散歩 / 真神原風人 -------------------------------------------------------------------- 〈4〉飛鳥話 NO.2 ・・・Pの飛鳥・食物記 / P‐saphire -------------------------------------------------------------------- 〈5〉飛鳥咲読 / もも -------------------------------------------------------------------- 〈6〉飛鳥情報 -------------------------------------------------------------------- 〈7〉両槻会からのお知らせ -------------------------------------------------------------------- 〈8〉編集後記 -------------------------------------------------------------------- ┗━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━ ┏◆━━━━━━━━━━ 〈1〉新 益 京(藤原京)の 運 河3 -条坊道路と下ツ道を考える- / あい坊 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 新益京には縦横の碁盤目状に条坊道路が施工されています。この道路の両 側には幅1.7mの側溝が併設されています。基本的に、この側溝は雨水・ 汚水の排水処理用の溝です。このなかでも下ツ道の両側の側溝は幅8~12m、 深さ80cmと一般の道路側溝よりも規模が大きく、単に排水用だけの側溝 ではなく、運河としての機能があったことが推測されます。下ツ道は奈良盆 地を南北にはしる幹線道路で、さらに東には中ツ道・上ツ道が平行してはし っています。後に下ツ道の北端に平城京がつくられ、同じ位置に朱雀大路が 作られます。一方南方は紀路になり、和歌山へ伸びていきます。 下ツ道はこれまで平城京内とその南の稗田遺跡(大和郡山市)、そして藤原 京地域でしか発掘調査では確認されていません。藤原京地域では2カ所で大 きな調査がされています。一つはスーパー・オオクワのある場所で下ツ道と 六条大路の交差点です。もうひとつは万葉ホールの場所です。万葉ホールの 北側では飛鳥川が斜めに横切っており、下ツ道の側溝が飛鳥川へと繋がって いたことは確実です。さらに下ツ道と六条大路の交差点では、下ツ道東側溝 と六条大路南側溝に併走する幅4mの東西大溝があり、藤原宮南西隅の飛鳥 川まで続いていたと考えられます。このように藤原京へは北の奈良や南の紀 路から下ツ道を通って、人々や物資が往来し、さらに京内や宮へ運河を通っ て物を運ぶことができます。なお、下ツ道と飛鳥川をつなぐ大溝は十一条で も幅7m、深さ1.8mの東西溝が確認されており、これも運河あるいは、 下ツ道への導水としての機能が考えられます。 このように藤原京では河川や下ツ道の大型側溝、両者をつなぐ東西大溝、 さらに藤原宮外濠によって、運河網が形成されていました。まだ未発見の運 河もありますが、藤原京の水運利用については、これからも検討が必要とな ってきます。 ┏◇◆━━━━━━━━━━ 〈2〉瓦と向き合う~瓦博士の実像を求めて~ / 橿原考古学研究所 主任研究員 清水昭博先生 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 飛鳥の真神原に日本で最初の本格的な仏教寺院の建立が計画され、造営が はじまったころ、朝鮮半島の百済から仏教寺院の建設に関わる様々な知識や 技術をもった人々とともに、麻奈文奴、陽貴文、陵貴文、昔麻帝弥という四 人の瓦づくりの技術者が、日本に派遣されてきました。彼ら、瓦づくり専門 の技術者のことを『日本書紀』は瓦博士と記しています。日本の本格的な瓦 づくりは、彼らによって始められました。それは、今から約1400年前、 祟峻元(588)年のことでした。 ここまでの話は、『日本書紀』や『元興寺縁起』を読めばわかります。し かし、飛鳥寺で彼らがどんな仕事をしていたのか、また、その後は百済に帰 ったのか、あるいは弟子の育成をしていたのかなど、疑問は湧きます。しか し、残念ながら、そうした問いに文献史料は答えてくれません。そこで考古 学の出番となるわけで、現代の瓦博士の登場です。幸いに、飛鳥寺の造営に 参加した百済の瓦博士の動向は、飛鳥寺の発掘調査の成果を土台にした菱田 哲郎さん、花谷浩さん、大脇潔さん、故・納谷守幸さんたちの精密、詳細な 研究によって、かなり具体的に復原できるようになっています。 そうした研究によると、四人の瓦博士の指導のもとにつくられた瓦は、軒 丸瓦の瓦当文様(ガトウモンヨウ)や造瓦(ゾウガ)技術のちがいによって、 二つのグループに分けることができるといいます―宝塚歌劇団がお好きだっ た納谷さんは、蓮弁(レンベン)の先端に桜の花のような切り込みを入れた 文様のグループを花組、先端に半円球(珠文〈シュモン〉)をつけたグルー プを星組と呼びました。実にわかりやすい!―。そして、花組や星組の文様 と技術を追跡する作業では、両グループが大和を中心として、山背、河内、 摂津といった畿内中心に設置した工房(瓦窯〈ガヨウ〉)を転々とし、造瓦 をおこなっていたことも明らかにされています。百済からきた瓦博士は、飛 鳥寺の任務を終えた後も日本にとどまり、瓦づくりをおこない、また、後継 者を育成していたのでしょう。 ところで、大量に必要な瓦の文様は、木製の笵(ハン)によって表わされ ます。それゆえ、他の場所でみつかった同笵瓦(ドウハンガワラ:同じ笵で 作られた瓦のこと)の文様の鮮明さを較べ、表面に残る傷の数を比較し、瓦 が作られた時間の前後関係を判定することができるのです。そして、そうし た観察の結果、星組が飛鳥寺、豊浦寺、法隆寺(若草伽藍)、四天王寺の瓦 づくりを、ほぼこの順番でおこなったことが明らかになっています。また、 同笵瓦の分布から、星組の工房が大和の葛城、宇智、斑鳩、そして、北河内 などに分散していたこともわかっています。個人は特定できませんが、百済 出身の瓦博士の麻奈文奴さん、陽貴文さん、陵貴文さん、昔麻帝弥さんのう ちの誰かが星組を総括し、一連の作業をおこなっていたことは間違いないで しょう。ここ二十余年の間に、菱田さん、花谷さん、大脇さん、納谷さんと いった現代の瓦博士たちは、百済出身の瓦博士が所属したグループの動向を ここまで突きとめたのです。考古学の資料からこれだけ人の動きを明らかに した研究は、それほど多くはないでしょう。 ここまで調べたのなら、人の常として、「麻奈文奴さんのつくった瓦」を 特定し、麻奈文奴さんの人生の一端に探りを入れたいのではないでしょうか? しかし、これはかなり難しい問題です。なぜなら、厳密にいうと(面白くあ りませんが)、星組のように、同じ技術でつくられた瓦とわかる瓦であって も、それは同じ技術の伝統をもつ工房にいた陽貴文さんの作かもしれないし、 麻奈文奴さんの弟子がつくったものかもしれないし、個人を否定する選択肢 は色々と考えられるのです。麻奈文奴さんが自分のつくった瓦に、自分の名 前を、自分で書いたりして、自己主張をしてくれない限り、今のところ、麻 奈文奴さんの瓦の特定はきわめて難しいのです。 ただ、学問的な手続きを踏まえず、直観的な印象でいうと、同じ人間がつ くったなと思うものはあります。わたしが知るものとしては、法隆寺と四天 王寺の同笵の軒丸瓦(のうちの一部)があります。両寺の瓦は、星組が異な る工房で生産した瓦です(法隆寺は斑鳩・北垣内周辺窯、四天王寺は北河内 ・楠葉平野山瓦窯)。 それらの瓦を詳細に観察すると、工房が異なるにもかかわらず、同じクセ が確認できる瓦がみられるのです。そのクセとは、瓦当と丸瓦のつなぎ目を 指で、少々、力強くなでるというものです。つなぎ目をなでること自体は、 普通におこなわれるものなのですが、そのなでが強く、気合いが入っている のです。 この職人、技術は星組に忠実で、腕前も上々です(わたしに瓦はつくれま せんが…)。しかし、まだ少し若さが目立つとの印象を受けます。そこには、 麻奈文奴さん以下、四人の瓦博士の誰かの実直な若弟子、イメージを膨らま せれば、「色黒で、筋肉質ではあるが、背はあまり高くない、猪首のラガー マン(無口)」のような姿が目に浮かびます(具体的なイメージの研究者が 身近にいるのですが、個人名は控えます…)。その職人、勝手に名付けて、 「星奈手麻呂」は、今のところ、まだわたしのあたまのなかだけにいる、空 想の存在です。しかし、そうしたバーチャルな職人をイメージしながら瓦と 向き合えば、また、少し古代の職人に近づけるような気がします。 ━━━◇橿原考古学研究所 http://www.kashikoken.jp/ ┏◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈3〉風人の飛鳥ぶらぶら散歩 / 真神原風人 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 今回は、風人の食物記として、鰤(ぶり)の切り身のお話をしたいと思い ます。(笑) 鰤と言うと、照り焼きか塩焼き、大根と煮付ける鰤大根くら いしか食べたことが無いように思う貧しい食生活の風人ですが(^^ゞ、 飛鳥 時代の膳には、どのような鰤料理が乗せられていたのでしょう。 塩焼きなどが最も簡単なのでしょうが、案外に醤を使った凝った料理もあ ったのかも知れませんね。 さて、なぜこのような話を書いているかというと、飛鳥京跡苑池遺構から、 海水魚の骨がまとまって発見されていたことが分かったからです。特に、鰤 の骨は、古代の内陸遺跡で初めて確認されたのだそうです。海岸に沿う地域 では食べられていたのでしょうが、本格的な鰤漁は江戸時代からとされてい るようです。豊富な魚介類の名前が記された木簡がある中で、鰤を示すもの は、今のところ知られていないというのも、本格的な漁が始まっていなかっ たことを伺わせます。ところが、飛鳥時代の飛鳥で、鰤が食べられていたよ うなのです。 骨の分析結果によると、鰤は60cm以上の成魚だそうで、2枚か3枚に下 ろした後に、切り身にしたとみられる傷跡も残っていたそうです。古代です から、丸焼きにしたのかと思いがちですが(^^ゞ、 ちゃんと切り身にしてい たんですね。食べやすさから言うと当然ですが、なぜか古代と言うとそのよ うなイメージを持ってしまいます。 飛鳥地域は内陸ですから、今でも新鮮な魚介類というのは、海の近くの地 域に比べて入手しにくいものです。切り身にしていたわけですから、干物や 加工品と言うわけではなさそうですね。当時、どのようにして鮮度を保った のでしょうか。宴会の予定が分かると、その時間に合わせて、運ばれて来な ければなりません。海産物の必要を伝える命令が下ると、漁に出て、獲れた 魚を大急ぎで運ぶ以外に方法は無さそうです。和歌山方面からなら、紀ノ川 を遡り、五条市辺りから紀路を馬で走ったのでしょうか。また、伊勢から運 ぶとすると、馬以外には考えられません。これでどの程度の時間が掛かった のでしょう。命令系統や流通のシステムが整っていなければ、とても出来る ものではないように思います。 同遺跡からは、ボラやスズキ、アジなどの骨を含めて、57点の動物骨を 確認しており、30点で種や部位が判明したそうです。木簡などにより、多 様な種類の物を食べていたことは知られていますが、今回は、その調理にま で想像が膨らむ報告でした。 木簡に書かれた魚貝類……魚、年魚、鯛(多比・黒鯛)、鯖、鰯、鮒、鮓 (鮨)、鮭、鯵(安遅魚)、白魚、赤魚、佐米、烏賊、楚割、堅魚、鮑(鰒)、 貽貝、富也、海藻、海細螺、鮗など。 (木簡に使用された字をそのまま書くと、文字化けを引き起こす可能性があり ますので、字は一般的なものに変えて書いているものがあります。) 貴族限定の、それも宴会ならではのご馳走なのかも知れませんが、今に劣 らぬ豪華なメニューが出来そうです。 飛鳥京跡苑池遺構 http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/58/tizu.gif 飛鳥川の右岸(東)にあり、飛鳥京跡内郭(III期)の北西約100mの 地点にある池を含む庭園遺跡です。 苑池は、全体で、東西80m、南北200mほどもあり、渡堤が設けられ た南北二つの池に区分されています。 南池は複雑な形をしており、護岸は1.5mほどの石積が施され、中島や 半ば沈下する石積遺構や池への導水のための石造物など、視覚的な配慮がな されています。また、水性植物が植えられていたことを推測させる場所や桃 ・梨・梅などの果実や松などが植えられていたことも分かっており、南池を 中心にして苑池が造られていたことが推測されます。 北池は、細長く150mほど直線で伸び、南池の水位を調整する目的など を果たしており、飛鳥川へと排水するようです。 多数の木簡や今回の魚の骨は、この北池からの出土物です。 この苑池は、斉明天皇の頃に造られ、天武天皇の頃に改修を受け、10世 紀代まで存続していることが分かっています。 今は、南端に説明版があるものの、畑地になっています。畦道を通らなけ れば近寄れないため、訪れる人はほとんどいません。鰤の煮付など、豪勢な 料理が並ぶ飛鳥時代の宴に思いを馳せて、飛鳥京跡苑池遺構に立ち寄ってみ るのも面白いと思います。 ━━━◇『飛鳥三昧』 http://sanzan.gozaru.jp/ ┏◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈4〉Pの飛鳥・食物記 / P‐saphire ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ ~紫蘇:しそ~ 暑くなりましたね~。これから9月のお彼岸まで、関西の夏が続きます。 真夏に元気なのは、<紫蘇:しそ>たち。みなさん、とても馴染みが深い植 物ではないでしょうか。近頃流行のハーブの中でも、和テイストとして脚光 を浴びています。今回は、その<紫蘇>についてお話をさせて頂こうと思い ます。どうぞお付き合い下さい。(*^^*) 紫蘇・・・梅干、紅生姜などの色付けに利用されるのは、どなたでもご存 知だと思いますが、色づけだけじゃ~ないんですよ!!非常にありがたい効 能を持ち合わせています。が、その前に・・・紫蘇には、緑の葉と赤の葉が あるのはご存知ですか?緑の葉は<青紫蘇:あおじそ、大葉:おおば>とし て一枚ずつ重ねた状態で、赤の葉は<赤紫蘇:あかじそ>として茎のままの 状態で売られています。緑と赤とではどう違うかご存知の方は少ないのでは ないでしょうか。実は、赤紫蘇はアントシアン系色素(赤い色素)のシソニ ンがあり、緑の紫蘇にはありません。同じ赤い色のニンジンに沢山含まれる カロチンという栄養素が、赤紫蘇にも沢山入っているだろうと思われがちで すが、これが赤紫蘇より緑の紫蘇の方が豊富に含まれるのは面白いところで す。その他は、赤も緑もほとんど違いはありませんが、一般的に栄養価が高 いのは、カロチンが多い緑の青紫蘇。薬効があるのは赤紫蘇で生薬名を紫蘇 葉(しそよう)と言います。 赤紫蘇は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を緩和してく れる効果がある事がわかり、今までは梅干や紅生姜の色づけだけに利用され がちだったのが、健康ブームに乗って若い人の人気を集め、赤紫蘇を煮出し クエン酸と砂糖を加え、より一層鮮やかな赤色にしたジュースが好まれるよ うになりました。そこに栄養価をプラスしたい私は、クエン酸の代わりにレ モン果汁と青紫蘇を加えます。先出の青紫蘇のカロチンは捨てがたいですし、 何よりも青紫蘇の香りが気持ちをリラックスさせてくれます。クエン酸とレ モンは同じ役目を担ってくれますので、ビタミンCの豊富なレモン果汁を入 れています。甘酸っぱくて爽やかな香りが、夏の疲れた体にはご馳走です♪ この紫蘇、原産国は中国からビルマにかけてだそうですが、史前植物と言 っても良いくらい、日本には古くから存在していたようです。縄文時代前期 の天神遺跡(山梨県北杜市大泉町)で、発掘された土器から野生の紫蘇やエ ゴマ、ツルマメの種子痕が多数見つかりました。県立博物館によって「シソ やエゴマは香りが強く殺菌作用がある。香辛料などにも利用したのではない か」と、山梨日日新聞で発表されたことを受けて、日本にはそれ以前に渡来 したと考えられるようになりました。昔は化学分析などなかったのに、体に 良い物を上手く取り入れているのには本当に毎回驚かされます。 【赤紫蘇の利用法】 <精神安定、不眠、貧血、冷え性、腰痛、リュウマチ、神経痛> 紫蘇の葉100枚を綺麗に洗ってタオル等で水気を拭き、日陰で半日干し て、半乾き状態のうちに保存容器に入れ、焼酎1リットルと氷砂糖1カップ で漬け込み、3ヶ月ほど冷暗所に置き、紫蘇を取除いて、寝る前にお猪口1 杯飲みます。 <風邪の発熱、悪寒> 紫蘇の葉10枚と生姜5gを、1.5カップの水で、半量まで煎じて飲み ます。 紫蘇の語源は、カニを食べ過ぎて食中毒を起こした若者に、中国の名医・ 華侘が薬草を煎じて飲ませたところ、若者はたちまち元気を取り戻し、命拾 いをしたというところから、華侘が煎じた薬草の汁が紫色で、それを飲んで 蘇ったところから紫で蘇るで、紫蘇となったそうです。 ちなみに・・・梅干を漬けた後の赤紫蘇は、どうなさっています?捨てる? そんな勿体無い事はしないでくださいよ。汁を絞って天日で干し、カラカラ になったらすり潰します。<縁:ゆかり>と言うふりかけになります。これ を混ぜたご飯でおにぎりを作ると、とてもさっぱりと食べられるので、食欲 のなくなる夏にはピッタリですよ。どうぞ旬の味を余す事無く体に取り入れ て、元気にこの夏をお過ごし下さい。 ━━━◇『A misty rose』 http://pde.gozaru.jp/index.html ┏◆◇◆◇◆━━━━━ 〈5〉 飛鳥咲読 / もも ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 第16回定例会で講師をして下さる橿原考古学研究所の清水先生が、百済 からやってきた4人の瓦博士のお話から、同笵瓦のお話や、考古学から何処 まで辿れるか・・など、とても興味深いお話を、今号に特別にご寄稿下さい ました。ありがとうございます。m(__)m ので・・このももには、今更も何も書く事がない・・・と言うわけにもい かないので、ぼちぼちと前号に引き続き、瓦の呼称などのお話をさせて頂こ うと思います。懲りずにお付き合いくださると嬉しいです。(^^ゞ 清水先生がおっしゃっておられるように、創建飛鳥寺の「花組」「星組」 は、本当に分かり易い命名で、σ(^^)が瓦に興味を持ったばかりの頃、覚え 易いこの名前にかなり助けられました。下の画像リンクへ飛んでみてくださ い。命名の絶妙さがお分かりいただけると思います♪ 参考画像: 花組・星組 (画像:明日香村埋蔵文化財室展示品無断転載転用禁止・イラスト:もも) http://asuka.huuryuu.com/bunko/phot/siryou/hana-hosi.jpg でも、「花組」「星組」なんていう可愛らしい名前が付いているのは、こ の飛鳥寺創建瓦ぐらいで、この他の瓦当は、大抵「〇〇式」や「〇弁〇葉〇 〇文軒丸瓦」と言われることが殆どです。余談ですが、豊浦寺や中宮寺など で出土している軒丸瓦も「雪組」と命名されたようなんですが、こちらはあ まり使われることはないようです。^^; で、この「雪組」と言われる系統 の瓦は、以前は「高句麗系」と呼ばれていましたが、近年の調査研究で新羅 にその祖形が求められることから「新羅系」とされるようです。 参考画像:雪組(風人画) http://asuka.huuryuu.com/bunko/phot/siryou/toyurak06.jpg 「〇〇式」は、「藤原宮」や「川原寺」など、宮や寺院名を入れて書かれま すので、比較的取っ付きやすいと思います。なかには「〇〇廃寺式」と呼ば れるものがあります。この「廃寺」は、遺構や出土状況などで寺院跡だとさ れるものの、寺としての存在が資料などで確認・立証ができず、地名などを 冠して便宜上つけられた名前になります。 「吉備池廃寺式」や「船橋廃寺式」、そして以前飛鳥遊訪マガジンの53号 で、ゆきさんのお話にも登場した「奥山廃寺式」などがそれにあたります。 参考画像:奥山廃寺式(明日香村埋蔵文化財室展示品・無断転載転用禁止) http://asuka.huuryuu.com/bunko/phot/siryou/okuyamahaiji.jpg 一方、漢字だらけで分かり難い「〇弁〇葉〇〇文〇〇瓦」の方は、「〇弁 ・〇葉・〇〇文・〇〇瓦」と、区切ってみてください。これだけで瓦の大ま かな文様が浮かび上がってくるという、実はとっても優れものなんですよ♪ 最初の「〇弁」は、蓮弁の形で、種類は大まかに「素弁」「単弁」「複弁」 などがあります。 参考画像:素弁・単弁・複弁それぞれの蓮弁イメージ図(もも画) http://asuka.huuryuu.com/bunko/phot/siryou/renben.gif 参考画像:瓦当文様の変換 http://asuka.huuryuu.com/bunko/phot/siryou/kawara-zusiki2.gif (飛鳥時代初期(630年頃まで)の軒丸瓦は、大抵「素弁」になります。) 「葉」は、蓮弁の枚数です。このお話は咲読の一回目にさせてもらいました。 次の「○〇文」は、瓦当の文様部分をさします。飛鳥時代の花のようにみえ る瓦当文様は、「蓮華文(レンゲモン)」と呼ばれています。最後の「〇〇 瓦」は、使われている場所から付けられた瓦の名前です。軒の丸い瓦だから 「軒丸瓦」。軒の細長い瓦なら「軒平瓦」。 この言い方に当てはめると、先にあげた参考画像の花組の瓦当は「素弁十 葉蓮華文軒丸瓦」となり、星組の瓦当は「素弁十一葉蓮華文軒丸瓦」となり ます。漢字が沢山並んでいるだけで何だか難しそうに見えますが、分解して みると何のことはない♪って言う名前なんですよ。(^^) σ(^^)には、長くて難しい神様の名前や、ちょっと反ってる?口径が大き い?っていう微妙な違いしかない土器よりは、ずっと分かり易いんですけど。 どうでしょう?少し分り易くなりましたでしょうか?(^^) さて、次回の咲読は、今号清水先生のお話にもあった同笵瓦(ドウハンガ ワラ)のことなどを、イラストを交えてもも風にお話できればと思います。 ━━━◇『ひとしひとひら』 http://gpeach.nobody.jp/index.html ┏◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈6〉飛鳥情報 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ ━◇飛鳥資料館 夏期企画展 飛鳥資料館では、いよいよ明日から「甦るクメール文明」と題した夏期企 画展が始まります。カンボジア内戦直後から世界遺産アンコール遺跡群の写 真を撮り続けている写真家BAKU斉藤氏の写真展示で、過去現在未来へと 受け継がれるアンコール遺跡の素顔が紹介されるようです。 「甦るクメール文明」-世界文化遺産 アンコール遺跡群- 会 期 : 8月1日(金)~30日(日)(月曜休館) ・特別講演会 「甦るクメール文明」 日 時 : 8月2日(日)14:00~16:00 会 場 : 万葉文化館企画展示室 ゲスト : 今川幸雄氏(元カンボジア日本特命全権大使) 岩崎好規氏((財)地域地盤環境研究所専務理事) BAKU斉藤氏(写真家) コーディネータ: 杉山洋氏(奈良文化財研究所) ・トークショー 「クメール建築を撮る」 日 時 : 8月15日(土)14:00~15:30 会 場 : 飛鳥資料館特別陳列室 ゲスト : 西本真一氏(サイバー大学世界遺産学部教授) BAKU斉藤氏(写真家) コーディネータ: 杉山洋氏(奈良文化財研究所) 各催しに関する詳細は、下記アドレスでご確認下さい。 http://www.nabunken.go.jp/asuka/topics04.html#topic63 飛鳥資料館公式ホームページ http://www.nabunken.go.jp/asuka/index.html ::::::::::::::::::::::::::::::::::: ◇━ あすか塾(講演会)のご案内 祝戸荘で行われるあすか塾で、今号に飛鳥時代の瓦博士のお話を寄稿下さ った橿原考古学研究所の清水先生の講座が開催されます。この春、瓦の研究 で博士号をとられた平成の瓦博士・清水先生のお話を、古京・飛鳥の地で聞 いてみませんか。 ・第182回 あすか塾 『飛鳥の古代寺院のなかの東アジア世界』 講 師 : 清水昭博氏 (橿原考古学研究所 総務企画部 主任研究員) 開催日 : 8月8日(土) 開始時間: 11:30 会 場 : 飛鳥の宿『祝戸荘』 会 費 : 1800円(昼食付き) *事前申込要 また、10月のあすか塾には、第16回定例会で清水先生と事前散策から 同行くださいます橿原考古学研究所の岡田雅彦先生の講座も開催されます。 ・第184回 あすか塾 『飛鳥とその周辺地域の古代寺院と瓦』 講 師 : 岡田 雅彦氏 (橿原考古学研究所 埋蔵文化財部) 開催日 : 10月3日(土) 開始時間: 11:30 会 場 : 飛鳥の宿『祝戸荘』 会 費 : 1800円(昼食付き) *事前申込要 お申込などの詳細には、下記アドレスをご覧ください。 あすか塾セミナーのページ http://www.asuka-iwaidoso.com/event-list.html#lecture 祝戸荘 http://www.asuka-iwaidoso.com/index.html :::::::::::::::::::::::::::::::::: ◇━ 公開講座「葛城学へのいざない」 葛城市歴史博物館で毎月開催されている公開講座「葛城学へのいざない」 で、飛鳥遊訪マガジンでもお馴染みの近江俊秀先生が講演されます。 演 題 : 掃守寺跡について(仮) 講 師 : 近江俊秀氏 (文化庁) 開催日 : 9月19日(土) 開始時間: 14:00~ 会 場 : 葛城市歴史博物館2階 あかねホール *事前申込要 お申込などの詳細は、下記アドレスをご覧下さい。 公開講座「葛城学へのいざない」 http://www.city.katsuragi.nara.jp/museo_history/lectureKatsuragi.html 葛城市歴史博物館 http://www.city.katsuragi.nara.jp/museo_history/index.html ┏◆◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈7〉両槻会からのお知らせ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ ━◆ 第16回定例会のご案内 橿原考古学研究所の清水昭博先生・岡田雅彦先生をお招きして、第16回 定例会を下記日程で開催します。 開催日 :9月12日(土) 演 題 :飛鳥瓦の源流 ‐百済、新羅、高句麗、そして南朝‐ 講 師 :橿原考古学研究所 主任研究員 清水昭博先生 橿原考古学研究所 岡田雅彦先生 会 場 :飛鳥資料館講堂 開 演 :午後1時予定 定 員 :40名 参加費用:1,000円 (飛鳥資料館入館料別) 定例会当日の午前中に、恒例となりました関連遺跡を事前散策として巡る 予定をしています。今回の事前散策には、講師の清水先生と、同じく橿原考 古学研究所の岡田雅彦先生が同行して下さいます。この機会に、是非ご参加 下さい。お申し込みをお待ちしております。 第16回定例会案内ページ http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-16/yotei-16.html ┏◇◆◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈8〉編集後記 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 運河に瓦に鰤に紫蘇。こうやって個々の記事から、今回のテーマを取り出 してみると、相変わらず摩訶不思議なメールマガジンになってますね。(笑) 瓦に紫蘇と鰤の切り身をのせて、運河の傍で料理してる古代人の姿を思い 浮かべたりするσ(^^)は、既に暑さボケしてるのかもしれません。^^; いつからが夏本番なのか・・もう分からなくなっている最近のお天気です が、おうちの中でも、熱中症になることがあるそうです。水分補給と適度な 休養、夏風邪などにもお気をつけ下さい。 (もも) ┏━━◆◇◆━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━┓ 発行 :両槻会 http://asuka.huuryuu.com/ 飛鳥遊訪マガジンへのご意見ご感想は、 http://form.mag2.com/viuounelio または asukakaze2@gmail.com 両槻会事務局まで 登録/解除は http://www.mag2.com/m/0000259444.html 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ┗━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━◇◆◇━━┛ …─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…


