2009/03/27
飛鳥遊訪マガジン Vol. 047
◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◆◇◆ ◆◇◆ 飛鳥遊訪マガジン Vol. 047 (2009.3.27.) ◇◆ ◆ 飛鳥好きの貴方に贈るメールマガジンです。 両槻会のイベントもご紹介します。 両槻会 http://asuka.huuryuu.com/ ━━━━━◇━━━━━━━━━━◇━━━━━━━━━━◇━━━━━━━ お彼岸も過ぎると、寒さが一時戻っても、もう春は目の前ですね。 稲渕の勧請橋のたもとに、シデコブシの花が今年も枝いっぱいに花を広げ ていました。石舞台や甘樫山麓の桜も、枝先にちらほらと花をつけ、菜の花 も一斉に咲き始めました。春爛漫の飛鳥路がみなさんを迎えてくれるのも、 もうすぐです。 さて今回のメルマガは特別号です。 次回第14回定例会は、葛城山麓にある田村薬品工業株式会社さんのご協 力で、藤原宮出土木簡に見える生薬を薬草栽培園に訪ねる企画です。 その咲読を、事務局員笑いネコとP‐saphire のコンビネーションでご案 内しています。 語り始めるとメルマガ定例号では収まらない内容となりそうですので、今 回は事務局員のみの特別号仕立てになっています。 笑いネコの薬草蘊蓄とその薬草の利用についてのP‐saphire の蘊蓄記事 をお楽しみください。 また4月には両槻会の特別回として「忍坂街道探検」を実施します。その 記事も事務局長風人が前号の続きとして飛鳥話1に掲載しています。 ともに読みごたえのある内容になっていますので、じっくりとお楽しみく ださい。 (太古) ┏◆━index ━━◆◇◆ 〈1〉飛鳥話 NO.1 ・・・ 風人の飛鳥ぶらぶら散歩 / 真神原風人 -------------------------------------------------------------------- 〈2〉飛鳥咲読 NO.1・・・ / P‐saphire -------------------------------------------------------------------- 〈3〉飛鳥咲読 NO.2・・・ / 笑いネコ -------------------------------------------------------------------- 〈4〉両槻会からのお知らせ -------------------------------------------------------------------- 〈5〉編集後記 -------------------------------------------------------------------- ┗━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━ ┏◆━━━━━━━━━━ 〈1〉風人の飛鳥ぶらぶら散歩 / 真神原風人 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 女寄峠から粟原川の両岸尾根上に在る古墳を訪ね歩いた今回の忍阪街道探 検古墳編も、舒明天皇押坂内陵(段ノ塚古墳)を訪ねるところまで下りてき ました。大字忍阪では、他にも興味深い古墳が散見できますので、今回は、 それらの古墳も若干ご紹介したいと思います。 その前に、特別回にも参加していただく、宇陀をネット世界でもリアル世 界でも紹介されている落王さんのサイトに、前回ご紹介しました花山塚古墳 などや今回紹介します古墳の写真がありますので、参考ページとして掲載さ せていただきます。 http://www.geocities.jp/kohun1192/sikkui.html http://www.geocities.jp/kodaishi3939/rekisi/sakurai.html 落王さんのサイト「U-dia」 http://www.geocities.jp/u_diarakuoh/ 写真で見ると、一層興味深い古墳であること、面白そうな地域であること が分かります。ご覧下さい。 舒明天皇押坂内陵(段ノ塚古墳) 地形に合わせた台形状の三段になった下段の上に、八角形の二段に築成さ れた墳丘を乗せています。名前の通り、段々の墳丘になっているわけです。 この段ノ塚古墳は、飛鳥時代後半からの天皇陵の特徴となる八角墳の最初の 例で、以後、斉明天皇、天智天皇、天武・持統天皇、文武天皇の陵墓へと、 墳形は引き継がれて行くことになります。それまでは、蘇我氏の血を強く受 けた天皇の陵墓が方形墳であったことから、一線を画する形態だということ が出来そうです。 舒明天皇の父は、押坂彦人大兄皇子であり、押坂(忍坂)と深い関わりが 感じられます。皇子は蘇我の血を引かない有力王族であったことから、様々 な憶測もあるわけですが、蘇我氏によって暗殺されたとの見方もあります。 皇子のお墓は、奈良県広陵町の牧野古墳とされ、やはり蘇我の勢力範囲から は離れたところにあります。 先代の推古天皇は、継嗣を定めずに亡くなっています。蘇我蝦夷は、田村 皇子(舒明)と山背大兄皇子の二人の内から、田村皇子を立てて天皇にしま した。これには蝦夷が権勢を振るうための傀儡にしようとしたという説と、 他の有力豪族との摩擦を避けるために蘇我氏の血を引く山背大兄皇子をあえ て避けたとする考え方があります。どちらにしても、世は蘇我氏支配の中に 在ったのですが、忍坂という地に八角形の陵墓を築いた舒明天皇の存在は、 蘇我本宗家滅亡の予兆であったのかも知れませんね。 いつの時代かは分かりませんでしたが、古墳の一部が崩壊したことがあり、 石棺が2基見えていたことが記録(「山陵考」)にあるそうです。延喜式諸 陵式には、その母、糠手姫皇女が同陵内に在ると記されていることから、合 葬されていると考えられています。 八角形と思われる終末期古墳 段ノ塚古墳 (舒明天皇陵):桜井市忍阪 御廟野古墳 (天智天皇陵):京都市 野口王墓古墳(天武・持統合葬陵)明日香村野口 中尾山古墳 (文武天皇陵):奈良県明日香村 束明神古墳 (草壁皇子?):奈良県高市郡高取町 牽牛子塚古墳(斉明陵?):明日香村越 舒明天皇陵から東に小さな谷筋を登って行くと、鏡王女墓と、さらに奥に 大伴皇女墓があります。 鏡王女は、藤原鎌足の正妻だとされる女性で、藤原不比等の生母ともされ ています。額田王の父は、鏡王とされていることから、額田王の姉という説 があります。また、鏡王女には舒明天皇の皇女だとする説もあるそうです。 墳墓は、円墳様ですが詳細は分かりません。なぜこの地に葬られたのでしょ うか。粟原寺や石位寺に痕跡を残す額田王との関連も考えると、忍阪地域が この姉妹所縁の地だとも考えたくなります。 一方の大伴皇女とは、どのような人なのでしょうか。日本書紀には、欽明 天皇と蘇我堅塩媛の間に出来た第9子として名前があがっています。しかし、 なぜこの地にというと、分からないと答える他はないようです。古代豪族大 伴氏が、この辺りに勢力を持っていたとされるようですから、それに関連し ているのかも知れないですね。 忍坂古墳群は、特別回最後の見学地になると思います。近鉄朝倉駅の東南、 標高292.5mの外鎌山の北から西にかけての斜面に位置した古墳群です。 (外鎌山古墳群忍阪支群)団地造成に伴って発掘調査され、4世紀から7世 紀後半までの9基の古墳が発見されました。この内の4基が近隣の公園に移 築保存されています。 とりわけ注目されるのが8号墳です。花山塚古墳とも共通する磚槨式石室 を持ち、榛原石をレンガ状に加工して積み上げています。周囲に幅約3mの 濠をめぐらせ、墳丘は径12mの円墳に復元されるそうですが、調査時には すでに破壊されていたようで、羨道の構造なども不明なようです。この8号 墳には大きな特徴があります。それは、磚槨式石室の平面が六角形に復元で き、極めて珍しい様式を見せます。7世紀後半から8世紀初頭にかけて築造 されたと推定されます。 忍阪街道の面白さは、古墳ばかりではありません。粟原寺跡や石位寺石仏 などは、飛鳥時代の香りを漂わせるミステリーゾーンとして私達を魅了しま す。そのほんの一端を、ご案内しようと思います。 粟原寺跡 江戸時代の中頃、多武峰妙楽寺(談山神社)の宝物庫から「国宝・粟原寺 三重塔露盤の伏鉢」が発見されました。そこに刻まれた銘文には、「仲臣朝 臣大嶋が草壁皇子を偲び創立を誓願したが果さず没した後、比売朝臣額田が 持続天皇8年(694)から元明天皇和銅8年(715)にかけてこの地 (粟原)に伽藍を建て、丈六釈迦仏像を鋳造、金堂に安置した。また三重の 塔を起し、草壁皇子とともに発願者大嶋の冥福をあわせて祈った」と書かれ ています。 参考:伏鉢(旧飛鳥資料館サイト) http://www.asukanet.gr.jp/JPEGs/kurihara_hachi.JPEG 粟原寺跡は、現在、塔・金堂跡共に土壇は明確には残っていませんが、塔 跡には心礎をはじめとして礎石が残り、三重塔であったと推定されているよ うです。また、金堂跡は礎石の移動や消失によって、その規模も明確には分 からないようです。付近からは、礎石が散見され、7世紀末から8世紀初頭 の物と思われる素縁複弁蓮華紋軒丸瓦なども出土しています。 なぜ、このような山間の奥まった場所に、草壁皇子の追福のための寺院が 建立されたのでしょう。なぜ、仲臣朝臣大嶋が草壁皇子を追福しようとした のでしょう。比売朝臣額田とは誰のことなのでしょうか。残された礎石と向 き合って、そのような謎を楽しんでみるのも楽しいと思います。 石位寺 忍阪の集落の中に石位寺があります。ここには、薬師三尊石仏(重文)が 安置されています。石仏は、白っぽい花崗岩のおにぎりのような形の石に浮 彫りされており、わが国最古の石仏と言われます。中尊は、両手を膝の前に 揃え、静かな表情で椅子に座り、脇侍は合掌の姿をとっています。部分的に 朱が薄っすらと残っており、彩色されていたのかも知れません。 この石仏は粟原から流れついた(粟原流れ)と伝えられるものです。粟原 寺が水害に遭ったときに、下流域にたくさんの仏像が流出したと伝えられて います。その流出した仏像を粟原流れと称して、今も桜井市域をはじめ多く の寺院がそれを受け継いでいるそうです。この石仏が万葉歌人額田王の念持 仏と言われるのも、その辺りに謂れがあるのでしょうか。 さて、両寺の伝承で興味深いのは、額田王の存在ではないでしょうか。額 田王=比売朝臣額田と解すると、どのようなことになるのでしょう。額田王 の生年は不詳ですが、7世紀の前半から中頃の誕生と考えると、粟原寺創建 時には50代〜70代ということになり、存命の可能性はあります。しかし、 疑問も起こってきます。額田王は王族のはずです。朝臣姓として書かれてい るのは不思議な気がします。仲臣朝臣大嶋に嫁して、臣籍降下した時の名前 なのでしょうか。私には、謎としか言えませんが、女流万葉歌人所縁の地と 考えるのも楽しいかと思います。 崇峻天皇・舒明天皇・額田王・鏡王女・藤原氏・大伴氏、忍阪はまさにミ ステリーゾーンですね。 花山塚古墳から出発した忍阪街道探検は、バラエティーに富んだ古墳の見 学と、謎に包まれた古代寺院跡を充分に楽しめるウォーキングです。コース は、尾根上の古墳を訪ねますので、かなりのアップダウンを覚悟しなければ なりません。どうぞ、ご参加の際には、覚悟してお申し込みください。 2回に分けて、駆け足で巡りました忍阪街道探検咲読風案内は、今回で終 わります。少しでも興味を持っていただければ幸いです。一人では行きにく い場所が多く有ります。募集定員には、まだ少しの余裕がありますので、お 申し込みをお待ちしております。 (記事中、忍阪<現地名>と忍坂<古代地名・名称>を使い分けました。) ━━━◇『飛鳥三昧』 http://sanzan.gozaru.jp/ ┏◇◆━━━━━━━━━━ 〈2〉飛鳥咲読 NO.1 / P‐saphire ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 最近にわかに人気が出た言葉に「薬膳(やくぜん)」があります。平たく 言えば、薬効のある物が入った食べ物の事で、この言葉は1980年の中国 のあるレストランで使われ出したのが始まりと言われています。意外と新し い言葉です。しかし、薬効のある物を食べると言う行為自体は古く、中国の 周時代(BC1.000〜BC256)の「周礼」と言う本の中に、皇帝のための宮 廷医を「食医」と呼び、その「食医」の大切な仕事は栄養管理で、食材を組 み合わせてメニューを考え、食事療法での治療をしたとされます。病気にな れば薬をすぐに処方する今の西洋医学とは違い、病気の根本的理由(どうし て病気になったのか)を探り、日常の食事を正す事で人間の体の自然治癒力 を高め、病気の原因から改善させる方法をとっていました。 病気が症状として現れていない状態を<未病(みびょう)>と言いますが、 未病の間に薬効のある物が入った食事で体内のバランスを整えて、病気にな らないようにするのが目的で、病気になったからと言って薬膳で病気を治す のではないと言う事を先に述べさせて頂きます。 って、何が言いたいのか・・・要するに、「毎日三度の食事の中に、体に 良い食べ物を上手く取り入れて行けたら最高じゃないか」と言いたいわけで す。(笑)難しい知識の追求ではなく、美味しさの追求。美味しくなければ、 どんなに体に良くても続かないと言うのが私の持論です。そんなこだわりを 持ちながら、笑いネコさんと同じ植物を今度は、万葉時代から現代までの利 用法やこぼれ話を探りながら書いて行きたいと思います。笑いネコさんが書 かれた植物と同じ順番に書いて行きますので、照らし合わせてご覧頂けたら 幸いです。 【1】・・・丁字(チョウジ) お料理が好きな方なら<クローブ>と言った方がピンと来て頂けるかと思 いますが、お花の蕾を乾燥させた物で、独特な甘い香りです。息子に表現さ せると「殺虫剤に甘さを加えたような臭い」だそうです。(笑)これは当た らずとも遠からずで、実は、ゴキブリはこの臭いが大嫌い!お茶パックにク ローブを入れて、ゴキブリが出そうなシンク下や物置などに置くと寄り付か ないと言われています。笑いネコさんが書いておられたように、正倉院の宝 物の中に入っていた丁子は、勿論装飾の意味もあったと思いますが、それと 同時に防虫・消臭の役割も果たしていたのではないでしょうか。 また、オレンジなど柑橘類に刺して乾燥させた物を<ポマンダー>と言い、 部屋やタンスなどにぶら下げておけば、消臭・防虫にもなります。ヨーロッ パでは、現在でも手作りのポマンダーをプレゼントしあう習慣が残っている んですよ。 香りだけを利用する場合はそれで良いのですが、お料理に使う時はお約束 があります。2歳以下のお子様、分娩時以外の妊産婦さんは口にしないよう にして下さい。クローブだけではなく、ハーブと呼ばれる植物の中には、結 構お子様や妊産婦さんは口にしない方が良い物がありますので、注意が必要 です。(刺激が強い場合や、陣痛を促進してしまう成分が含まれる事がある) 丁子 http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/47/cyouji.jpg 【2】・・・大豆(ダイズ) 木簡には色々な豆の文字が見られます。大豆、白大豆、小豆、大角豆(さ さげ)。とりわけ大豆は弥生時代後期にはすでに伝来していて、万葉時代に は醤(ひしお)や末醤(みそ)などの原料に利用していました。用途は今と そんなに違いはありません。面白い事に、煎(い)り大豆・熬(いり)大豆、 生大豆と言う記述があり興味をそそられました。『煎り大豆』は今で言う煎 った大豆ではなく汁気が無くなるまで煮た煮豆の事です。『熬(いり)大豆』 は大豆を乾煎した物で、これをすり潰すと黄な粉になります。『生大豆』は 「把」と言う数量表記をなされているので、枝に付いたままの大豆、いわゆ る枝豆のことだろうと言われています。私・・・枝豆と大豆は別物だとずっ と思っていました。枝豆の収穫が少し遅れると、豆は苦味を増します。落胆 して全ての豆を捨ててしまい、後で「そのまま放置すれば大豆になったのに」 と聞き、なんとも残念で名実ともに苦い経験をしたことがあります。(笑) 豆を煮るのは時間が掛かるし面倒・・・良くその話は耳にします。私は一 度に沢山下茹で(味付けしないで煮るだけ)して、冷めてから小袋に小分け して冷凍しておきます。茹でてあるからシチューやカレーなどにさっと入れ られて便利です。昔は魔法瓶を利用して豆の下茹でをしていましたが、魔法 瓶に取って代わった最近の電子ポットは繊細な作りだったりするので、違う 使い方をすると壊れる事がありますので気をつけて下さい。(笑) 【3】・・・少白(ショウバク) 笑いネコさんと同じで、私もこれは<小麦>として書かせて頂きます。 万葉時代、稲の収穫は天候に非常に左右されるとして朝廷は、麦や粟など の畑作穀物との併作を奨励しました。普通小麦は、冬に種を蒔き初夏に収穫 をするので、真夏の干ばつや台風などの被害を受けにくいので奨励されたよ うです。 推古十八年(610)三月、高麗の僧曇徴(どんちょう)が碾磑(みずう す)を伝え、水力による製粉法が取り入れられたと同時に、小麦を製粉した ものから<餅>を作る処方も伝来している事がわかっています。今では餅と 言えばもち米を蒸して搗いていますが、当時は小麦粉で作った餅も作られて いたようです。しかし、米を搗いて作った餅よりもネバリが少ないので、餅 と言うよりも団子に近かったかも知れません。韓国の餅は米の粉で作ります が、これもどちらかと言うと団子に近い食感を受けます。汁物に入れても融 けないので鍋物には重宝します。 オオムギは、加知加太(かちかた)または布止牟岐(ふとむぎ)と呼ばれ、 コムギはオオムギよりも約一世紀遅れて(四世紀から五世紀の間)伝来して いるのに古牟岐(こむぎ)と呼ばれました。オオムギは主に粒のまま、コム ギは粉にして餅や煎餅などに加工されました。現在使われているオオムギと コムギの名前の由来は、植物の大きさの比較ではなく、優劣の比較。つまり、 殻などを簡単に取り除けて、飯や粥に使えたオオムギを上質と考え<大>、 コムギは品質の劣るものとして<小>をつけたとされます。これと同じ意味 でつけられたのが、大豆・小豆です。 少白 http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/47/syoubaku.jpg 【4】・・・当帰(トウキ) これはね、そのまま現代に利用するって事は、滅多にないんです。薬膳料 理には出る事があるかな?程度ですね。美味しい?と問われれば、返答に困 る。(笑) 葉や茎に芳香があるので、刻んでガーゼなどに包み浴槽にいれて<浴湯薬> に利用しちゃいましょ。鎮静・冷え性・しもやけ・婦人病に効果があるとさ れます。 【5】・・・獨活(ドッカツ) これは美味しい!!(笑)春になると、お隣から「ウド堀りに行くぞ!」 とお誘いを受け、山に出向きます。お隣が育てておられるウドは、日光に当 たらないよう芽が出るとすぐに籾殻を山のように積み重ねます(軟化栽培)。 それでもウドは太陽を求めて籾殻を掻き分けるように伸び、やがて日の目を 見ます。そうなると人間は籾殻をせっせと取り除き、光合成していない白い ウドの茎元を土の間際で刈り取り収穫とします。籾殻で埋まっていた部分は 軟化しているので美味しく食べられます。山に自生しているウドは、土から 上はしっかり緑色をしていて、あまり大きくないうちに刈り取って、柔らか な緑の部分だけを食べます。 皮を剥き、薄切りにして天ぷらにすると、非常に美味しいです。お吸い物 に入れると良い香りが漂いいっぺんに高級品に変化。(笑)皮は捨ててはい けません。これは細切りにして、ゴマ油と醤油でキンピラにすると、晩酌の ツマミに最高です。 獨活 http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/47/dokkatu.jpg ウドの大木・・・ウドは日に当たると堅くなり、一気に木のように大きく 育ってしまいます。そうなるととてもじゃないが堅くて食べられません。 「体ばかりデカくて役に立たない」ことをウドの大木と呼ぶのはこう言うワ ケがあったんですね。 と、5つの植物について書かせて頂きました。書き出せば果てしなく・・・ ではありませんが、あれもこれもとついつい思ってしまいます。これらの植 物については、当日もう少し突っ込んだ話しをさせて頂こうと思っています ので、どうぞお楽しみに〜。 ━━━◇『A misty rose』 http://pde.gozaru.jp/index.html ┏◆◇◆━━━━━ 〈3〉 飛鳥咲読 NO.2 / 笑いネコ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 第14回定例会の飛鳥咲読笑いネコバージョンの2回目です。ネコバージ ョンの余りの長さに、増刊号が出ることになってしまいました。(笑) 今回の最初は定番生薬の一つ「センキュウ」です。漢字では「川」と「草 冠に弓」と書くのですが、これではメルマガには載せられないのでカタカナ にします。 この「センキュウ」の木簡記載はちょっと変なのです。 「草冠に弓」の「キュウ」後に続けて「窮八斤」とあるのです。「キュウキ ュウ」になりますね。「キュウキュウ」という言い方もあるそうで、「セン キュウ」と同じものです。 植物名は「センキュウ」で、セリ科ハマゼリ属です。セロリに似た香気が あり花は咲きますが結実しません。使用するのは根茎で、茹でて乾燥して用 います。生薬としての効能は、活血、強壮、鎮痛で、頭痛、月経不順などの 婦人病の薬として用います。 これに近いハーブには、「ラビッジ」というのがあって、ヨーロッパのハ ーブガーデンでは定番だそうです。 セロリ http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/6-fusa/white6-4.htm 次は「烏梅(ウバイ)」です。これは、木簡では「烏□」(□は欠字)と なっていまして、実は、該当するのは「烏梅」の他に、「烏薬(ウヤク)」 「烏樟(ウショウ)」「烏頭(ウズ)」などあるのですが、Pさんの食べ物 ネタにも合うように、ここは「烏梅」にしてみました。って、勝手に決めて 良いんだろうか?(^_^;) 植物的には簡単です。バラ科のウメです。使うのは未成熟果実ですから、 いわゆる青梅。これを薫蒸したものが「烏梅」...薫蒸したら黒くなるか ら、と簡単なネーミング♪ 薬効は、鎮咳、下痢止め、駆虫だそうです。 次に二つ続けて花の綺麗な生薬植物をご紹介しましょう。 先ずは「クバク」です。木簡には第2水準でも出てこないような文字が書 かれています。「クバク」の「ク」自体が第2水準(コンピューターで使用 される漢字のJIS規格)で「隹の上に日が二つ載ったもの」ですが、木簡 にはこれに更に「木偏」が付いています。「バク」は「麦」です。 で、これは何かというと、ナデシコ科ナデシコ属の「カワラナデシコ」ま たは「セキチク」です。開花時の地上部を干して用いるそうで...何か、 もったいない気がしますが。(笑) 利尿作用などがあり、尿路疾患、膀胱炎とか尿路結石の治療に使われます。 開花したものを用いる生薬は、そんなに多くありません。ほとんどが果実 になってから、あるいは熟して種子が出来てから使います。余談ですが、変 わり種は、今の時期咲き始めている「コブシ」でつぼみの堅いうちに摘み取 って生薬とします。「モクレン」も同様で、咲いてしまったら効果はないの だそうです。 生薬名は「辛夷(シンイ)」といいます。 カワラナデシコ、セキチク http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/2-size-chu/aka-pink2-1.htm コブシの蕾 http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/47/kobusi-tubomi.jpg 次は「桔梗(キキョウ)」で、これはそのままキキョウ科キキョウ属の 「キキョウ」です。使うのはこの根で、「人参」の根に似ています。薬効は 去淡、鎮咳、消炎。元々は山野の草地に生育していたのですが、現在は自生 種はほぼ絶滅しています。 キキョウ http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/1-size-dai/ao-murasaki1-1.htm さて、ちょこっと名前が出てきたところで「人参」です。八百屋さんに売 ってる人参ではありません。ってことくらい、ご存知でしょうか?(笑) ウコギ科トチバニンジン属の「オタネニンジン」というのが、生薬の「人 参」で、俗に「朝鮮人参」と言われているものです。もちろん使うのは根で す。 「補薬の王」と言われるくらい、新陳代謝を盛んにし、中枢神経を興奮させ、 免疫機能を増強する、スーパー生薬です。ちなみに、効果が強いので、健康 な人は摂りすぎないように、という注意があります。 次に登場するのは「射干(ヤカン)」です。木簡には「夜干十斤」と書か れています。おそらく「射」という字は、当時も「イ」と読んだのではない かと思うので、「ヤカン」という生薬名を伝えるには、「夜干」の方が良か ったかもしれません。 「射干」はアヤメ科ヒオウギ属の「ヒオウギ」で、この根茎を使います。薬 効は解熱、去痰で、「射干麻黄湯」という漢方薬は、この「射干」「麻黄」 に「生姜」「半夏」を配合したもので、風邪薬です。 「ヒオウギ」の名は、葉が「檜扇」の形に広がることから付いた名前で、日 の当たる草地に生える多年草ですが、現在では観賞用などに栽培されている ものがほとんどで、自生種は希になってしまいました。夏の終わり頃に淡い オレンジ色の花を付け、秋に果実が熟すと真っ黒の種子が出てきます。この 種子が歌に詠まれている「ぬばたま」とか「うばたま」なのですが、この話 はPさんにお任せすることにしましょう。 ヒオウギ http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/47/hiougi.jpg 前回紹介した、漢方薬の配合が書かれているのではないかとネコが考えて いる木簡に登場する生薬をもう一つ見てみましょう。 「防風」です。これは、他にも「出雲臣首万□」「出雲臣石寸」「出雲臣知 万呂」という人名と共に書かれていて、その後に「防風十斤十二□」となっ ています。この人達が「防風」を栽培していて、藤原京へ送ったのでしょう か? 植物としては、セリ科ボウフウ属「ボウフウ」なのですが、「ボウフウ」 は中国原産で日本に自生種はありません。「昔中国から渡ってきたが今では 絶滅して残っていない」と牧野図鑑にはあります。 ちなみに、現在ではイブキボウフウ属の「イブキボウフウ」が代用として 使われています。「イブキボウフウ」は伊吹山に多く生えるので付いた名前 で、北海道と本州の奈良県以北に自生しますが、出雲には自生しないはずな ので、出雲から送られた「防風」は、中国の「ボウフウ」または日本種の 「イブキボウフウ」を栽培して採ったものなのでしょうね。 薬効は発汗、 鎮痛作用などです。 イブキボウフウ http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/6-fusa/white6-4.htm 今回の最後に「五加皮」というのをとりあげてみましょう。木簡では、そ れらしきものが3種類出てきます。「■(草冠に五という字)茄十斤」と 「五茄□」、「□□皮十斤」です。 ウコギ科ウコギ属の落葉低木「ウコギ」で「根皮」を生薬として使います。 生薬で言う「五加」の中国読みが「ウコ」で、これに日本語の「木」が付い て「ウコギ」です。もちろん日本原産種ではなく、中国から古い時代に、多 分薬用植物として渡ってきたもで、現在では生垣などに使われているのが見 られる他、野生化したものもあるそうです。今は「エゾウコギ」という別種 を栽培して、「五加皮」を採っているようで、抗ウィルス作用や、免疫賦活 作用、血糖値を下げる作用などがあります。また、子供の骨や筋肉の発育不 良を治療するのにも用いるとか。 今回の咲読ネコバージョンはいかがでしたか?そろそろ「生薬博士」にな れそうですか?(笑) ━━━◇『笑いネコの部屋』 http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/ ┏◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈4〉両槻会からのお知らせ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ ◇━ 特別回 「忍坂街道探検」のご案内 実施日 : 4月18日(土) 集合場所: 桜井駅南広場奈良交通バス停付近 集合時間: 10時10分 費 用 : 1,500円 (花山塚古墳付近までのタクシー代金・石位寺拝観料金 ガイド経費を含む) 定 員 : 20名 申込期間: 3月14日19時〜4月11日深夜まで。 または、定員に達し次第締め切ります。 特別回「忍坂街道探検」では、名前は知られていますが、なかなか訪ねる 機会の無い古墳や史跡を巡ってみようと思います。桜井市から宇陀市へ抜け る女寄峠付近から近鉄朝倉駅まで、粟原川両岸を訪ね歩くことになります。 特別回 忍坂街道探検案内ページ http://asuka.huuryuu.com/yotei/tokubetukai/tokubetukai-1.html ::::::::::::::::::::::::::::::::::: ◇━ 第14回定例会のお知らせ 両槻会主催の第14回定例会では、「野守は見ずや 名柄の遊猟(みかり)」 と題し初の野外イベントを企画しています。 藤原京から出土した木簡には、かなりの数の生薬名が記載されていること が分かっています。この定例会では、飛鳥人がどのように植物を薬として、 ハーブとして、はたまた食用として利用していたのかを、御所市の田村薬品 工業株式会社さんにご協力頂いて、薬草園で栽培されている薬草を見ながら、 ご紹介していく野外イベントです。 同時に、現代人の私たちもそれらをもっと身近に、また、賢く利用するに はどうすればよいのか、皆さんとご一緒に考え楽しめたらと思っています。 どうぞ奮ってご参加下さい。 日 時 : 5月9日(土曜日) 集 合 : 近鉄御所駅前 参加費 : 1000円(バス代は各自負担) 第14回定例会予定 http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-14/yotei-14.html ┏◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━ 〈5〉編集後記 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━ 久々に急遽増刊号です。(^^) いやぁ〜、「増刊を出そう!」と決まった のが、前号を出す直前。しかし・・よく皆さん原稿をあげてきますね。我が 仲間ながら・・・その凄さにかなりビビッております。^^;; 第14回定例会・特別回ともに、定員まで残り僅かとなっています。参加 を希望される方は、お早めにお申し込みください。お待ちしてます。(^^) (もも) ┏━━◆◇◆━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━┓ 発行 :両槻会 http://asuka.huuryuu.com/ 飛鳥遊訪マガジンへのご意見ご感想は、 http://form.mag2.com/viuounelio または asukakaze2@gmail.com 両槻会事務局まで 登録/解除は http://www.mag2.com/m/0000259444.html 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ┗━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━ ━━━◇◆◇━━┛ …─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…─…



