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 僕にとって映画のない人生は考えられません。その作品をどういう状況でどう見たか、埋もれそうな記憶の海から拾い上げて、ある映画からまた別の映画へ話は続きます。新作紹介でもなく、評論でもなく、映画を軸に、生きてきた足跡を残そうと思います。

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2008/07/22

【映画千一夜】 ☆★ 映画に愛をこめて ★☆

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 第22夜 22才の別れ(2006、公開は2007)            2008.07.23

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 大林宣彦監督作品。

 フォークグループ「かぐや姫」の伊勢正三が作曲した曲をベースにした映画で、原案
として彼の名がクレジットされている。

 大林宣彦監督といえば「舞台は尾道」であったが、この一つ前の作品「なごり雪
(2002)」から舞台を大分に移しての連作である。(正確には間に宮部みゆき原作の「理
由(2004)」を監督している。)イルカの歌で有名なこの曲も伊勢正三の作曲である。尾
道3部作に続き、こちらも大分3部作になる予定だそうだ。

 ちなみに尾道三部作と呼ばれているのは「転校生(1982)」「時をかける少女(1983)」
「さびしんぼう(1985)」でいずれもノスタルジックな切なさに浸れる。その舞台として
尾道の街並みが絶大な効果を上げている。監督の出身地だけに路地の裏まで知り尽くさ
れているという感じだ。 
 後に撮られた「ふたり(1991)」「あした(1995)」「あの、夏の日(1999)」も舞台が尾
道であるため、こちらは新尾道三部作と呼ばれている。

 その大林監督がなぜ尾道と決別したのか?カギを握る映画が佐藤純弥監督の「男たち
の大和/YAMATO(2005)」である。

 大和の実物大セットは、当時の戦艦が実際に建造された呉市ではなく、造船所の空き
等いくつかの条件をクリアした尾道市に作られた。と、ここまでは良かったのだが、撮
影終了後、市や観光協会でつくる「公開推進委員会」がこのセットを有料で公開したと
ころ、予想の3倍以上の人が訪問した。

 大林監督は「ロケセットは映画の中で初めて意味を持つ。人寄せのための公開は、戦
争やふるさとを商売にしているようで恐ろしい」と市の観光行政を批判し、大和のセッ
トが公開されている限り、尾道とは絶縁だと宣言している。
 大林監督自身は、尾道に映画の記念碑やセットを残しておらず、「映画を見た人の心
に残ったものが記念碑」と言っている。

 大林監督が来日したオリバー・ストーンと対談したことがある。
 ストーン監督はハリウッドビジネスを体現しており、自分の作品が公開終了後ビデオ
化されるなどビジネスとしての映画の可能性について話した。一方、「映画愛」の監督・
大林宣彦は、フィルムを劇場の大空間見る喜び、観客がそこで時間を共有することの意
味を特別視しており、テレビで放映されたり、ビデオ化されたりしたものは自分の作品
ではあっても「映画」とはまた別ものであると強調して両者の話はまったくかみ合わな
かった。
 ビジネス論と文学論なのだ。 

 大林作品はテレビ放映されたものを後に劇場版公開することも多い。「ふたり」「理
由」などがそうだ。そのとき、映画版の最初には必ず「A MOVIE」の文字が現れる。TVと
映画は別だ、ということなのだ。またそれぞれの編集は必ず自ら行っている。そういう
意味で、映画に対する「愛」と「姿勢」は常に一貫している。

 もともと自主制作、CMディレクターなどの肩書きで商業映画に進出してきたので、劇
場第1作のファンタジー・ホラー「HOUSE ハウス(1977)」はオモチャ箱をひっく
り返したような賑やかさで、技巧が前面に出た作品だった。若手アイドル系女優の競演
もあり話題の「監督第1作」であった。
 その頃から見つづけていると「円熟」という言葉の意味が分かってくるような気もす
るが、けっして枯れない、若々しい映像の魅力でいまだに楽しませてもらっている。
 2007年には「転校生」を自らリメイクした「転校生 -さよなら あなた-」が公開され
ている。

 今夜はここまで。また明日の夜をお楽しみに。

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■編集後記
 アメリカ在住の読者から「第21夜 21グラム」に関してメールがありました。知
らない内に国際的メルマガになったようです。本文をご紹介いたします。
 「映画の話とは関係がありませんが、以前近所の人が、腎臓移植のためマイアミに行
きました。地元インディアナポリスだと手に入らないので、フロリダまで行ったようで
す。では、マイアミに来た腎臓はどこから来たか?何故マイアミだと早く手に入るのか?
提供した人が生きていることを祈ります。」
 というものですが、よく考えると怖いですね。
 年寄りには生きにくい世の中になりました。(NO COUNTRY FOR OLD MEN=本年度アカ
デミー作品賞受賞作「ノーカントリー」の原題)

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■ マイナー誌で、読者が少ないからこそ可能なコミュニケーションもあると思います。
 ご意見、ご希望、取り上げて欲しい映画などメール返信して下さい。
                           (発行人:まっくいーん)

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