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 僕にとって映画のない人生は考えられません。その作品をどういう状況でどう見たか、埋もれそうな記憶の海から拾い上げて、ある映画からまた別の映画へ話は続きます。新作紹介でもなく、評論でもなく、映画を軸に、生きてきた足跡を残そうと思います。

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2008/04/29

【映画千一夜】 ☆★ 映画に愛をこめて ★☆

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 第10夜 十戒(1956、日本公開は1958)              2008.04.30

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 チャールトン・ヘストンが他界した。

 私・まっくいーんの通った中学は映画館での団体鑑賞が時々あった。それで見たのが
この「十戒」、ミケランジェロが主人公の「華麗なる激情」、どちらもヘストンの主演
作だ。他にはディズニーの「ファンタジア」があったくらいか。

 どちらもヘストンというのは奇遇だが、学校で行くくらいだから文学とか歴史とか
音楽とか選定された何かそれらしい理由があるわけだ。で、結果的になぜへストンに
なってしまったかというと、彼ほど史劇が似合うスターもいなかったからだろう。

 聖書の世界を描いた彼の出演作には「十戒 (1956)」の他に「ベン・ハー (1959)」、
「偉大な生涯の物語 (1965)」 がある。しかし、その素晴らしい体躯のせいかキリスト
その人を演じることは無かった。(「十戒」は旧約でそもそもキリストは出てこない。)

 歴史劇では「エル・シド (1961)」のタイトルロールを演じ、「ジュリアス・シーザー
 (1970)」ではマーク・アントニーを熱演、その後の「アントニーとクレオパトラ971) 」
では再びアントニー役を演じたのみならず監督・脚本も兼ねている。

 その他、戦争映画、西部劇などいずれも男臭い役柄が多いものの、SF映画などにも
出演を果たしている。その代表作はなんと言ってもその衝撃のラストがいまだに語り草
の「猿の惑星 (1968)」だろう。(原作者ピエール・ブールは、意外やデビット・リーン
監督の名作「戦場にかける橋」の原作者でもある。)

 原作によると「猿の惑星」に降りたった宇宙飛行士たちはそこで「猿語」をマスター
した上で協力者(猿)を得て地球に生還する。すると・・・という話だ。ところが映画で
は猿たちが初めから英語を話している。この辻褄を合わせるのが「衝撃のラスト」だ。
 後にリメイクされたティム・バートン監督版「PLANET OF THE APES 猿の惑星(2001)」
ではそこをさらに一ひねりしている。したがって、と言えるかどうかは分からないが
リメイクではなく「リ・イマジネーション」と謳っている。ヘストンはこちらにも、
今回は猿族側で出演している。特別ゲスト出演みたいなものだろう。素顔は分厚いメイク
の下で見えないが・・・。

 ヘストンSF「地球最後の男 オメガマン (1971)」は、2007年暮れに正月映画として公開
されたウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」がそのリメイク作品と言われて
いるが、そもそもへストン版自体が1964年に製作された「地球最後の男」のリメイク作品
だったので都合3回映画化されたことになる。

 1973年製作・公開の「ソイレント・グリーン (1973)」は2022年のニューヨークを舞台に
した作品。地球の環境問題、食糧危機をテーマにした、今日を予感した作品といえる。

 ヘストンのような重量級の大スターがSF映画に出ることは、当時としては画期的なこ
とであった。それでスター級俳優SF映画出演の一つの流れが出来たし、ジャンルとしての
SFが、SFだからという理由だけで「B級」のレッテルを張られることは無くなったの
だから。

 晩年のへストンはアルツハイマーにおかされていた。

 映画に関してはマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロ
ンバイン (2002)」の中で突撃取材の対象になっている。
 若い世代の方はこの時の「全米ライフル協会会長」というヘストンのもう一つの顔だけ
しか知らない人も多いことだろう。この大スターの大きな足跡に対する敬意が、同じ映画
人としてのマイケル・ムーアの胸中を去来することはなかったのだろうか?

 ご冥福をお祈りする。

 今夜はここまで。また明日の夜をお楽しみに。

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■編集後記
 ネット環境下にない方に、これまでの発行分をプリントアウトして差し上げた。お礼の
ハガキをいただき「面白い」と言っていただけたのは光栄である。が、その先に、ナマ
の私より文の中の私がイイ・・・という下りがあり、喜んでよいのかどうか・・・?(笑)
 今夜で10夜。千里の道も一歩から始まると言うが、千一夜も十夜が過ぎ、全体の1%
を消化したわけだ。あと99回これを繰り返す。山もあれば谷もあるだろう。
 登山家はそこに山があるから山に登る。私の前には何もないのですが・・・。

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