2009/04/27
「エレベータのすべてがわかる!」〔VOL0063〕
===========================================2009.04.27 VOL.0063== みなさんお元気ですか? 「エレベータのすべてがわかる!」の第63号をお送りします。 「エレベータ界」の2009年4月号に、 「マイコン制御規格形エレベータ」の記事が出ていました。 その当時(昭和52年頃)は、まだ「マイコン化」は珍しく、 ICEなどの開発ツールは市販されていませんでしたから、 開発ツールやPROMライタも自作しました。 皆さんの参考になることもあると思いますので、 今回はマイコン制御規格形エレベータ開発当時に、 苦労や工夫した事柄を特集「マイコン化裏話」でご紹介します。 ところで、みなさんは「マイコン」をご存知ですか? コンピュータは、 算術・論理演算などを行う中央処理装置とメモリと入出力装置で構成されますが、 CPU(中央処理装置)がLSI(大規模集積回路)化されたものを マイクロプロセサといい、 マイクロプロセサとメモリと入出力装置を備えたコンピュータを マイクロコンピュータ(マイコン)といいます。 パソコン(パーソナルコンピュータ)もマイコンの一種です。 このメールマガジンは、『まぐまぐ』で配送されています。 ================================================================= ==I==N==D==E==X================================================== ○連載 今週のニュース ○特集「マイコン化裏話」 ○連載 エレベータクイズ ○編集後記 ================================================================ ==○今週のニュース ============================================ 4月22日午後4時5分頃、名古屋市千種区の東山動物園のモノレール 「東山動物園スカイビュートレイン」正門前駅で、 2階乗り場(高さ約12メートル)と1階の地上をつなぐエレベータが停止し、 乗客15人が閉じ込められた。 エレベータは、シンドラーエレベータ製で、同社社員が同4時半ごろ、 扉を開けて救助した。けが人はなかった。 このエレベータは07年5月にも扉が開かなく事故を起こしており、 名古屋市東山総合公園はこのエレベータの運転を中止し、 事故原因を調べる。 同公園によると、エレベータは降り始めた直後、 約50センチ下がった地点で止まった。 15人は大人7人(男1人、女6人)、幼児8人(男7人、女1人)で、 体調不良を訴える人はいなかったという。 エレベータは定員11人(750kg)。 前回の事故では5分間と2分間の2回にわたって扉が開かなくなった。 油圧コントロールの不調が原因だった。 ================================================================ ==○特集「マイコン化裏話」======================================= (1)マイクロプロセサの選択 当時、8ビットのマイククロプロセサとしては、 「インテル社の8080」 「モトローラ社の6800」 「フェアチャイルド社のF8」 がありました。 卒論のテーマが「零交差波を用いた多重音声合成システムの実時間シミュレーション」 で、トランジスタ時代のコンピュータを用いた音声合成システムの制御プログラムを アセンブラでプログラミングした経験がありましたので、 エレベータの制御プログラムをアセンブラで記述するつもりでしたから、 また、多重割り込み処理でレジスタの退避・復元で苦労した経験がありましたので、 インストラクションセットがすっきりしている、 また割り込み時のレジスタ退避がすっきりしている「6800」を迷うことなく選択しました。 その後、8080の後継のZ80が主流になっても、 6800(商品化時は6809)を選択したことを後悔はしませんでした。 (2)手作り開発ツール 半導体メモリには、 RWM(読み書き可能メモリ)とROM(読み出し専用メモリ)があります。 RWMは揮発性(電源が落ちると内容が消える)で ROMは不揮発性(電源が落ちても内容が残っている)です。 通常のデータの記憶媒体は読み書きできるRWMが適していますが、 プログラムは、停電になったり、電源を切ったり、 プリント基板を引き抜く毎に内容が消えてしまうようでは困ります。 ROMとしては、マスクROMやヒューズROMがありましたが、 マスクROMはマスクの作成に多大なコストがかかります。 ヒューズROMは書き換えできません。 プログラム開発時には、何度もプログラムの書き換えが必要になります。 書き換え可能なEPROMとしてインテル社の1702Aがありましたが、容量は256バイトでした。 6800の1命令ステップは平均2バイトで、エレベータ制御には1000ステップ程度必要でしたから、 2kバイト程度のEPROMが必要でした。 そこで、当時、群管理システムの開発(FLEX−10として商品化)のためのミニコンが手元にありましたので、 そのミニコンでマイコンのアドレスバス・データバス・コントロールバスを制御するためのインターフェイス基板と プログラムを格納するためのRWM基板を作成して、ミニコンを介してプログラムを書き込んだり、 ブレークポイントを検出してNMI(マスクできない割り込み信号)を発生させ、 NMIのベクタアドレスにブレークポイントの処理をさせる(内部レジスタの内容をメモリに書き出す) プログラムを自動的に埋め込むデバッガを作成しました。 また、2Kバイトの紫外線消去可能な書き込み可能なEPROM2716用のROMライタも作成しました。 それから、汎用機(FACOM230−38)上にクロスアセンブラも作成しました。 (3)EPROM2716の入手難 タワーテストまでは開発ツールのRWMにプログラムを書き込んで動作させていれば良かったのですが、 タワーテストでは、無人運転テストしますから、プログラムをEPROMに書き込むことが必要になり、 2716を業者に発注しましたが、インテル社が回収しており、国内では入手できないということでした。 そこで、アメリカの法人に頼んでアメリカで入手してもらい、日本に出張する人に託送してもらいました。 そのようにして、ようやく2716を20個程度入手しましたが、紫外線を照射して消去すると、 次々とまともな書き込みができなくなっていきました。 タワーでの試乗会の前の晩に、 最後に残っていた1個に祈るような気持ちで書き込んだ最終版のプログラムで、 なんとか試乗をパスしました。 その後、幸いなことに、富士通からまともな2716が入手可能になりましたので、 商品化時にはトラブルは発生しませんでした。 ================================================================= ==○連載 エレベータクイズ =================================== エレベータのかご内の最も下座はどこでしょうか? 1.操作盤の前 2.操作盤側の奥 3.入り口の正面奥 ============================================================= 【答え】 1.操作盤の前が最も下座です。 【解説】 操作盤側の奥が最も上座です。 目上の人と一緒にエレベータに乗った場合は操作盤の前に立ち、 目上の人の行き先を尋ねたり、ドアの開閉操作をします。 ============================================================= ==○編集後記================================================= 最後までお読みいただき、有難うございます。 第63号は如何でしたでしょうか? 今は空き地になっていますが、フジテックの大阪工場のB研究塔で、 マイコン制御規格形エレベータのタワーテスト(走行試験)を行いました。 研究塔が5階建てだったこともあり、 最初に設置する5現場は全て5階建ての建物にしました。 ================================================================ ================================================================ 【発行元】株式会社エレベータ研究所 〒567-0806 大阪府 茨木市 庄1丁目8−19 TEL 072-665-6801 URL http://www.ele-life.com EMAIL info@ele-life.com ================================================================



