2009/02/23
「エレベータのすべてがわかる!」〔VOL0054〕
===========================================2009.02.23 VOL.0054== みなさんお元気ですか? 「エレベータのすべてがわかる!」の第54号をお送りします。 エレベータの法定寿命は17年ですが、 建物の寿命は60年ほどありますから、 20年以上使用されることもあります。 エレベータは多くの機械部品で構成されており、 機械部品は磨耗・劣化しますから、 安全性・信頼性を維持するためにはメンテナンスが必要です。 メンテナンス契約には2種類あって、 「フルメンテナンス(FM)契約」は、定期的な点検・保守に加え、 機器の磨耗・劣化を予測し、 エレベータを常に最良の状態に維持するために 経年劣化した部品の取替えや修理修理等の 予防的な保全をあわせて行う契約方式です。 「POG契約」は、Parts・Oil・Greaseの略で、 定期的な機器・装置の点検を行い、 必要に応じて消耗部品の交換と調整・給油・清掃を行う契約方式です。 POG契約では、機器の寿命・機能低下に対する工事は対象外になります。 シティハイツ竹芝のエレベータ事故や帝都典礼ビルの転落死亡事故は、 いずれも、本来メンテナンスで未然に防止できたはずの 磨耗による機器の異常による事故だったと思われます。 そこで、再発防止について皆さんと一緒に考えるために、 国土交通省大臣官房官庁営繕部が平成20年3月に発行した、 「建築保全業務共通仕様書」の「第2編 定期点検等及び保守」の 「第7章 搬送設備」の「第2節 エレベーター」から、 これらの事故に関連する部分を 特集「メンテナンスの現状」としてご紹介します。 また、次号では、磨耗についての基礎知識を ご紹介したいと考えています。 このメールマガジンは、『まぐまぐ』で配送されています。 ================================================================= ==I==N==D==E==X================================================== ○連載 今週のニュース ○特集「メンテナンスの現状」 ○連載 エレベータクイズ ○編集後記 ================================================================ ==○今週のニュース ============================================ 東京都新宿区信濃町の葬儀会社「帝都典礼」のビル1階で、 昇降機のない状態でエレベーターの扉が開き、 乗り込もうとしたそば店経営塚田敏雄さん(74)が地下1階に転落して 死亡した事故で、1階の手動式扉のロック装置が磨耗していたことが 分かったと捜査関係者が明らかにした。警視庁は、 ロック機能が失われていたために塚田さんは扉を開けることが出来てしまい、 過って転落したとみて調べている。 四谷署は17日、司法解剖の結果、 塚田さんの死因は後頭部の脳挫傷とみられると発表した。 捜査関係者やエレベータの製造元の三精輸送機などによると、 各階の扉は、扉上部にある金属製のフックが、 壁に固定されたロック装置とかみ合って施錠されている。 昇降機が各階に到着すると、 昇降機の一部がロック装置に接触してフックが外れ、 扉を開けることが可能になるという。 だが、同庁が検証した結果、 壁側の装置が磨耗していたことが判明。 扉を閉めてもロックがかからない状態になっていた疑いがあるという。 このため、同庁は、昇降機が5階で停止していたにもかかわらず、 塚田さんは扉を開けられたとみている。 三精輸送機は今月4日の保守点検では異常は見つからなかったとしている。 ただ、64年から使われている古いエレベータのため、少なくとも1年前から、 ビルを所有する葬儀会社の帝都典礼に買い替えを提案していたという。 ================================================================ ==○特集「メンテナンスの現状」================================== 「建築保全業務共通仕様書」には、対象(装置)毎の 修理・取替えの範囲として、修理または取替え項目と、 点検周期として、点検項目の点検内容と点検周期が記されています。 この中で、「シティハイツ竹芝のエレベータ事故」と 「帝都典礼ビルの転落死亡事故」に関連した部分を抜粋します。 1.修理または取替えの範囲 (1)電磁ブレーキの修理または取替え項目は、 a.ブレーキシュー(ライニング)取替え:FM契約のみ b.ブレーキ分解手入れ・オーバーホール取替え:FM契約のみ c.マグネットコイル取替え:FM契約のみ d.ブレーキプランジャー・コア・ガイド取替え:FM契約のみ e.軸・軸受け取替え:FM契約のみ f.ブレーキスイッチ取替え:FM契約のみ g.ブレーキアーム取替え:FM契約のみ であり、a.のブレーキシュー取替えを事前に実施していたら、 「シティハイツ竹芝のエレベータ事故」は 未然に防止できていたと思われる。 (2)乗り場の戸の修理または取替え項目は、 a.ハンガーローラ取替え:FM契約のみ b.ドアレール取替え:FM契約のみ c.連結ロープ・チェーン取替え:FM契約のみ d.ドアインターロックスイッチ取替え:FM契約のみ e.ドアクローザー取替え:FM契約のみ f.かご戸との連結装置取替え:FM契約のみ であり、 d.のドアインターロックスイッチ取替えを 事前に実施していたら、 「帝都典礼ビルの転落死亡事故」は 未然に防止できていたと思われる。 2.点検周期 (1)電磁ブレーキ a.スリップの異常の有無を点検する。1ケ月周期 b.ブレーキシュー、 アーム及びプランジャーの作動の良否を点検する。6ケ月周期 c.プランジャーストロークを点検し、 その良否を確認する。6ケ月周期 d.ブレーキスイッチ接点の脱落、 荒損及び磨耗の有無を点検する。6ケ月周期 e.ブレーキライニングの磨耗の有無を点検する。1年周期 f.制動力をチェックし、その良否を確認する。1年周期 であり、a.b.e.f.のいずれかの点検で異常に気付き、 ブレーキライニングを取替えていたら、 「シティハイツ竹芝のエレベータ事故」は、 未然に防止できていたと思われる。 (2)ドアインターロックスイッチ a.作動の良否を点検する。1ケ月周期 b.取り付け状態の良否を点検する。6ケ月周期 であり、a.b.のいずれかの点検で異常に気付き、 ドアインターロックスイッチを取替えていたら、 「帝都典礼ビルの転落死亡事故」は 未然に防止できていたと思われる。 ================================================================= ==○連載 エレベータクイズ =================================== エレベータのメンテナンス契約には、 フルメンテナンス(FM)契約とPOG契約の2種類がありますが、 POGは次の3つの、どの略でしょうか? 1.Portable Office Goods 2.Point Of Gravity 3.Parts Oil Grease ============================================================= 【答え】 3.Parts Oil Greaseです。 【解説】 POG契約とは、 定期的な機器・装置の点検を行い、必要に応じて、 消耗部品の交換と調整・給油・清掃を行う契約方式のことです。 ============================================================= ==○編集後記================================================= 最後までお読みいただき、有難うございます。 第54号は如何でしたでしょうか? 国土交通省の「建築保全業務共通仕様書」を見て、 エレベータのメンテナンスは、 安全面からは、FM契約にすべきだと、改めて思いました。 ================================================================ ================================================================ 【発行元】株式会社エレベータ研究所 〒567-0806 大阪府 茨木市 庄1丁目8−19 TEL 072-665-6801 URL http://www.ele-life.com EMAIL info@ele-life.com ================================================================


