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     実践!アメリカ発 営業・マーケティング戦術&事例 vol.1
        『 質の高い案件を育てるナーチャリング活動 』

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 マーケティング活動によってリード(見込顧客)を獲得しても、全てのリードが
すぐに営業案件になるとは限りません。イベントやセミナーなどの来場者の大半は情報
収集を目的としており、このようなステータスの低いリードに対し、長期的にコンタ
クトを続ける活動を英語ではナーチャリング(Nurturing)といいます。

 ある調査では、イベント・展示会における来場者の購買実態に関して下記のような
結果が明らかにされています。

・獲得されたリードの90%以上はフォローも無いまま捨てられている。
・来場者の70%以上の購買時期は3か月以上先である。
・来場者の60%以上は入手した情報を整理できずに迷っている。

 得てしてイベントや展示会では、すぐに契約につながる案件のみに執着してしまい
がちですが、一方ではその他のリードに対して長期的にフォローする仕組みも重要で
あることがこの結果からわかります。


 私の知っている失敗事例ですが、ある企業が高い予算を費やし展示会に出展し数多く
のリードを入手しました。展示会終了後にマーケティング部門は「営業にすぐ渡せる
リード」と「ナーチャリングが必要なリード」に分類しましたが「営業にすぐ渡せる
リード」は目標の数値を達成できませんでした。

 これに失望した経営者はマーケティング担当者を即刻、解雇してしまいました。当然
「ナーチャリング」はストップし獲得したリードはお蔵入りしてしまいますが、後に
なって「ナーチャリングが必要なリード」に有望な案件が多数含まれ、長期的にアプ
ローチを続けていた競合に奪われていたことが判明してしまいました。

 「展示会にコストをかけたのだからすぐに回収できるはず、できなければ担当者に
問題がある」という経営者によるイベントへの過剰な期待とナーチャリングへの不理解
により、これから案件に育てていくという時に自ら案件の芽を摘んでしまった訳です。

この事例はアメリカ企業での話で極端な例ですが、「リードがお蔵入りしてしまう」
ということは多々起こりうるのではないでしょうか?まだまだナーチャリングという
言葉自体が一般的ではありませんが、経営・営業も含めたナーチャリング活動への認識
強化が重要といえます。


ナーチャリングを通して、次のようなタイプの顧客にアプローチできます。

・スローアダプター:新製品を誰よりも早く手に入れたい購買者をマーケティング用語
でアーリーアダプターといいますが、その逆で慎重に購入したいという購買者を指し
ます。スローアダプターは継続的な製品情報やユーザー事例に高い関心を抱いています。

・超大型案件:大規模な予算を組む必要のあるプロジェクトでは、担当者が2、3年も
前から情報収集を開始している場合があります。大企業の担当者や子会社の社員が
あなたのブースにひょっこり立ち寄った場合は、何かが動こうとしているのです。逆に
大型案件の担当者は契約のタイミングが近づく程、慎重になり安易にイベントに顔を
出すようなことは無くなるでしょう。

・情報に疎い顧客:地方企業や零細企業などは、マーケティングの人員不足や業者から
の接触も少ないため最新情報を入手できる環境にない場合があります。あなたからの
継続的なメッセージが頼みの情報源となり信頼を勝ち得ることができるかもしれません。

・広告塔:どの業界のコミュニティーにも、発言力の強いお客様がいらっしゃいます。
こうした方は日頃、製品やベンダーの情報収集に敏感です。こうした方々に情報をイン
プットすることにより、コミュニティー内での口コミ効果を狙うことも可能です。


それでは具体的にはどのようなナーチャリング活動が考えられるでしょうか。
いくつかご紹介してまいります。

 展示会:
  関連するテーマの展示会への継続的な出展により、キープレーヤーとしての印象を
  残すことができる。

 セミナー:
  何度足を運んでも楽しめるシリーズもののコンテンツを企画し「常連さん」にする
  ことができる。

 eメール:
  購読者の状況に応じてカスタマイズされたメールを送信するステップメールによる
  継続アプローチが有効。

 ブログ:
  情報の発信とともに、業界や製品分野に関する人気ブログへの継続的なトラック
  バックによる露出を向上できる。

 ディスカッションフォーラム:
  企業・顧客・ユーザの双方向の情報共有。検討中のお客様には購入前の疑問点を
  クリアにする効果がある。

 webセミナー:
  製品情報に限らずビジネス課題なども含めた豊富なコンテンツにより学習の機会を
  提供する。

このような活動を組み合わせて例えば下記のようなナーチャリングプランを立てること
ができます。もちろんインフラとなる顧客データベースの整備も不可欠です。

 初回コンタクト(イベント、セミナー等など)
 一週間後  電話・Thank Youメール
 一カ月後  パートナー企業の紹介(eメール)
 二カ月後  動画付ソリューション紹介(eメール)
 三カ月後  ケーススタディー紹介(eメール・電話)
 四カ月後  webセミナーご案内(eメール)
 五カ月後  ホワイトペーパー紹介(eメール)
 六カ月後  キャンペーン紹介(ターゲッティングメール)
 七カ月後  eBookプレゼント(eメール・電話)
 八カ月後  イベントのご案内(eメール)
 九カ月後  業界関連ポッドキャストご紹介(eメール)
 十カ月後  動画付ソリューション紹介(eメール)
 十一カ月後 ケーススタディー紹介(eメール・電話)
 十二カ月後 webセミナーご案内(eメール)


ナーチャリングを実施する際には、次の点に留意することも必要です。

 継続性:時には1、2年かけても長期的に粘り強くアピールし続けること。
 一貫性:ロゴ・タグライン・メッセージの一貫性を保つこと(eメールタイトル、web
     ページ、eBook、電話のスクリプトなど)。
 合法性:個人情報保護法等の法令はもちろん、ビジネスマナーをわきまえること。

今日はナーチャリングについてご紹介しましたが、この取り組みは会員特典やポイント
還元などの仕組みに見られるようにBtoC分野の方が活発なようです。しかしBtoB分野
では長期案件が多く、また日本企業ではアメリカとは異なり担当者がコロコロ変わる
こともないため、大きな効果を期待することができます。案件を生み出す仕組みの一つ
として、皆さまの会社でも取り組まれてはいかがでしょうか?


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  発行人 佐藤拓也(さとうたくや)
  連絡先 info@btobmarketingtactics.com

  ブログ 『アメリカ 発 BtoBマーケティング 之 戦術』
      http://www.btobmarketingtactics.com/

     『ニューヨークITマーケティングビジネス奮闘記』
      http://www.satotakuya.com/

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