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元本屋の店員のレフティやすおが、毎月前半では読書に関するエッセイを、後半には古今東西の古典の名作・名著を一点ずつ紹介します。読書とは他人(ひと)様の人生を追体験すること。「楽しい読書」で楽しいひと時、豊かな人生を送りましょう。

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2009/06/30

レフティやすおの楽しい読書 090630(No.20)『怪談』ラフカディオ・ハーン/小泉八雲

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         レフティやすおの楽しい読書

         ― 読書で豊かな人生を! ―

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本日も、
若い頃は本屋の店員だった本好きのレフティやすおといっしょに、
このメルマガ「レフティやすおの楽しい読書」を通して、
古今東西の古典、名作・名著から選りすぐった一冊にふれ、
豊かな人生の時をすごしましょう。
読書とは、他人(ひと)様の人生を追体験することです。
そこから何かを学ぶか、ひと時の愉快な時間をすごすか、
それは人それぞれ。
自分なりの楽しみ方でいいのです。
まずは楽しい読書を心がけましょう。
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 2009(平成21)年6月30日号(No.20)-090630-
          『怪談』ラフカディオ・ハーン/小泉八雲

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 『怪談』KWAIDAN(1904)
           ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)/著
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   ハーン「科学的にはナンセンスだ」/西村「はい」/ハーン
   「しかし、鶏を見て、ああ水をのんでいる、と思う人間と、
   ああ神様に感謝していると思う人間と、どちらの心が豊かだ
   ろう」 [...] 「私は迷信を打ちこわすと、いっしょにこ
   われる心もあると思っている」 [...] 「今のアメリカは、
   科学と合理主義で、荒れていく一方だ。今にひどい時代が来
   るだろう」 [...] 「私は、幽霊の話が好きなんだ。愛し
   ている(と微笑)」
     山田太一/著『日本の面影 ラフカディオ・ハーンの世
     界』岩波現代文庫(2002)
     「第1回 ニューオーリンズから」p.32 


『怪談』は、
ラフカディオ・ハーン(日本名・小泉八雲)の
最晩年に発表された再話物の短編小説集です。

誰もが一度は聞いたことのある、見たことのある、
あるいは読んだことのある、日本の怖いお話―「雪女」「むじな」
「耳なし芳一」等の物語。


  ... どんなに知識が増えようと、世界は依然として超自然をテ
  ーマとした文学に歓びを見い出すのである。この先何百年経と
  うが、その事実は変わらないであろう。霊的なものには、必ず
  真理の一面が反映されている。だから、いわゆる幽霊の存在が
  いくら信じられなくなったとしても、それが表す真理にたいす
  る人間の関心まで減少することはない。...
   「文学における超自然的なるもの」p.130-131 
   『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』
    池田雅之/編訳 ちくま文庫(2004)


『怪談』以外にも、日本について書いた多くの著作の中に、
いくつもの怖い話、幽霊や妖精の話などがちりばめられています。

それらを集めて、『怪談・奇談』として幾通りかの作品集が編まれ、
今も多くの日本人に読み継がれています。

私もその一つ、
角川文庫版の『怪談・奇談』を高校生のときに手に取りました。
(今年の「発見。角川文庫 夏の100冊」にも選ばれています。)

今でも私のお気に入りは、「鳥取の布団の話」です。

「あにさん、寒かろう」「おまえ、寒かろう」
と声を掛け合う、健気な兄弟愛のお話―。

ただ怖いだけではなく、庶民の哀歓を描いたお話が語られています。
その点がすばらしいのです。


ハーン自身、
必ずしも恵まれた幼年期を過ごしてきたわけではなかったのです。

そういう生い立ちが、これらの貧しい人々に対する
優しい視線にもつながっているのでしょう。

ただ怖いだけ、恐ろしいだけのお話に終わることなく、
人間としての情や思いが込められた、
特別なお話に仕上がっているのでしょう。


  ... ハーンの「再話文学」はいまなお芸術作品として私たちの
  心に訴える命を秘めている。... 私たちは誰でも『耳なし芳一』
  の怪談がどんな話か知っている ... また私たちが『雪女』や
  『貉』の話を知っているのは、年少の時、英語や邦訳でKwaidan
  を読んだからだ。日本の国文学で小泉八雲を取りあげて論ずる
  ことは少いが、『怪談』などの再話物は「英語で書かれた日本
  文学」として末永く珍重されることに相違ない。
    平川祐弘/著『小泉八雲 西洋脱出の夢』講談社学術文庫
    (1994)「第三章 泉の乙女/ハーンの文学論講義」p.192


明治の初め、39歳で日本の地に足を踏み入れたハーンは、
神の国出雲で英語教師となります。

そこで出会った女性セツと夫婦となり、自分の家族を持った彼は、
妻や子供の将来のために、日本人・小泉八雲となり、

『怪談』始め、多くの日本に関する著作を残しつつ、
ついに日本に骨を埋めることになります。

ちなみに、彼は、
日本において仏式で葬儀を行った最初の西洋人とも言われています。


セツの残した手記「思ひ出の記」のなかでも語られているように、
そして、
萩原朔太郎が「小泉八雲の家庭生活」のなかで、

  ... 多くのヘルンの著作は、書物から得た材料ではなく、
  その妻によって主観的に翻案化され、創作されたものを、
  さらにヘルンが詩文学化したものであった。
    『さまよえる魂のうた 小泉八雲コレクション』
     池田雅之/編訳 ちくま文庫(2004)所収 p.474-475

と、八雲夫妻の仲のよさに対する
いくらかの憧憬とともに語っているように、

愛妻セツの協力の下に磨き上げたとも言うべき、
ハーンの描いた珠玉の日本の怪談や奇談は、
今も日本人の心を捉えて離しません。


まだ読みでない方はもちろん、過去にお読みの方も、
ぜひもう一度この本をお手に取り、
どこからでもかまいません、一つ一つじっくりと、
ハーンの描いた古き日本の怖いお話の魅力をご堪能ください。

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【付録】ラフカディオ・ハーン/小泉八雲を読む 
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● 原典を読む:

★『怪談・奇談』田代三千稔/訳 角川文庫(改版1989)
 最初に読んだ思い出の本。『怪談』他、日本に関する著述に収録
 された怪談話42編を収録。巻末に訳者の手になる「解説」「ハ
 ーン小伝」収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4042120016/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『怪談・奇談』平川祐弘/編 講談社学術文庫(1990)
 『怪談』他、日本に関する著述に収録された怪談話を収録。巻末
 付録に八雲の所蔵本から原話と推定される日本語文献を収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/406158930X/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『新訳 怪談 美しく切なくも儚い日本の不思議な物語』湯浅卓/訳
PHP研究所(2008)
 『怪談』より、タイトルにふさわしい怖い話13編を収録。筆者
 と同世代の一時テレビでよく見た国際弁護士による翻訳。「如才
 ない交渉」のタイトルについてなど、いかにも国際弁護士らしい
 解釈と思われる巻末解説が興味深い。
http://www.amazon.co.jp/dp/456970302X/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22

● その他のハーン(小泉八雲)の著作:

『全訳小泉八雲作品集』12巻 恒文社(1964-67)
『ラフカディオ・ハーン著作集』15巻 恒文社(1980-88)

【講談社学術文庫・小泉八雲名作選集】
『日本の心』平川祐弘/編 (1990)
 筆者未読。
『神々の国の首都』平川祐弘/編 講談社 (1990)
 日本に関する最初の著作『知られぬ日本の面影』から、代表的な
 文章「英語教師の日記から」「日本海の浜辺で」などを収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061589482/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『明治日本の面影』(1991)
 同じく『知られぬ日本の面影』から。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061589431/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『クレオール物語』(1991)
『光は東方より』(1999)
 以上二点、筆者未見。

【ちくま文庫・小泉八雲コレクション】
★『妖怪・妖精譚』池田雅之/編訳(2004)
 「泉の乙女」他、アメリカ時代のものから日本時代の『怪談』ま
 で代表的な八雲の再話ものの怪奇談を集めた選集。巻末に八雲入
 門書ともいうべき、小泉節子「思い出の記」を収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4480039929/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『さまよえる魂のうた』池田雅之/編訳(2004)  
 自伝的エッセイ8編と、東京帝国大学での英文学講師時代の講義
 録から、読書論としても非常に優れた「読書について」や「生活
 と文学の関係」「文章作法の心得」、最終講義「日本文学の未来
 のために」など16編、萩原朔太郎「小泉八雲の家庭生活」を収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4480039937/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『虫の音楽家』池田雅之/編訳(2005)
 初期の「鳥取の布団の話」「子を捨てた父」の再話を含む「日本
 海に沿って」や「加賀の潜戸」、後期の「焼津にて」など八雲が
 愛した虫や海といった自然に関するエッセイなど21編、長男・小
 泉一雄の手になる「父「八雲」を憶う」(一部抜粋)を収録。
http://www.amazon.co.jp/dp/4480039945/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22

【角川ソフィア文庫】
★『新編 日本の怪談』池田雅之/訳(2005)
 『怪談』の諸作始め、他の著作から集めた再話もの怪奇談42編。
 内匠尽語楼/編纂『狂歌百物語』をハーン自らが解説したエッセ
 イ「妖怪のうた」とハーンの描いた絵も収録。他に縮緬本「日本
 おとぎ話集」など、めずらしい作品も多く収録されている。
http://www.amazon.co.jp/dp/4042120059/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『新編 日本の面影』池田雅之/訳 (2000)
 『知られぬ日本の面影』から、代表的な文章「東洋の第一日目」
 「盆踊り」「英語教師の日記から」(抄)「日本海に沿って」「日
 本人の微笑」「さようなら」などを再編集して収録。懐かしき古
 きよき日本の姿が保存されている。
http://www.amazon.co.jp/dp/4042120040/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『小泉八雲集』新潮文庫(1994)
 怪談・奇談他、日本についての著作から代表的なルポルタージュ、
 エッセイなども収録した、小泉八雲入門書。
http://www.amazon.co.jp/dp/4101094012/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22

● ハーン(小泉八雲)の伝記・入門書:

★『日本の面影 ラフカディオ・ハーンの世界』山田太一/著 岩波
現代文庫(2002)
 ハーン(小泉八雲)を主人公にしたNHKテレビ・ドラマのシナ
 リオ。初めて日本人と出会ったニューオーリンズ時代から日本で
 の日々まで、その生涯をうまく取り込み、一本のドラマに仕上げ
 ている。セツの『思い出の記』と読み合わせると一段と興味深い。
http://www.amazon.co.jp/dp/4006020589/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『増補新版 文学アルバム小泉八雲 ラフカディオ・ハーン』小泉
時/共編 恒文社(2008)
 アイルランド人(イギリス兵)の父とギリシア人の母のもと、ギ
 リシャに生まれ、アイルランドで育ち、イギリスからアメリカに
 移住し、その後日本に至り日本人として最期を迎えたハーン=小
 泉八雲の生涯を貴重な写真でたどる。新資料を加えた増補新版。
http://www.amazon.co.jp/dp/4770410166/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『ラフカディオ・ハーン 日本のこころを描く』河島弘美/著 岩
波ジュニア新書(2003)
 ハーンの生涯をたどり、作品にふれる、中高生以上向け入門書。
http://www.amazon.co.jp/dp/4005004059/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22

『夢の途上 ラフカディオ・ハーンの生涯 アメリカ編』工藤美代子
/著 集英社(1997)
http://www.amazon.co.jp/dp/4087742474/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『聖霊の島 ラフカディオ・ハーンの生涯 ヨーロッパ編』工藤美代子/著 集英社
(1999)
http://www.amazon.co.jp/dp/4087744310/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『神々の国 ラフカディオ・ハーンの生涯 日本編』工藤美代子/著
集英社(2003)
http://www.amazon.co.jp/dp/4087746437/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
 ハーンに関する著作を一手に発行している感のある恒文社のハー
 ンに心酔する元社長の娘の手になる、ハーンの伝記三部作。それ
 ぞれ、アメリカ時代、ヨーロッパ時代、日本時代を描く。

『ファンタスティック・ジャーニー ラフカディオ・ハーンの生涯
と作品』ポール・マレイ/著 村井文夫/訳 恒文社(2000)
 アイルランドの外交官が「特権」を生かし、仕事の合間にハーン
 の足跡をたどりつつものしたハーンの伝記。平川祐弘の序文付き。
http://www.amazon.co.jp/dp/4770410239/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『オリエンタルな夢 小泉八雲と霊の世界』平川祐弘/著 筑摩書房
(1996)
 比較文学、比較文化の研究者・平川祐弘氏の手になるハーン研究
 書の新著。なぜハーンは日本的霊の世界を理解できたのかを探る。
http://www.amazon.co.jp/dp/448082331X/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
★『小泉八雲 西洋脱出の夢』平川祐弘/著 講談社学術文庫(1994)
 その後のハーン研究の道を開いたといってもよい、平川氏による
 最初のハーン研究書。夏目漱石「夢十夜」のエピソードとの比較、
 津波から人々を救った「稲むらの火」の秘話他、ハーンの再話文
 学についての論考。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061591436/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『小泉八雲 回想と研究』平川祐弘/編 講談社学術文庫(1992)
 筆者未見。ハーン研究者の各種論文集。
http://www.amazon.co.jp/dp/4061590375/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
『面影の日本』小泉八雲、ジョニー・ハイマス/著 恒文社(1999)
 ハーン同様、日本人妻を娶ったカメラマンの手になる写真とハー
 ンの「百の仏教俚諺」の英文と訳文(平井呈一)のコラボ本。


※ 歿後百年の2004年前後からまた一段と、ハーン/小泉八雲関係
の本が数多く出版されています。ここに紹介したものはそれ以前の
代表的な本です。いずれまた、新しい本も取りあげたいものです。

(★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。)

*『怪談』以外のラフカディオ・ハーン/小泉八雲の作品は、
 またいずれ機会を見て紹介します。お楽しみに!

*『レフティやすおの本屋』支店「海外名作文学館」
 「ラフカディオ・ハーン/小泉八雲」の棚
http://myshop.7andy.jp/md_fair/foreignbooks/lefty-yasuonohonya/-/shelf_id/10

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 次号(7.15)の予定 : 私の読書論―その4―読書の三種類(続)
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※「別冊 編集後記」〜『レフティやすおの作文工房』〜
2009.6.30 『怪談』ラフカディオ・ハーン/小泉八雲
―第20号「楽しい読書」別冊編集後記
ttp://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10289223844.html

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ビジネス本
『営業ビジネスマナー超入門』日本実業出版社
『ドキドキ初回営業の極意』中経出版
『知らずに差をつける!絶対成功する営業術』日本文芸社
左利きの不便さを綴った、「渡瀬けん」名義の今売れ行き好調の
『左利きの人々』中経の文庫
の著者で左利き仲間、
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●『営業のカンセツワザ』2008/03/13 208号「我流 文章術(2)」
http://archive.mag2.com/0000115536/20080313130000000.html

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●『ウィークリーまぐまぐ[エンタテイメント版]』2008/3/14号
「今週のおすすめメルマガ@エンタテイメント」コーナー
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